近年ピクセルアートが大きな盛り上がりを見せています。かつてはレトロゲームの象徴だったドット絵も、3D表現では出来ない可愛らしさから、若いゲーマーや女性にも注目されています。
特に海外インディーズシーンでは『Stardew Valley』や『Undertale』などのRPG作品が熱狂的な人気を博しています。また、ドット絵をテーマとした作品展示イベント「ピクセルアートパーク」なども国内で開催されています。
牧場生活を楽しむRPG『Stardew Valley』日本語版が発売予定
名作インディーRPG『Undertale』は、「モンスターを倒す」ことの意味を問い掛ける
ドット絵の祭典「ピクセルアートパーク3」が開催!9月25日東京にて
一方、フリーゲームでもピクセルアートの魅力を全面に押し出した作品が増え始めています。今回紹介するのは、POPO氏が制作したフリーゲーム『きらきら星の道しるべ』です。本作はRPGツクールVXAce製の短編RPGで、先日行われた『2016フリゲ展!theFINAL 夏』のテーマ「おばけ」部門で受賞しています。
ピコピコと動き回るキャラクターや細部まで遊び心に満ちた世界感はもちろん、映画を見るほどの時間でプレイできる手軽さ、誰でもプレイしやすい作りなど、本作の魅力を余すことなくお伝えします。
引っ越してきた少女とおばけが巡る、ひと夏の冒険
『きらきら星の道しるべ』の主人公の少女「ミルクティ」は、リンゴシティーに引っ越してきた日におばけの少年「ラムネ」と出会います。記憶を失って成仏出来ないラムネの「星になりたい」という願いを叶えるべく、ふたりとお供のチョコは冒険の旅に出ます。
主人公のミルクティ。旅の途中で変な人々に翻弄され、表情がコロコロと変わる
旅のきっかけとなるおばけの「ラムネ」との出会い。冒険中はミルクティを怖がらせないようにと、少年の姿に変身する
ミルクティを守るための見張り役としてお供に加わった「チョコ」。本人はソフトクリームと名乗っているが、これはどう見ても・・・
冒険の途中、個性豊かな住民たちがミルクティを出迎えてくれます。筋肉ムキムキの市長、店内で踊るハッピーショップの店員たち、どこか憎めない悪いおばけたち。
住人ひとりひとりが個性的で、彼らと会話するだけでも楽しめます。本作はRPG「MOTHER」シリーズのオマージュが散りばめられてますが、一方で他にはない独特なシュールギャグセンスも光っています。可愛らしいグラフィックに油断していると、急に繰り出される小ネタの数々に動揺するかもしれません。
リンゴシティーの住人たち。みんなどこか抜けている
ハッピーショップでは買い物ができる。本人たちに売る気があるのかは謎・・・
物語はほのぼのとしているだけではなく、どうしてラムネがミルクティの前に現れたのか、その謎が少しずつ明かされていきます。気になってプレイし続けているうち、いつの間にか時間が経ってしまったなんてことも。彼女たちの冒険の先に何が待っているのか、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
回想の一幕。ミルクティとラムネのように見えるが・・・?
可愛らしいだけじゃない!遊び心に満ちたグラフィック
『きらきら星の道しるべ』では、ドットを滑らかに表現する「アンチエイリアス」という手法をとっていません。キャラクターや背景の境界線がはっきりとしており、そのおかげでまるで絵本の中のような世界を作り上げています。
シーシティは海沿いの街。浜辺は人がごった返していてにぎやか
ほの暗いはずのダンジョンに、野菜や果物のモンスターが住み着いているのがシュール
本作の特徴のひとつに、「きせかえ」があります。装備欄には「コスチューム」という項目があり、お店で購入したものを装備するとキャラクターの見た目ごと変えることが出来ます。コスチュームにはかなりの種類があるので、気分次第で好きに変える楽しさがあります。
砂漠の街に合わせた衣装。町ごとの雰囲気に合わせて変えてみよう!
マップグラフィックだけでなくメニュー画面もオリジナリティに溢れています。こういった細部まで世界観が発揮されており、ゲームを始めてからクリアするまで『きらきら星の道しるべ』を存分に堪能することが出来ます。
ゲーム慣れしていない人でも楽しめる、手軽さと遊びやすさ
本作はRPGですが、プレイ時間は2時間ほどと短めです。しかしその中でもしっかりと物語が展開されてゆくため、短時間のプレイでも十分な満足感があります。余計な展開もないので、テンポよく進めて行くことが出来ます。
またRPGには欠かせない戦闘も、オーソドックスなルールのおかげで、初心者でも問題なく遊ぶことが出来ます。戦闘の導入も敵キャラに接触したときに始まる「シンボルエンカウント式」なので、先の展開が気になるのに戦闘が多くてダレてしまうこともあまりありません。もちろんモンスターも、世界観を再現した可愛いキャラクターばかりです。
戦闘はターン制。ミルクティたちはレベルが上がると特別な技を使えるようになる!
モンスターたちは倒すのがもったいないほど魅力的。ちなみに倒した後のメッセージは・・・?
ピクセルアートの魅力、可愛らしい世界観、遊びやすさが詰まった『きらきら星の道しるべ』。フリーゲームの短編には、このようなしっかりと作り込まれた作品が多々あります。そういった作品を自分の手で探すのもフリーゲームの醍醐味でしょう。『2016フリゲ展!theFINAL 夏』では受賞作以外にも個性的で魅力的なゲームが沢山ありました。あなたも素敵な一作を探してみてください。
80作品ものフリーゲームが遊べる!「フリゲ展!theFinal夏」が開催中
「フリゲ展!theFINAL 夏」公式ページ
[作品情報]
タイトル 『きらきら星の道しるべ』
制作者 POPO(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows 7/8/10
プレイ時間 1~2時間程度
価格 無料
ダウンロードはこちらから
http://toriakaniko.wixsite.com/fgtensummer/themetaiyou