風を身に受け、景色を流し、人を追い抜き、1分1秒でも素早くたどり着く。自らを研ぎ澄ましていく感覚。”速さ”への欲求というのは、人間の根源的な部分のひとつではないか、と考えることがある。
速さ、スピード感というのはアクション性のあるゲームにおいても重要な要素といえる。今回紹介する『Elemental Warrior』(エレメンタル・ウォーリア)も速さを追求した作品のひとつだ。
『Elemental Warrior』はbunaguchi氏の制作による横スクロール型アクション・フリーゲームである。2月17日よりVector、ふりーむ、夢現、itch.ioなどフリーゲームサイト各所にてダウンロード可能だ。
部族の危機に立ち上がれ
舞台は文明社会から遠く離れたとある部族の村。精霊の加護のもと、大自然と共にある太古から変わらぬ平穏な暮らしをしていたが、ある日突然空から「災い」が訪れ、村が荒らされるようになってしまった。
困り果てた人々は救いを求めて祈祷を行った。そして精霊からのお告げにより、部族いちの俊足を持つ若者「ヨパガ」が、「災い」を食い止めるべくその根城である「プンゲ山」へと向かう事になった。
ところでこの「災い」、どこからどう見てもアダムスキー型飛行円盤…典型的な宇宙人というやつである。宇宙人の概念を知らない部族の民の目から見ればこのような認識になるのだろうか、とクスリとさせられる一幕だ。
壁を、天井を、ありとあらゆる場所を突っ走れ
本作はスタンダードな2Dアクションゲームとなっており、プレイヤーは俊足の若者「ヨバガ」を操作し、ゴールを目指して進むことが目的となる。
ヨパガは左右移動やジャンプ、スライディングといったアクションのほか、ナイフ攻撃やアイテム消費で画面全体にダメージを与えるボム攻撃などを行うことができる。敵や針山などに接触してしまうとライフが減り、ライフの数が0になるとミスとなる。
本作の最大の特徴は冒頭でも述べた「スピード感」にある。主人公・ヨパガは左右に移動し続けると徐々に加速していき、一定以上の速度で体が発光する「高速状態」となる。高速状態では体当たりで敵を倒したりヒビの入ったブロックを破壊できるようになる。
また、高速状態で壁に張り付いたときに、壁と並行方向へキー入力することで、地面から壁へ、壁から天井へと駆け上がる「キックターン」を行うことができる。
上半身裸の部族の男が超高速で駆け抜けながら立ちふさがるものを粉砕し、壁を駆け上がり天井を走り抜ける圧倒的なパワフルさは一見の価値ありだ。
後半になると連続キックターンで輪を描くようなシーンや、天井走り中に上下逆転でスライディングを入力して針を潜る難易度の高いポイントもあるので、キックターンの操作に慣れることが攻略への第一歩だ。
更にアイテム「エレメント」の入手やナイフ攻撃で敵を倒すと蓄積される「ブーストゲージ」を高速状態の時に使用すると「オーバーブースト」が発動し、最高速度の上限を上昇させ更なるスピードアップをはかることができる。最終ステージではオーバーブーストが必須テクニックとなるので、ナイフ攻撃によるブーストゲージの蓄積を意識にいれておこう。
ゆっくり進んでも楽しいアスレチック・アクション
バックストーリーの「プンゲ山」でピンときたフリーゲームファンも居るかもしれないが、本作はかつて開催されていたフリーゲームのコンテスト「3分間ゲームコンテスト」を意識した作品となっており、全4ステージを3分以内にクリアすることで真のエンディングに辿り着くことができる。オーバーブーストなどはまさにタイムアタックのためのテクニックといえるだろう。
ではタイムアタックをしなければ絶対に楽しめないのかというとそうではなく、残機数15以上でクリアすることでも真のエンディングへと到達することができる。操作に自信がない人でも1upアイテムを拾い集め、残機を増やしながらじっくり進んでもよいという点は嬉しい配慮だ。
タイムアタックにこだわらずとも、ステージの構成を把握し、スライディングやキックターンなどのテクニックの使い方をひとつづつ身につけていき、難所をスイスイ進めるようになると気持ちがいい。短篇ながらもアスレチック・アクションの原始的な楽しさを感じられる作品になっているといえるだろう。
[基本情報]
タイトル: Elemental Warrior
制作者: bunaguchi
クリア時間: 3分~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア
↓ダウンロードはこちらから
(Vector)
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se515225.html