さてさて、数々の名作が存在する「RPGツクール」製のフリーホラーゲームから、今回はさくっとできる短編『ナイトメアホルン』をご紹介。
主人公は、なぜか着ぐるみの頭をすっぽりとかぶせられた「アクター」。鍵のかかった部屋で目覚めた彼は、同じ境遇らしい「ジャック」とともに、閉じこめられた屋敷からの脱出を目指す。
ゲーム内容としては、各部屋の謎を解きつつ、追いかけてくる異形から逃げ回るというものになっている。もちろん異形に触れた時点でゲームオーバーだ。ちょうど『青鬼』とかと同じゲームシステムだ。
ただこの作品は、シンプルで印象深い演出やセリフの連続で、恐怖を積み重ねていく。暗い屋敷の中の、基本的に無音(BGMがない)の空間で、不意に音が鳴り、笑い声が起き、明るい部屋に出る。
このゲームではキャラクターどうしの会話などは控えめで、黙々と1~3階まである屋敷を駆け回ることになる。ダッシュしても微妙に遅いアクター君は、時に部屋に入ったところで背後から襲われたりしながらも(つまり、死んで覚えるタイプのゲーム)、パズルのように一つ一つの問題を解いていく。
変な信号機とか、ウサギとか、大正時代の大学生風の男とかの殺意をかわしつつ、謎とも問題ともつかない「課題」が、次の謎とも問題ともつかない事態へと連鎖していく。
適当にボタンを押して試行錯誤していれば解決するといった類いの謎ではなく、実際に頭をひねる要素もある。手元に、メモ用紙とペンを用意して、プレイに望んだ方がいいだろう。
「謎解きが苦手」という、そんなあなたも、安心して欲しい。
ゲームが進行できなくなったときの「詰み」対策もちゃんと実装済みだ。部屋ごとにヒントが聞ける。
屋敷の各部屋は脈絡がなく、でっかい時計があったりブランコがあったりするところもある。誰かの思い出か? それとも屋敷の意思か?
必要なアイテムを集め、各階の人物の提示する問題を解き、部屋を一つ一つ突破すると、いよいよ玄関のカギが手に入る。
やった! 出口だ! そして……
これまでの紹介でこのゲームに興味を持った人は、ぜひ自分の手で出口まで脱出してみてほしい。いろいろと考えさせられる余地を残し、恐怖は続く。そのあたりの演出も、まさに正統派ホラーといった感じだ。
作品のプレイ時間は20分~40分。シンプルながらも恐怖の要点を突き、ほどよい謎解きでストレスもフリー。主人公を追う「異形頭」たちは、制作者がTwitterで募集した有志たちがそれぞれ作成したもので、どれも個性的だ。
『ナイトメアホルン』。夜寝る前のちょっとした空き時間や、暗い雨の日で外に出る気が起きない休日などに、プレイするのがおすすめなゲームだ。
【基本情報】
タイトル『NIGHTMARE HORN』
制作者WH氏
クリア時間20~40分
対応OS Windows
価格無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14248