もぐらゲームスで多く取り上げられてきたフリーホラーゲーム。中でも見下ろし型の2Dホラーアドベンチャーは根強い人気があり、ストーリーや謎解きといったホラー以外の部分にも注目された作品が多い。一方で3Dのフリーホラーゲームは、日本では開発難度の高さやコストの面などから希少なものとなっている。
『影廊』は一人称視点で進む、和風の3Dフリーホラーゲームだ。暗い屋敷の中で能面をかぶった徘徊者に捕まらないように、屋敷のどこかにある「勾玉」を回収して出口を目指すという内容になっている。あまりの恐さに、開始数分で進められなくなる方も少なくない。その恐怖の味をお伝えしていこう。
古代より人間は暗闇を恐れた
プロローグ画面。すでに怪しげで、臨場感がある。
ひぐらしが鳴く夏の夕暮れ。路地の入り口に立ち、冒険心をくすぐられた主人公は奥へと入り込む。いつの間にか入り組んだ回廊のある屋敷に閉じ込められており、徘徊者に見つからないように探索していく。
緑色に光る「勾玉」を5つ集め、出口付近で捧げると脱出への扉が開く。
屋敷には様々なアイテムがある。周囲を照らせる「ライター」しか初めは持っていないが、遠くまで照らせる「ハンドライト」や出口の方向がわかる「コンパス」など、上手く使っていこう。
安全地帯となるロッカー。徘徊者が接近したらライターやハンドライトの明かりを消して隠れよう。
地面に置ける「光石」が放つ光は、徘徊者に感知されない。
光石を置いてロッカーまでの道を照らすことで、いざというときに隠れやすくなるだろう。また「鍵」を必要とする扉の前で肝心の鍵を持っていない場面でも、扉の近くに光石を置くことで未探索エリアへの目印としても使える。
姿は見えないが、何かが近づいている
不気味な回廊をひたすら進んでいく。
いきなり怪物が飛び出してくるような場面はないので、ビックリ系のホラーが苦手という方は安心してほしい。すべての敵は何らかの音を発しており、それが互いの距離を知らせる手がかりとなる。徘徊者が鳴らす音を聞いて身を潜める光景は、命がけのイス取りゲームのようだ。
シャンシャンと鈴を鳴らしながら、音と光に反応して探しに来る「神楽鈴の徘徊者」
シャンシャンと鈴の音が聞こえたら、手元の明かりを消して部屋の中でじっとしていよう。あるいは発見される前にダッシュでその場を離れるという手もある。他にもドタドタと高速で移動する「走り廻る徘徊者」もいて、その足音は他の物音を寄せ付けないほど響き渡り、視界だけを頼りに襲い掛かる敵だ。
泣きながら居座る「泣き声の主」
「泣き声の主」は勾玉の近くにいることが多い。強い光を当てずに、しゃがみながらゆっくりと移動すれば、よほど接近しない限りこちらに気付くことはない。この敵は音に敏感で、「爆竹」を鳴らせばその方向に誘導できる。しかし爆竹を鳴らすと、他の徘徊者を引きつけてしまうかもしれないというリスクを負う。
敵がすぐ近くにいると、ろうそくの炎が真っ赤に燃えて揺らめく。
『影廊』には、パターン通りに動けば必ず脱出できるといった完全な攻略法はない。なぜならゲームを開始するたびにマップが一部変わったり、アイテム配置もバラバラになったりするからだ。暗い部屋の中でじっと息を潜めているときに、徘徊者が気まぐれにガチャリと扉を開けることもある。見つからないことを祈る瞬間、心臓が高鳴るほどのじわじわとした恐怖が迫るのである。暗闇を希望の光で照らしながら、あなただけの脱出劇を繰り広げてほしい。
[作品情報]
タイトル:『影廊』
制作者:城間一樹
クリア時間:30分程度
価格:無料
ダウンロードはこちら
http://www.freem.ne.jp/win/game/15097