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Channel: フリーゲーム –もぐらゲームス
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永遠に繰り返される場所と共に「私」は……。不思議で不気味な脱出ゲーム『CONANROOM』。

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廃れた集合住宅で同棲する青年の「私」と売れない絵描きの「彼」。
「私」は「彼」を養うべく、仕事漬けになった。
それでも「私」と「彼」は幸せな日々を送っていた。
だが、「私」が仕事に行っている間、それは起きた。

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『CONANROOM』は、当もぐらゲームスにもレビューを掲載している探索型ロールプレイングゲーム『ヨルダケ』の作者でイラストレーターでもある、じゃむさんっぽいど氏制作による脱出ゲーム。同作に続く新作で、2019年1月7日より「ふりーむ!」において、PC(Windows)用フリーゲームとして配信されている。

「私」は失った。

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本作でプレイヤーが成すべきことは、舞台となる集合住宅からの脱出。主人公の「私」を操作し、出口を目指す。しかし、それに当たる住宅の玄関口へはすぐに辿り着けてしまう。行く手を阻む障害も一切ないので、文字通り”あっという間”だ。

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だが、玄関口から出ても終わりとならない。そもそも、この住宅からの脱出は不可能。本記事の見出しの通り、住宅内は無限ループする構造になっている。玄関口から外に出て、階段を降り、そこにあるドアを開けると……

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スタート地点の部屋へと戻ってしまうのだ。再び、玄関口まで進み、外に出たとしても同じ。振り出しへと戻されてしまう。では、どこかに脱出に繋がる秘密のルートがあるのか、と考えてしまうが、基本的にスタート地点の部屋、廊下と玄関口、その先の階段以外に繋がりそうな場所にはカギがかけられている。しかも、隠されたアイテムを見つけ、使うシステムは無し。プレイヤーのできることは、「私」を動かす、住宅内に置かれた家具・小物などを調べるの二つに絞り込まれている。

探索範囲が狭い、できることもごく僅か。
なのに、脱出しなければならない。
まさに不条理の一言に尽きる内容だ。

一体、このような場でプレイヤーは何をすればいいのか。
簡潔に言うなら、流れに身を任すしかない。

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特に調べた際、何らかの反応を示す物に注意を払うことがカギとなる。詳細は伏せるが、ループを繰り返すごとに変化するものが幾つか存在する。それらを注意深く観察していくことで、”何か”が進展する。

どんなことが起きるのかもまた伏せるが、少しずつこのループする集合住宅の正体とループ構造の理由が明らかになっていく。同時に本作が脱出ゲームを呼称していることへの疑いも強くなっていくだろう。

「私」は愛していた。大事に思っていた。

ストーリーも同様にループを重ねる度、少しずつ全容が明かされていく。

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本作の主人公「私」は、仕事漬けの日々を送る青年。売れない絵描きの「彼」を愛し、養うためにそのような身になった。だが、いつも通り仕事から帰ってきた後、幸せだった日々は終わりを迎えた。

ゲームはその出来事が起きた後と思しき時間軸から始まる。何故、ループ空間に送り込まれたのか、その辺りの経緯は一切描かれも、語られもしない。だが何度かのループ、変化するものの観察を続けるのにつれ、徐々に真相がひも解かれていく。

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その内容は一言で言って悲痛だ。愛することと大事に思うこと、それは関係を持つ人間にとって不変であり、境目などはないことを考え、思い知らされる、心に訴えかけるものになっている。それらをループ構造のマップを進むゲームプレイ、僅かなテキスト、演出と言った本作を構成する要素を駆使して描いているのも素晴らしく、一連の展開への印象を一層強いものとする。

また、本作には三種類のエンディングが用意されており、それぞれ全く異なる結末を迎える。中でも特殊な手順を踏むことで辿り着けるエンディングは、いずれも「私」と「彼」の二人の関係性に迫るものになっていて必見。同時に、ある一つの事実に対する疑いが生まれ、とある演出に抱いた印象が180度変わる事態まで引き起こす

時には初めて足を踏み入れるマップが現れることも……。

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普通にプレイしていくと、大体30分~1時間程度でエンディングを迎える。ただ、そのエンディングでは「私」と「彼」の関係性がハッキリしないまま、幕を引いてしまうだろう。もし、消化不良を感じた場合はぜひ、隠された二つのエンディングを目指してみて欲しい。そして、流れに身を任せて進めていただきたい。

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きっと、心を抉られるような体験をするだろう

そして「私」は……

懐かしさ溢れるドット絵で描写されたマップ、家具や小物のグラフィックも見所の一つ。特に部屋、廊下における生活感を表現する家具、小物の配置は見事で、細部までこだわったことをうかがい知れる。テキストのフォントも手書き調の独自のものが採り入れられており、それが本作全編に漂う不条理さを際立てる。

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音楽に関しては基本、無音。しかし、それもあって唐突に何らかの音が鳴り響いた際の恐怖感は格別。また、一部の会話がフルボイス仕様なのもドキッとさせられる。

先の通り、エンディングまでに要する時間は30分~1時間程度と短めで、難易度もそれほど高くない。むしろ、低い。本格的な脱出ゲームを求めると、肩透かしを喰らうかもしれない。しかしながら、僅かなマップとループ構造を活かした意欲的な構成、それらを活かしながら描かれていく悲痛で不変性の高いテーマを扱ったストーリー、仕掛けの凝らされた演出で、プレイヤーに強い印象を残す作品に完成されている。ぜひ、ヘッドホンを装着した上で、この無限ループの世界に身を投じ、脱出を目指してみよう。

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無事、脱出できた時、貴方は何を見るだろうか。

[基本情報]
タイトル:『CONANROOM』
制作者: じゃむさんっぽいど
クリア時間: 30分~1時間(エンド数:3)
難易度:初級~上級者向け
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料
備考:出血、ホラー描写あり(※推奨年齢:12歳以上)

ダウンロードはこちらから
https://www.freem.ne.jp/win/game/19298


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