日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。
本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。
今回はオムニバスRPG、推理ノベルゲーム、学校ホラーゲームの3つをピックアップした。いずれも今後のアップデートと完成が期待されるタイトルだ。興味があれば、ぜひ実際にプレイしてその魅力を確かめてみて欲しい。
目次
機攻創英群伝アルトゥール
RPGツクールフォーラムの創作イベント「ぼく・わたしのオリキャラ発表会♪」の第1回にて、第2位入賞を果たしたロボットキャラクター「RPG-HB06MV アルトゥール」が活躍する作品を作りたいとの思いから、生みの親である作者・個人趣味ゲーム制作うにむしや氏自ら制作中のオムニバスシチュエーション式RPG。
アルトゥールの活躍する、異なるシナリオ（シチュエーション）の短編・中編RPGを複数収録した、大胆なコンセプトが光る作品となっている。
執筆時点で遊べるシチュエーションは4本。本編はそれらを自由に選び、進めていく形だ。シチュエーションごとの世界観、設定は全て独立した内容。巨大な魔物との最終決戦を描くファンタジーから、未来の地球を舞台にした戦争、果てはトラブルで不時着した謎の活火山からの脱出まで、多種多様なストーリーが用意されている。
さらにゲーム部分も基本はロボットを題材にしたRPGで、近接と遠距離に分けられた攻撃コマンドの使い分けが試される戦闘システムを特色としながら、シチュエーションごとに要求される戦術も差別化。魔法攻撃が使えたり、エネルギーが制限された中での技の運用を考えるなど、同じなのに全く異なる手応えの戦闘が展開される。しかも、シチュエーションによっては戦闘自体が存在しないものも。まさにオムニバス形式ならではの個性付け、自由な発想が炸裂した仕上がりだ。
最終的なシチュエーションの数は選択画面から推測するに、7本を予定しているようで、他の4本とはどんな違いを付けてくるのか、期待が膨らむ。戦闘システムが複雑な関係で覚える事柄が多く、若干の取っ付きにくさもあるのだが、複数の独立した短編、中編RPGを1本で楽しめるという内容だけでも強烈なインパクトを放つ作品。このコンセプトに興味を持った方はぜひ、「ゲームアツマール」にてプレイしてみて欲しい。
[基本情報]
タイトル：『機攻創英群伝アルトゥール ～ Project Artur ～』
作者：個人趣味ゲーム制作うにむしや
クリア時間：3～5時間（※4つのシチュエーション合計）
対応プラットフォーム：ブラウザ、スマートフォン
価格：無料
※プレイはこちら（ゲームアツマール）
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm18821
FOO(D) ARE YOU?
何故か記憶喪失になっていた主人公が、レストランの専属シェフとして働き、訪れる客たちの記憶と名前を取り戻すことに挑む、摩訶不思議なストーリーを描いた、ティラノスクリプト製推理ノベルゲーム。
最大の特色はジャンル名、ストーリー設定が表す通りの推理パート。舞台となるレストラン「canal」には何故か、記憶と容姿を失った真っ黒な客が訪れてくるようになっており、プレイヤーは彼らに料理を提供し、個人にまつわる情報を収集。それを元にして「予約リスト」に記録された名前と一致する情報を持つ人物を探し出し、特定することに挑むのである。
しかも、本作にはノベルゲームらしからぬ「ターン制」を採用。料理を提供し、情報を得ると1ターンが消費され、規定されたターン数を満たしてしまうと強制的に人名の特定へと移行するようになっている。つまり、限られたターンの内に情報を集め、特定へと繋げなければならないのだ。しかも、情報の中には”ひっかけ”もあるため、安易な判断が命取り（という名のゲームオーバー）になることも。このため、総当たりによる選択も困難を極め、本腰入れて推理することが試される。まさにジャンル名通りの内容と言った感じで、設定特有の手強さ、無事客の名前を特定できた時の達成感が際立つ作りになっている。
ストーリーも記憶喪失の主人公、彼を知る謎の女性など、先の展開が気になる要素満載で、ミステリー好きの琴線を刺激。
執筆時点では序章及び1章しか遊べないが、システム周りの意欲的な試みと推理の手強さもあって、今後のアップデートによるストーリー追加に注目が集まる内容。最終的なボリュームもどれほど大きくなるのか、完成版の登場にも期待させられる1本だ。今のところ「ふりーむ！」でのみ公開中で、ブラウザ版しか無いのだが、それを乗り越えてでも遊ぶ価値はある注目の新作。ゆくゆくは公開先の拡大にも期待したい。
[基本情報]
タイトル：『FOO(D) ARE YOU?』
作者：蒼都ミエル
クリア時間：30分
対応プラットフォーム：ブラウザ
価格：無料
※プレイはこちら（ふりーむ！）
https://www.freem.ne.jp/win/game/24884
ミッドナイトシンドローム
深夜の学校に忍び込んで、「こっくりさん」をすることになった3人の女子高生が怪奇現象に襲われる模様を描いたホラーアドベンチャーゲーム。厳密には探索型アドベンチャーな作りで、プレイヤーキャラクターを操作して学校内を舞台にした局地マップを行き来しながらストーリーを進め、怪奇現象が元で生じる様々な障害を乗り越えていく形になる。
開かなくなった扉を開錠するために道具を探したり、3人を襲う謎の存在から逃げるなど、ゲームプレイ面はよくある探索型アドベンチャーで、さほど真新しさはない。ただ、主要キャラクターたる3人の女子高生の個性が非常に強く、雰囲気はおどろおどろしいのに会話のノリは明るくて愉快な感じと、濃淡の差が際立つ作風になっている。
また、ストーリーは章単位で進行するのだが、次の章へ移るに当たっては、学校に通う生徒たちの雑談から怪しい噂の情報を集めるという、風変わりな段取りを踏む作りになっている。その情報収集を行うのも昼間の学校と、ホラー作品にしては稀な明るく、怖さも何もない専用パートになっているのが面白い。地味に学校内のマップも広くて探索し甲斐があるに加え、噂とは無関係の雑談も豊富に用意されていたりと、細かい作り込みが図られているのも印象的。
他にグラフィック面も登場人物たちの立ち絵、状況に応じて変化するマップの風景など凝った仕上がり。執筆時点では1章のみプレイ可能で、完成版はPCダウンロード版のreadmeファイルによれば、全8章になる模様。さらに分岐要素も実装され、3種類のエンディングが用意されるようだ。そして、どこかしらで”誰かの死”も描かれるらしい。それは主要人物の誰かなのか、或いは特定の章にだけ出てくる特定の人物なのか。詳細は不明ながら、今後のストーリー追加が待ち遠しい1本だ。
[基本情報]
タイトル：『ミッドナイトシンドローム』
作者：ナツミカン
クリア時間：30分（※1章のみ）
対応プラットフォーム：Windows、ブラウザ
価格：無料
※ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/25540
※プレイはこちら（ゲームアツマール）
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm19423