日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。
本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。
今回はストーリーの続きがどうなるのか、無性に気になってしまう3タイトルをピックアップした。内訳はアドベンチャーゲーム1本、探索型アドベンチャーゲーム2本となる。いずれも完成版の登場に留まらず、これからストーリーがどんな方向に転がっていくのか見逃せなくなるタイトルだ。
機会があれば実際にプレイし、その気になる具合をお確かめいただきたい。
もちろん、ゲーム部分もお見逃しのないよう。
目次
ダウト-嘘と真実のデスゲーム-
「ショブン列車」なる謎の列車に乗車させられた11人が、首謀者の”シャショウ”が開催する乗客が乗客を殺すゲーム「ショブンゲーム」に巻き込まれていく模様を描いたアドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公「清水和彦(しみず かずひこ)」の視点に立ち、登場人物たちとの会話を交わしつつ、ストーリーを進めていく。
見所は章終盤の「最終審査(ジャッジタイム)」。ここでプレイヤーは他の乗客たちとの議論に参加し、会話の中に潜む誤情報「ダウト」を指摘しつつ、議論の場にいないひとりの乗客を殺した犯人「ジョーカー」を見つけ出すことになる。
紹介が前後したが、「ショブンゲーム」では11人全員にトランプのカードが配られ、「ジョーカー」を引いたひとりが他の乗客のショブン(殺害)実行を強いられる。
ただし、ショブンは誰にも気付かれぬよう実行しなければならない。「最終審査」まで他の乗客に「ジョーカー」であることを隠し通せれば、列車からの途中下車が可能。逆にバレてしまうと「ジョーカー」自身がショブンされる。
なので、「ジョーカー」に選ばれた人はその正体を隠し通し、そうでない人は事件現場から様々な証拠品こと「カード」を集め、「ジョーカー」を白日の下に晒すという立場の異なる行動が求められてくるようになっている。
ただし、若干ネタバレになるが、本稿執筆時点で公開中の体験版では「ジョーカー」視点には立てない。さらに移動、探索もストーリー進行に合わせて自動で行われる仕様で、プレイヤーが介入できる余地も少ない。
「最終審査」のみ選択肢を選ぶ必要があるが、ハズレを選んでもペナルティはないなど、総じてゲーム部分は実質、未完成に等しいものになっている。
逆を言えばストーリーを見せることに特化しており、大変衝撃的な展開が繰り広げられる。特に結末はその極み。見れば嫌でも続きが知りたくなってしまうだろう。ペナルティを含め、システム周りが整うことでスリリングで気が抜けないアドベンチャーゲームになる可能性を感じられる部分も多い。
衝撃と憎悪が入り混じる、唯一無二の余韻が残る内容になっているので、気になればぜひ体験いただきたい。あなたはこの結末に正気を保てるか?
そして、「早く続きを!」という気持ちを抑え込めるか……?
[基本情報]
タイトル:『ダウト-嘘と真実のデスゲーム-』
作者:めぐを
クリア時間:1時間
対応プラットフォーム:ブラウザ
価格:無料
◇プレイはこちら
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm13373
アクアリウムは踊らない
水族館が舞台の探索型ホラーアドベンチャーゲーム。”ホラー嫌いが作る!?水族館フリーホラーゲーム”をキャッチコピーとした作品でもある。本稿執筆時点では前編という形で公開されている。
「ビアンカ水族館」にやってきた少女「スーズ」が、館内で姿を消した友人「ルル」を捜していた中、凶悪な海洋生物たちが蔓延る謎の世界に迷い込んでしまうというストーリー。プレイヤーはスーズに扮し、ルルの発見と謎の世界からの脱出に挑む。
内容としてはマップを行き来し、謎解きや追跡する敵からの逃亡といったイベントを攻略していくというもの。探索型アドベンチャーゲームとしては正統派の作りだ。
特徴は”謎”を強調した作風。イベント、システム、ストーリーなど、随所に「なぜこうなった?」と言いたくなること請け合いの謎が詰め込まれている。
とりわけストーリーはその象徴で、続々と謎が襲い掛かってはプレイヤーを先の展開へと誘っていく。「この世界は?」「あの人物は?」「海洋生物たちは敵なのか?それとも……」など、プレイ時は脳内が疑問だらけになるだろう。
システム面でも「クラゲ」になって水槽内を探索する「変身システム」が謎っぷりを演出。これで近道したり、仕掛けを動かすといった謎めいた展開も設けられている。
謎解きも本格的。その昔、毎週土曜日午後7時より放送されていた某パズルクイズ番組が脳裏をよぎる”スッキリ&モヤッと”な難問揃いである。演出面もホラー嫌いが作ると称していながら謎に怖くて猟奇的。ホラー嫌いが作っているということは、苦手な人も安心の作風なのかと思うかもしれないが、プレイすればいい意味で裏切られる。そして、その触れ込みと180度異なる仕上がりに大いなる謎を抱く……かも。
静かで幻想的な雰囲気、海洋生物に関する豊富な豆知識ネタと、細かい部分にも見所が満載。ボリュームも一区切りまで2~3時間と大きく、前述の謎解きも相まってやり応え抜群。結末を見た瞬間、早急に後編を欲したくなる禁断症状(?)が出る副作用こそあるが、非常に手の込んだ力作だ。
舞台設定と謎だらけという特徴が少しでも気になるのなら迷わず来館を。
[基本情報]
タイトル:『アクアリウムは踊らない』
作者:橙々
クリア時間:2~3時間
対応プラットフォーム:Windows、macOS、ブラウザ
価格:無料(※投げ銭版:¥500)
公式サイト:https://daidai7742.wixsite.com/aqua-dance
プレイはこちら(ブラウザ版)
◇ゲームアツマール
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm10913
ダウンロードはこちら
◇ふりーむ!(※ふりーむ!ID必須、ブラウザ版あり)
https://www.freem.ne.jp/win/game/20774
◇BOOTH(※pixiv ID必須)
https://daidaitaiyaki.booth.pm/items/3141179
ドールハウスクール-おもちゃの異世界学校-
意志を持ったぬいぐるみが徘徊する、異世界の学校に迷い込んだ3人の学生たちの脱出劇を描いた探索型アドベンチャーゲーム。
2021年末にPC、ブラウザ向けフリーゲームとして公開された『トイボックスの夢の中で』と世界観を共有する作品。ただし、同じ世界の別軸という設定のため、『トイボックスの夢の中で』未プレイでも問題なく楽しめるストーリーになっている。
主人公「星野七生(ほしの ななお)」を操作し、謎の学校内を探索しつつ、要所ごとで発生するイベントを攻略していくというのが主な内容。ジャンル的には正統派寄りで、イベントの種類も謎解き、敵からの逃亡など定番を網羅している。
見所は可愛い系ホラーとも言える世界観。
デザイン的には可愛さを推し出しているのだが、演出周りが不気味で、怪しい世界の学校という設定に忠実な”禍々しさ”が色彩、音楽周りにて炸裂している。
イベントも、追跡とステルスの双方は1回でも敵のぬいぐるみに捕まるとゲームオーバーになるためスリル満点。ただ、苦手なプレイヤーに配慮して難易度選択機能も搭載。何回かゲームオーバーを繰り返すと、リトライ時に難易度を下げる選択肢も表示されるなど、行き詰まり対策も万全になされている。本編進行においても、次に何をすればいいかはメニュー画面を通して常に教えてくれたりと、細かく配慮された設計だ。
謎解きも「着せ替えシステム」なる、アイテムを装備して通常では得られない情報を集める過程がユニーク。情報収集に限らず、移動速度を上げるなど能力的な変化も起きるようになっているのも見所だ。
ストーリーも謎と不気味さが入り混じる独特な内容。ただ、会話のノリはやや明るめ。特にヒロインの飴川モモの一挙一動には微笑ましい気持ちになること請け合いだ。また、今後どんな展開を見せるのか、興味をひく場面や伏線もいくつか。
ドット絵主体のグラフィックの作り込みも凄く、それ目的で遊んでも高い満足感が得られる。この可愛くも怖い雰囲気と世界観に関心を抱いたのなら、ぜひ遊んでみていただきたい1本だ。前作『トイボックスの夢の中で』を遊んだ人もぜひ。
[基本情報]
タイトル:『ドールハウスクール-おもちゃの異世界学校-』
作者:涼原(suzumiharagames)
クリア時間:1時間
対応プラットフォーム:Windows、macOS、ブラウザ
価格:無料
備考:PCでのプレイ推奨(スマホ、タブレットの場合、表示不具合が生じる可能性あり)
ダウンロードはこちら
◇BOOTH(※pixiv ID必須)
https://suzumiharagames.booth.pm/items/3856632
プレイはこちら
◇ゲームアツマール
https://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm24757