ホテルの一室で起きた事件の謎を探るフリーゲーム『418号室』。マップの狭さを逆手に取った不気味さの演出
ゲームを遊んでいるとどういう時に怖いと感じるだろうか。脅かしの演出か、それとも異形の追いかけっこか。しかし、これまで多くのフリーホラーゲームを遊んできて、直球のホラーよりも怖いと感じるのは、「日常の変化」だ。
「あるはずのものがない」、「ついさっきまである場所と違うところにある」、「見たことのないものが見える」といった日常の変化は、寒気が走るような不気味さを演出する。
こうした日常の変化に注目したゲームでは『つぐのひ』、『幻想乙女のおかしな隠れ家』などが有名だが、雰囲気が命となるため、雰囲気をぶち壊さないよう絶妙な演出が必要となる。
今回紹介するフリーゲーム『418号室』は、現在開催中のフリーゲームコンテスト「ワンマッブフェス」に応募されている作品だ。このコンテストは、名前の通り使用するマップは一つだけ。マップの切り替えは許されない。限られた空間でどのようなストーリーを組み、演出を凝らすのか。この制約条件を逆手に取って不気味さを際立たせているのが『418号室』だ。
プレイ時間も20分程度と非常に短く、謎に迫るストーリー展開とプレイヤーをドキドキさせる演出が1つのマップの中でどのように展開されるのか、その魅力を紹介していきたい。
呪われた部屋の謎
とあるホテルの一室は、呪われているという噂がある。
2年前、泊まった女性が突然、自殺したからだ。伴侶だったハロルドは彼女がなぜ死んだのか、その理由を知るために呪われた部屋を訪れる…。
このゲームの舞台は呪われた418号室。プレイヤーは主人公のハロルドを操作して2年前に死んだ女性・エミリーの死の謎を探る。
舞台となるのはこの部屋のみ。2年前、この部屋で何が起きたのか
部屋を調べていると不思議な現象が起きるのだが、なにせ舞台は一部屋のみ。ホラーアドベンチャーでお決まりの追いかけられる要素や脅かしの演出はもちろんあるが、すぐに全体の探索も終わってしまうが故に、徐々に異変が起きるのが不気味だ。狭さを逆手にとって不気味さを演出している。
「部屋の照明を落としてスポットライトになる」といったように部屋の見せ方を変えたり、「何かを調べるために部屋を横断する」ことでさらに何かが起きるのではないかという緊張感を高めるなど、演出上の工夫の限りがつめ込まれている。
狭い部屋の中をくまなく探すという設定と、1つのマップを舞台にするという制約条件がうまく融合している一作だ。
最後には意外なエンディングがプレイヤーを待っている。短編ミステリー小説を楽しむような感覚で楽しんでいただきたい。
[基本情報]
タイトル『418号室』
制作者 てるふぉん(制作者様サイトはこちら)
クリア時間 20分ほど
対応OS Windows XP/Vista/7/8
価格 無料
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10026