日々、個性豊かな新作が誕生し続けているフリーゲーム。その中には完成品に限らず、現在制作途上のものもあり、公開後も都度実施されるアップデートで完成に向け、着々と進歩し続けている。
本記事では、そんな制作途上のフリーゲームより注目の3本を紹介。
2021年最後となる今回はノベルゲーム、RPG、探索型アドベンチャーゲームの計3タイトルをピックアップした。いずれも今後のアップデート、完成版の登場が期待されるタイトルだ。機会があればぜひ、実際にプレイしてその魅力を確かめてみて欲しい。
目次
怪事戯話 -アヤシゴトバナシ- R
「古霊町(こだままち)」の古霊北中学校美術部では、連日のように怪談集会が行われていた。だが、それがその地に封られた本物の妖怪と、地獄へと繋がる道「大霊道」を解放させるきっかけになってしまう。
美術部員の烏貝乙瓜(カラスガイイツカ)と黒梅魔鬼(クロウメマキ)の2人は、復活した本物の妖怪、草萼火遠(ソウガクカノン)に命じられ、「大霊道」封印のため、校内で起きる怪事(アヤシゴト)の解決に奔走することになる……。
そんな巻き込まれた主人公2人と妖怪の活躍を描いたノベルゲーム。原作はWEB小説「怪事戯話」で、それを作者自らゲーム化させた作品である。
基本はエピソード(第○怪)単位で用意されたストーリーを読み進めていくことに徹する1本道構成。ただ、ゲーム化と同時に選択肢による分岐が導入されており、選んだ種類に応じて以降の展開に変化が生じるようになっている。しかも、エピソードによっては選び方次第でバッドエンド直行になるなど、ゲーム要素のあるイベントも用意。終始、ストーリーを読み進めるだけに留まらない工夫もも凝らされている。
一枚絵(スチル)、動画による演出も豊富で、ここぞという時に大きな盛り上がりを見せてくれる。特にオープニングムービーは場面ごとのカット割りなど、テレビアニメを強く意識した手の込んだものになっているので必見だ。
ストーリーも基本は原作を踏襲しているが、節々に新規の場面があり、読んだことのある人でも新鮮な気持ちで楽しめる。他にボリュームも1話辺り約30分、登場人物のプロフィールなどのおまけも完備するなど充実している。
現時点で第四怪+αと序盤のみが実装済みだが、その密度は驚くほど濃い。オカルト、巻き込まれ系、異能バトルのいずれかのワードにピンと来た人ならば、確実に刺さる内容。原作の小説を知らずとも大丈夫なので、興味を抱いたらぜひ、遊んでみていただきたい。
[基本情報]
タイトル:『怪事戯話 -アヤシゴトバナシ- R』
作者:6045*
クリア時間:3~4時間
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料
備考:出血、暴力表現あり
ダウンロードはこちら
https://www.freem.ne.jp/win/game/25048
公式サイトはこちら
https://6045.moryou.com/ayasigoto_R/
氷棘のマリオネッタ
終わりなき冬に見舞われ、滅び行く国を舞台に、魔導技術を駆使する魔道技師の少年アルバが真実に迫っていくストーリーを描いた作品。RPGとしてはストーリー主導型の構成で、「Chapter」ごとに用意されたマップ、イベントの攻略を主軸に進めていく作りになっている。
特色は「魔導人形」なるパートナーキャラクター。主に敵との戦闘で活躍する存在で、パーティのひとりとしての参加に加え、他のメンバーの能力を強化する補助効果を付与してくれる。しかも、必要なパーツが揃えば独自に製造することも可能。全部で6種類の異なるスタイルがあり、どれを作るかで戦術面に変化が生じるようになっている。
また、戦闘は敏捷性の高い順から行動するターン制だが、通常攻撃などのコマンドは全て「スキル」に格納。その「スキル」にも「シンボル」なるものが設定されていて、一定のパターンで揃うと「共鳴シンボルボーナス」が発生。ターン開始の際にパーティ全体の能力強化が実施されるといったボーナスが発生する。その効果は「共鳴」のレベルが上がるほど高くなる仕組みで、積極的に狙うことにより大胆な戦術で攻め込めるようにもなっている。この他にも「前衛と後衛」の概念があり、それによって狙われるメンバーが極端に変わる仕掛けも搭載。基本こそ伝統的だが、使いこなせば複雑な戦い方が可能になる、凝った工夫が光るシステムになっている。
ストーリーもキャラクターたちは可愛らしいが、その実は殺伐としていて、一部ゾッとする演出も仕込まれている。特に体験版終盤にアルバの身に起きる出来事は、色んな意味で強烈な印象を残すはずだ。
体験版で遊べるのは、本編の6年前が舞台の過去エピソードのみだが、各種独自要素の魅力は十分に堪能できる内容になっている。明らかに大作になる可能性が高く、完成にはまだ時間を要すと思われるが、RPG好きならば要チェックの1本だ。
[基本情報]
タイトル:『氷棘のマリオネッタ』
作者:ほうきぐさ
クリア時間:1時間
対応プラットフォーム:Windows
価格:無料
備考:12歳以上対象
ダウンロードはこちら(※要pixiv ID)
https://booth.pm/ja/items/3355632
2in(ツイン)
荒廃した屋敷が佇む謎の世界に迷い込んだ少女「チェム」が、そこで出会ったもうひとりの少女「エミリー」と共に脱出を目指す探索アドベンチャーゲーム。PCダウンロード版とブラウザ版の2種類が執筆時点で「ふりーむ!」、「ゲームアツマール」の2サイトにて前編が公開中となっている。
特色は骨太な探索要素。本編はストーリーに沿ってオープニングの図書館、その先の本番たる謎の世界の屋敷内部を探索していくのだが、道中に設けられた謎解きの難易度が本格的。周辺地形の入念な確認、調査なくして解明困難な作りになっている。また、ダメージの概念が存在。特定の謎解きで手順を誤ると画面右上に表示された体力が減少し、空になると概ねお察しの通りになる。謎解き以外にも屋敷内部にはプレイヤーに害を及ぼす存在がおり、触れれば当然のようにダメージ。また、イベントによっては制限時間内に判断および行動を取ることも求められてくる。
さらに前述のエミリーと遭遇して以降は、キャラクターの切り替えシステムが解禁。どちらかを待機させて単独行動を取る(※現在いる部屋限定)、アイテムを受け渡す、個々の特技を活かすといった攻略が試されるようになってくる。そんな全編に渡って謎を解く手ごわさと面白さを突き詰める作り込みが図られており、その種の要素が好きな人には辛抱たまらない内容になっている。
ストーリーも不気味な雰囲気と謎めいた登場人物たち、先の読めない展開の数々でプレイヤーを引き込ませる。演出面も文字フォントの使い分け、会話シーンでの立ち絵制御など、細かすぎるこだわりが光る仕上がりだ。反動でテンポへの影響もあり、特にオープニングから操作可能になるまでが長いのは気になるが、本格的な謎解きと探索要素、そして興味深いストーリーで豪快に力押す潔さが実に痛快。ボリューム面も含め、手の込んだ作品になっているので、興味があればお試しいただきたい1本だ。
[基本情報]
タイトル:『2in(ツイン)』
作者:Re:Cho・L・Choco.
クリア時間:3~4時間
対応プラットフォーム:Windows、ブラウザ
価格:無料
ダウンロードはこちら(PCダウンロード版)
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/27024
※フリーゲーム夢現(ブラウザ版もあり)
https://freegame-mugen.jp/adventure/game_9845.html
プレイはこちら(ブラウザ版)
※ふりーむ!
https://www.freem.ne.jp/win/game/26850