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ウディコンでお盆休みはフリゲ三昧!第7回 WOLF RPGエディターコンテストのプレイ・投票期間が開始、応募作品は70作品を超える力作揃い

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先日紹介した、「第7回 WOLF RPGエディターコンテスト」の投票期間がついに開始された。

通称「ウディコン」と言われるこのコンテストは、その年に「WOLF RPGエディター(ウディタ)」を使って作られたフリーゲーム作品の頂点を決める、と言っても過言ではない。このため、力作が数多く集まるのが楽しみなイベントとなっている。

ウディタ製のゲームのひとつの特徴として、ゲームシステムに独自の趣向が凝らされたゲームが多い、ということが挙げられる。

独自の趣向が凝らされたゲームは、まさにフリーゲームの醍醐味だ。様々なチャレンジングな試み、新規性がプレイヤーを楽しませてくれる。

WOLF RPGエディターコンテスト 応募作品

投票期間は、2015年8月25日まで
今回の応募作品は73作品と、かなりのボリュームになっている。応募作品一覧を見つつ「これは!」と思ったフリーゲームをプレイし、清き一票を投票してみてはいかがだろうか?暑いお盆休みを、熱いフリーゲームを楽しむ期間にしてしまおう。


フリーゲームRPG『あかねいろのそら』。総プレイ時間10分で完結する悲劇の物語と練られた戦闘システム

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フリーゲームには、コンシューマゲームでは見ることの少ない、数十分から短時間でクリアできる短編RPGが数多く存在する。それらの中には物語性の重視、はたまた、RPGの魅力の一つであるバトルシステムがこだわり抜かれたものなど、多種多様だ。

今回は、そんな短編フリーゲームRPGの中から1作品『あかねいろのそら』を紹介する。
本作は、10分程度という短い時間ながら、丁寧にまとめ上がられた物語が楽しめる短編となっており、ドット絵のキャラクターが活き活きと動くバトルも特徴的なものとなっている。

生き別れた少女を探し、少年は空を目指す

本作は、主人公の少年「シェード」が生き別れた少女を探すという目的で、訪れた塔の最上階を目指していくものとなっている。塔の入り口で謎の力を持った少女「イム」と出会うシェード。素性のつかめないイムと共に、シェードは赤い色の空の見える塔の最上階を目指していく。

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主人公「シェード」。どうやら複雑な過去を持っているようだが…

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シェードが塔で出会う謎の少女「イム」。魔法のような特殊能力を扱うことが出来る

シェードが最上階へたどり着くまでには、塔の中に現れる複数の敵と戦わなければならない。戦闘はランダムエンカウントではなく、全てイベント固定のものとなっている。塔の特定の場所まで進むと会話のイベントが発生、そして敵とエンカウントするのだ。

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戦闘で見ることが出来る滑らかなキャラクターの動きにも注目したい

出現する敵も固定となっており、本作の戦闘は全てがボス戦のようなものといってもいいだろう。ボス戦のようなものとはいえ、戦闘の難易度的には難しすぎるということはなく、キャラクターごとの特徴や、これから述べる「属性」について理解すれば敵を打ち倒すことが出来るだろう。

戦闘で注目すべきポイントとして、キャラクターの持つ「属性」の要素がある。属性には「刹」と「悠」の2つがあり、二つの属性は互いに弱点属性となっている。つまり「刹」属性の相手に「悠」属性の攻撃を行なったり、逆に「悠」属性の相手に「刹」属性の攻撃を行なうと大きなダメージを与えることが出来るが、相手と同じ属性の攻撃を行なうとダメージは半減してしまう。

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キャラクターや技にはそれぞれ属性が設定されている

操作キャラクターであるシェードは「刹」、イムは「悠」の属性をそれぞれ持っているので、たとえば「悠」属性の敵が相手となる場合は、攻撃力の高い技をシェードに使わせ、イムには補助的な要素の強い技を優先させる、といった立ち回りを行なうなど、相手の属性に応じて作戦を工夫すると効果的だろう。

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相手の属性に応じてキャラクターの立ち回りを決めよう

塔を登っていく途中、いくつか謎解きを行なうシーンがある。謎解きはヒントや、部屋の構造を見ることで解くことが出来るものとなっている。謎が解けないときは、周囲を見渡したり、ときには少し引き返してみるのもヒントになるだろう。

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周りを見渡し、部屋の様子を見て、謎を解いていこう

最上階を目指す中で語られる物語、そして待ち受ける結末

敵との戦いや謎解きを行ないながら、塔の上を目指していくシェードとイム。最上階に近づくにつれ、シェードの探している「少女」のことについて語られていく。ここからは断片的ではあるが、その短いながらもまとめ上げられた物語を紹介していきたい。

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シェードはなぜ少女を探しているのだろうか

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たびたび挿話される、塔の最上階にて待つ少女の独白。シェードとの過去が語られる

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イムに導かれるようにして塔の上を目指すシェード

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立ちはだかる敵を倒し…

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ついに少女と対面したシェードは…

10分程度という短い時間ながら、物語・戦闘システム共に練られた短編となっている本作『あかねいろのそら』。RPG好きのプレイヤーには、ぜひ遊んでみてほしい一作だ。

[基本情報]
タイトル 『あかねいろのそら』
制作者 青汁(制作者様サイトはこちら
クリア時間 10~15分
対応OS win 2000 / NT / ME / XP / VISTA / 7
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/5125

ビジネスパーソンに遊んでほしいフリーゲーム・インディゲーム9選

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夏真っ盛り。ビジネスパーソンの皆様はいかがお過ごしだろうか?お盆は休みを取れただろうか?今回は、忙しい皆様の空き時間をさらにビジネス一色に染めるべく、フリーゲーム・インディゲーム作品の中から選りすぐって「ビジネスパーソンに遊んでほしい作品」をピックアップしてみたい。

休み中もビジネスをテーマにしたゲームをプレイしていれば、きっと休み明けもボケずにゲーム感覚で仕事にとりかかる事ができるだろう。同僚に一足も二足も差をつけて自慢してしまおう。

World End Economica

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人気ライトノベル『狼と香辛料』の作者である支倉凍砂氏がシナリオを務める、全3部作の大作ノベルゲーム。本作は小説化もされており、現在はSekai Projectにて原作の英語化プロジェクトが進行中となっている
舞台は、人類が月面都市に住むようになった架空の世界。主人公の少年「ハル」は、株式投資で生計を立てるトレーダーとして生活していた。彼はある日事件に巻き込まれ、数学の天賦の才を持つ少女「ハガナ」と出会う。その出会いが彼の運命を、その後8年という長い時間に渡り、大きく変えていくこととなる……
全3部作のうち序盤となる1部では、ハルとハガナの出会いと親睦、そして結末に待ち受ける悲劇が描かれる。1部ごとに年代が変わっていき、当初は少年だったハルは次第に大人となり、新たな仲間も登場し、頼りになる部下にも出会う。物語は現実に起こった経済上の事件をモチーフとしながらも、その背景について非常に丁寧な説明がされており、物語を楽しみながら幅広い経済・金融用語を覚えることが出来るだろう。
本作で描かれるテーマは、「お金」と、そして「人間」について。人はなぜ、なんのためにお金を稼ぐのか?そのようなテーマを真正面から描くヒューマンドラマが描かれる。無慈悲なビジネスのルールが支配する月面都市にて、人間として生きるハルが、8年間の時を過ごして最後に見つけたものは、いったい何なのか?その結末をぜひとも見届けてほしい。(poroLogue)

購入情報:制作者様サイト

レミュオールの錬金術師

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数多くのフリーゲーム・同人ゲームを制作してきたサークル「犬と猫」。多くのヘビーユーザーを生み出してきたサークルの作品から、今回はフリーゲーム『レミュオールの錬金術師』を紹介したい。
本作は「仕入れた商品を売って、お金を稼ぐ」という、ビジネスの根底であるお店運営が主となっているため、経営シミュレーションゲームの初心者にこそぜひオススメしたい1作品だ。ふとしたことから膨れ上がってしまった借金の返済のため、商店を運営することになってしまった主人公の女性「ティコ」。弟子の「ルヴェル」の補佐を受けて商店を切り盛りし、借金返済のためにお金を稼ぎまくることが目的だ。お店を運営する以外にも、登場すキャラクターたちとの交流などサブイベントが存在し、それらを見るのをあわせると、かなりの長い時間楽しめる作品となっている。
本作は、PCの他にもiOSとAndroidにも対応している(※こちらは有料の作品)。つまり、スマホでもお店の経営が出来るのだ。自分に合った端末でプレイしてみよう。
(poroLogue)

PC版無料ダウンロード:制作者様サイト

iOS版ダウンロード(240円、無料版の「レミュオールの錬金術師 Lite」もあり):

Android版ダウンロード(257円):
Android app on Google Play

ストロベルパティ~小さな町のパティシエール~

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本作は「乙女チック経営SLG」と銘打たれた、女性向けの洋菓子店経営シミュレーションゲーム。主人公の少女は、都会から町興しのためにやってきたお菓子職人。決められた期日までに開店資金を返すために、洋菓子店を切り盛りする。
ゲーム内容としては、お店の運営だけではなく、ケーキの素材を集めるための森の散策や、町の人達との交流、そして恋も……といった内容で、まるで『牧場物語』のようなゆったりした時間の流れが楽しめるのが特徴だ。レシピを入手してケーキを作り、お客さんに売るほか、近くの森を探索して果実を採取したり、町の人々の依頼に応えて信頼をつかんでいくことが出来る。
最初のうちは作ることが出来るケーキの種類も少なく、お客さんに満足してもらうことは難しい。そこでお店を繁盛させるために必要になることは、何よりも町の人達と交流だ。困っている人の手助けを行ない、信頼を得る。その一方でケーキのレシピを覚え、材料を集め、そして満を持してケーキを販売…といったように、販売までの過程を地道に積み重ねていくことで次第にお店を繁盛させることが出来る。このようにゲームの段階設計がとても丁寧に作られているため、女性に限らず幅広いユーザーにもオススメできる作品となっている。ぜひ遊んでみてほしい。
(poroLogue)

無料ダウンロード:ふりーむ!ダウンロードページ

はじめての宿屋さん

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本作は墓荒らしダンジョン探索RPG『積層グレイブローバー』や、過去を探す探索ホラーADV『虚白ノ夢』を制作したカナヲ氏によるフリーゲーム作品。ジャンルとしては、宿屋経営シミュレーションにRPGを組み合わせた意欲的なものとなっている。
主人公の少女(デフォルト名は「ヤドコ」)は、亡くなったおじいさんの宿屋を受け継ぐことになる。宿屋運営について全くの素人である少女は、宿屋の娘である親友「ムギ」に協力してもらい、従業員の女の子たちを雇い、宿屋の運営・増築を繰り返し、ときにはダンジョン探索を行なって強敵を討伐し、宿屋としての収益を上げていくことになる。
本作で注目すべきは、経営部分とRPG部分が相互に関係しており、非常にバランスよくまとまったゲームデザインとなっているところだ。たとえば、従業員に払う給料は次第に上昇していくが、その他にもダンジョン探索を行なってレベルをあげても上昇していく。やみくもにレベルをあげていると、一方で人件費がかさんで赤字まっしぐら……ということが待っている。強敵を倒すために強さをとるか?それとも給与の安さを取るか?まさにビジネスにおける「トレードオフ」を体験できるゲームバランスが秀逸なものとなっている
宿屋経営に限っても、従業員の労働方針、宿屋の宿泊費、お客さんに出す料理……などを試行錯誤する楽しみがあり、「運営計画を立て、実行し、結果を見て、修正を行なう」、「どうすればコストを最小におさつつ、利益を最大化できるか?」……といった、経営の本質的な要素のいくつかを簡易的に楽しむことが出来る。コンパクトな経営シミュレーションを楽しみたいビジネスパーソンにはぜひともプレイしてほしい作品だ。
(poroLogue)

無料ダウンロード:ふりーむ!ダウンロードページ

世界の半分を商人にやろう

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「世界の半分を お前にやろう!」
そんな某有名RPGのセリフを思い出すタイトルの本作は、勇者と魔王の戦いに「商人」が第三勢力として介入するという異色のゲームだ
魔王軍を倒すための勇者の進軍にあわせ、戦地となる国や地域に武器や道具などの生産施設を作り、商店を開店して売りさばく。勇者によって平和になった地域では武器などの需要が下がるので、新たな戦場に商店を建築し、また武器を売りさばく。そして、ときには強すぎる勇者を止めて戦いを長引かせるために、あえて「魔王の力の封印を解く」という、傍から見れば危険すぎる手段も使うことが出来てしまう……。勇者と魔王の戦いの裏で、商人もビジネスのためにシビアな戦いを行なっていることを痛感できるゲームとなっている。
ゲームバランスとしてはなかなか歯ごたえがあり、ゲーム中で参照できる損益計算書を参考にしたり、販売する道具や武器の「需要と供給」の関係に常に気をつけていないと、気がついたらあっという間に赤字経営になっているということもあるだろう。前述したように、平和になって物資の需要が減った地域からは「戦略的撤退」するなどの経営判断の思い切りが大事だ。
売上目標を達成するために経営計画を立て、実行する、という一連の流れに面白さがあるので、やりごたえのある経営シミュレーションを求めている人はプレイしてみてほしい。
(poroLogue)

ダウンロード:制作者様サイト
(※本作には無料版と、追加シナリオが含まれた有料版が存在します)

Frontier Black Smith

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次に紹介するのは鍛冶屋経営シミュレーションゲーム『Frontier Black Smith』。舞台は大陸東部の新天地、フロンティア。そこに現れる魔獣を狩り財を成そうとする人々を「ハンター」と呼んだ。プレイヤーはそこで、腕っぷし一つで財を築き上げるハンター……になるのでなく、ハンターたちに武器を売りさばく「武器屋」となる。そしてフロンティアでトップの商人となるのが主な目的だ。
武器の生産や職人・店員の雇用を行なって武器屋の基本的な商売行ないつつ、「経営戦術」と呼ばれる手法を使い、宣伝や人材発見などを行なうことも出来る。また、自分の店で売った武器を持つハンターが魔物討伐で活躍すると、自分の店が有名になるなど、自分でタッチできる経営部分以外にもイベントが用意されていることも奥深い。本作はシナリオ付きのチュートリアルモードが存在するので、そちらから始めてみよう。物語に沿ってゲーム内容を説明してくれるので非常に分かりやすい。
鍛冶や店員の配置などのUIが非常に良くまとまっており、ウィンドウの配置を自分の好きなように設定できるため、操作性が優れているのもポイント。やや難易度に歯ごたえがある本作だが、武器の生産や職人雇用など計画立てて少しずつ店を大きくしていく楽しみは、まさに経営シミュレーションゲームの醍醐味と言えるだろう。
(poroLogue)

無料ダウンロード:vectorダウンロードページ

スポンサーガ

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経営系シミュレーションゲーム『スポンサーガ』では、プレイヤーは冒険者を雇って依頼を遂行する「ヴィンセント商会」の経営者となり、教会や商人、王国などの依頼を受けてお金を稼いでいく。
「平凡で何が悪い?英雄と呼ばれる力などなくても、金さえあれば物語の主役になることができる。」
「スポンサーという立場でも、世界に貢献できていいはずだ。この世は英雄だけで回っているわけじゃない」 といったゲーム中の名言は、きっとビジネスマンの心に響いていくことだろう……。

依頼をこなしていくごとに、ストーリーは核心に迫っていく。経営シミュレーションゲームとしての難易度が高く、幾つか詰みポイントもあるので、攻略サイトなどを見ながら進めていくことをオススメしたい。なお、もぐらゲームスでもレビューに加え、いくつかのTipsをまとめているのでそちらもご覧いただきたい。(Noah)

お金のちからで世界を救おう―フリーゲーム「スポンサーガ」レビュー

スポンサーガ攻略まとめ お金のちからで世界を救うには

ダウンロード:ふりーむ!ダウンロードページ

ゲーム発展途上国ⅡDX

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お次は数多くのお手軽に遊べるシミュレーションゲームを送り出してきた「カイロソフト」の1作品『ゲーム発展途上国ⅡDX』を紹介したい。このゲームは、ゲーム制作会社を経営するシミュレーションゲームとなっている。
基本的なゲームの流れとしては、新作ゲームを開発するために従業員を雇い、企画会議を行ない、どんなゲームを、どのユーザー層に、どのゲーム機で出すかを決めていく。そして開発が進むごとに宣伝や詳細な仕様などを詰めていく。完成後はバグチェックなどを行なって、世の中にゲームを販売!そして売上で会社のゲームソフトの生産力や広報力を強化、そしてまた新作ゲームの開発へ……という形だ。
開発を完了したゲームは、某クロスレビューを行っているような名前の雑誌に評価される。また出来のよいゲームを世に出したときはゲームの賞で表彰されることもある。こういった評価が高いとプラスポイントとなるので、なるべく高い点を取ることを目指そう。
本作に登場するゲーム機やゲームソフトには、実在するゲームハードや有名ゲームソフトをオマージュした名前のものが存在する。ゲームに詳しくない人でも知っているようなタイトルも多いため、思わずクスリとしてしまうだろう。ゲーム会社を経営してみたい人はぜひ遊んでみてほしい。(poroLogue)

無料ダウンロード:開発メーカーサイト
(※本作は無料のゲームです)

波間の国のファウスト(ノベライズ版)


 
最後に紹介するのは『波間の国のファウスト』。この作品については、原作に年齢制限があるため、原作ゲームのスピンオフ作品である小説版を紹介させていただきたい。今回の冒頭にて紹介した『World End Economica』と同じく、架空世界での経済事情を描くものの、本作はより経済小説に近い、人間の生々しさが感じられる
物語の舞台は、経済的に破綻した近未来の日本という設定。その復興のために解放された経済特区である「直島」に存在する巨大企業の買収劇を巡り、キャラクターたちがその流れに翻弄されていく群像劇の形を取る。
原作ゲームのスピンオフである本書では、経済特区トップの実力者として君臨する少女「渚坂白亜」を中心とした、とある事業会社の買収劇が描かれる。入り混じる思惑の中でさまざまな人物が奮闘するが、筆者としてはその中の1人、自分で起した投資会社で実力を発揮していた青年「ケビン」の生き様に感じるものがあった。圧倒的な実力を持つ白亜という越えられない壁を前に、自分の人生を改めて見つめなおし、これからの自分はどうあるべきかと意思決定をする流れには見所がある。
本作は会社買収という非常にダイナミックで派手な物語が描かれるが、その一方で、人々が合理性と個人的感情との間で葛藤し、苦渋の果てに決断をするという生々しい姿も描かれるヒューマンドラマとなっている。日々色々な壁にぶつかっているビジネスパーソンにこそぜひオススメしたい作品だ。(poroLogue)

フリーホラーゲーム『ライトを消すだけの高時給な宿直』。お化け屋敷のような恐怖演出の連続が怖い、怖すぎる!

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夏といえばホラーである。筆者は、身の毛もよだち、背筋を寒気が走るようなホラーゲームをこれまでもレビューしてきた。ホラーゲームが大の苦手なのにもかかわらず、だ。

約1年前、筆者は一つのホラーゲームをレビューした。

恐怖の森で迫り来る異形。『Death Forest』注目の3Dフリーホラーゲーム

ニコニコ動画を中心に一大ブームを引き起こしたこの作品。薄暗がりの中、接近を知らせる音と迫ってくる巨大な顔という直接的な恐怖演出が特徴的であった。下手な肝試しよりも怖い。

その1年後、またもや直接的な恐怖演出を存分に詰め込んだ新作フリーホラーゲームに巡りあってしまった。それが今回紹介する『ライトを消すだけの高時給な宿直』だ。

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音とグラフィックでゴリ押しをしてくる荒削りな『Death Forest』に比べて、この『ライトを消すだけの高時給な宿直』はお化け屋敷的とも言える。10分強という非常に短いプレイ時間に恐怖演出が次から次へと、プレイヤーの恐怖を見事に高め続けるような配置で、つめ込まれているのだ。

さっそくどんなゲームなのか紹介していこう。

2Dホラーゲームの極致『エフレメイ』の作者の新作

今回、紹介する『ライトを消すだけの高時給な宿直』は、2Dホラーゲーム『Efframai -エフレメイ-』を制作した夜雨ドッド氏の新作だ。

『エフレメイ』を簡単に説明しておくと、10分程度で完結するホラーアドベンチャーゲームだ。霊が現れると噂のお化け屋敷を、ひたすら歩き続けていくだけの非常に簡単なもの。歩いて行くと次々と不思議な出来事が起こり、霊が現れる。あらゆる「ドッキリ」を詰め込んだこのゲームは、文字通りまさにお化け屋敷だった。

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『エフレメイ』

新作『ライトを消すだけの高時給な宿直』は、この『エフレメイ』の流れを踏襲した擬似3Dのホラーアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは、とあるオフィスビルの宿直となり、つけっぱなしになっている部屋の明かりを消していく。

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スタートは1Fから。行なえる操作は前後左右の移動と、特定のタイミングで行なえる注視・アクションのみ

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こんな感じで明かりがつけっぱなしになっているので消していこう

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奥まで行くと行き止まりなので元いた場所(エレベーター)まで戻らなければならないのだが…。

明かりを消しながら時折現れる女の霊。そして、ヘッドホンから聞こえるノイズと…。恐怖に怯えながらプレイヤーは3階まで明かりを消しながら進んでいかなければならない。

ワンフロアの探索に大して時間はかからない。プレイヤーは「絶対に、一つのフロアで1回はびっくりさせられるはず」「いやいや、行きと帰りで絶対何かあるだろ」「そろそろか・・・!?」そう疑心暗鬼になりながら、震えながら歩を進めていくことになるのだ。そして案の定、テンポよくイベントが発生していく。この体験は、そうお化け屋敷である。

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ほらほらほら、絶対こうなるんだよ!!くることがわかっていても部屋なんてたくさんあるからいつこうなるかはわからない。そこが怖い

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エレベーターの中も安心できるとは限らない。というかエレベーターで何か起きるほうが怖い。なにせ一歩も動けない密室なのだから。

女の霊の正体などのストーリーは、プレイ後に後日談的に語られる。プレイ中は、明かりを消すという職務に全うし、思う存分その恐怖を味わってもらいたい。

プレイ時間も10~20分と非常に手軽に遊べるボリュームだ。ちょっと寝苦しい暑い夏の夜におすすめしたい直球のホラーゲームだ。

プレイする際は、もちろんヘッドホンorイヤホンのご用意を忘れずに(サラウンドヘッドホンだとなお良し)。

[基本情報]
タイトル 『ライトを消すだけの高時給な宿直』
制作者 夜雨ドッド(制作者様サイトはこちら
クリア時間 10~20分
対応OS win
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/9746

ボールを投げて、その軌道を追え!リリース&トレース一人称パズル『Sphere』

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全国一の栄冠を手にするため、高校球児たちが白球を投げては打ってする甲子園。日本における夏の風物詩のひとつだ。投手の投げたボールや打者の打ち返したボールの行き先を見極め、追いかける選手たちを見ていると、ある一人称パズルを思い出す。

それが今回紹介する『Sphere』だ。

ボールを投げて、自分も投げる

フランスの学生チームが開発した『Sphere』は、「足元に転がる球体を見つけた主人公が、目の前に現れた塔の扉を開く」というテキストで始まる。タイトルどおりこの球体(Shpere。以下、ボール)が本作の鍵を握る存在で、このボールに秘められた奇妙な力を使ってステージ上のパズルを解いて塔の頂上を目指すという内容だ。

なお、本作には英語版とフランス語版が存在しているが、テキスト自体はオープニングとエンディングに少々、あとは操作説明のためのものがちょっとだけ出てくるだけなので、プレイするだけなら言葉がわからなくともほぼ支障はない。

プレイヤーが持っているボールはマウス左ボタンで投げることができる。このボールは放物線を描いて飛び、壁に当たれば跳ね返る、という何の変哲もないものだ。だが、不思議なことにボールを投げたあとにもう一度マウス左ボタンを押すと、ボールを手元に引き寄せることができる

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スイッチにボールを当てて、オンオフを切り替えることも可能

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ゲームを少し進めると、奇妙な力がボールに備わる

さらにこのボールにはもうひとつ、魔法めいた力が備わっている。ボールを手元に戻したあとでマウス右ボタンを押し続けると、ボタンを押しているあいだ、先ほど投げたボールの軌道をトレースしてプレイヤーが動くのだ。上に投げれば上に、壁に当ててバウンドさせればプレイヤーも跳ね返るように動く。

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上に進みたいときは、そこに向かってボールを投げる

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ボールを手元に戻したらマウス右ボタンを押し続ける。さっき投げたボールの軌道をコピーして、プレイヤーが高く舞い上がる

前回紹介した『Tag: The Power of Paint』はジャンプができないゲームだったが、『Sphere』のプレイヤーも似ていてものすごく低いジャンプしかできない。しかし、ひとたびボールの力を使えば、高い段差もなんなく越えられるようになる。

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序盤以外はボールを投げても直接届かないような場所がほとんど

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直前に投げたボールの軌道が常時表示されるので、トレースの際の参考にしよう

このボールの軌道をトレースする能力は、プレイヤーがその場を離れても同様に発揮される。水切りのように床を何度かバウンドさせた軌道を保存しておき、別の場所に移動して離れた足場を向いてトレースすれば、まるでそこに床があるかのように空中を飛び跳ねて2段ジャンプ、3段ジャンプして遠くの足場に着地できるという寸法だ。正面の壁に当てて跳ね返す軌道をトレースすることで、前に進んだあとにバックするようなこともできる。

ゲームが進むと「動く足場」や「ボールは跳ね返るがプレイヤーは通り抜ける壁」などが登場し、ボールの投げ方や軌道のトレースの仕方に少し工夫が必要になる場面も出てくる。とはいえ、全体的に難易度は低めで1.5~3時間程度でクリアできるだろう。なお、ロケーションは全編通して室内であり、ボールの跳ね返りが予想しづらい岩や草地といった場所はない。

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ボールが大きく弾む赤い床

一人称パズルは身体機能を拡張するゲーム

『Sphere』がおもしろいのは、ワンボタン(マウス右ボタン)で人間にはできない動作ができるところだ。ボールの動きをトレースするという縛りがあるとはいえ、人間業らしからぬ大ジャンプや空中を飛び跳ねる複数回のジャンプができる。落下中の軌道修正もお手のものだ。言ってみれば、『Sphere』はボールの力を使って身体機能を拡張するゲームなのだ。

もちろん「身体機能の拡張」というのは何も『Sphere』に限ったことではない。

一人称視点のゲームに限定しても、『Mirror’s Edge』や『Titanfall』で採用されているようなパルクール(壁走りや壁走り中のジャンプ、壁登りなど)が身体機能拡張の手法のひとつとして挙げられるだろう。しかし、パルクールはあくまで人間業の範疇での身体機能の拡張である。一方の『Sphere』に登場するボールは人間離れした身体機能を手にするための、いわば魔法の道具、アイデアなのだ。

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『Mirror’s Edge』のアクションは、激しいながらも一応人間のできる範疇のアクション(画像は続編『Mirror’s Edge Catalyst』のトレーラーより)正直人とは思えないレベルの芸当だが、一応人間のできる範疇のアクションで走り抜ける『Mirror’s Edge』

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テレポートのような能力「ブリンク」を使える『Dishonored』は、魔法のような身体機能の拡張をしているいい例。こういうゲームが好きなら一人称パズルも好きかも

私の好きな言葉に宮本茂が言ったという「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」というものがある。例えば『Sphere』のボールは「高くジャンプしたい」と「空中で方向転換したい」を同時に解決してくれる素敵なアイデアだろう。3段ジャンプするわけでもないのに、2段ジャンプでも到底できないより遠くへの跳躍をも可能にするし、空中をジグザグに飛び跳ねることだってできる。無論、ほかのゲームにはないユニークな解決法をもたらしていることも重要だろう。

一人称パズルは、人間には不可能な挙動を介してその世界を見て回るゲームだと思うのだ。パズルはその世界をよりよく見るため、見せるために準備された仕掛けでしかないが、パズルを解こうと工夫しただけ身体機能は拡張し、その世界は花開く。「三人称視点だっていいじゃないか」とおっしゃる方もいるかと思うが、やはり一人称視点でその世界を歩き回り、何かを発見するという部分が魅力だと思う。拡張した身体機能によって、めまぐるしく変わる世界を見るのも一人称視点のほうが向いているだろう。

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大ジャンプや高速移動によって一瞬で背後に流れていく景色。そのとき聞こえる風を切る音も味わい深い

だから私は一人称パズルが好きなのだ。

今回紹介した『Sphere』はそんな一人称パズルのなかのひとつ。ボタン1つでボールの軌道をトレースし、我々人間にはできない動きでステージ上を飛び回る。そして、そのためには投げたボールと、そのボールが跳ね返る軌道を見極めるのが重要になるのである。そう、白球を追う高校球児たちのように
最後にまた次回のヒントを出して終わりにしようと思う。

「旧支配者への挑戦者」。

わかっちゃった人もそうでない人もお楽しみに!

[基本情報]
タイトル
『Sphere』
制作者 Team Sphere(制作者様サイトはこちら
クリア時間 1.5~3時間
対応OS Win、Mac
価格 無料

ダウンロードはこちらから

スマホで遊べるフリゲアドベンチャー『鉄格子の逢瀬』。それでもあなたは、彼を「処刑」しますか?

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アドベンチャーゲームやノベルゲームには、プレイヤーが選べる「選択肢」の存在がある。作中でさまざまな出来事に遭遇する主人公。それを前にして現れる選択肢をプレイヤーが選び、物語が分岐していく。こういった物語の分岐性がアドベンチャーの醍醐味の一つだろう。

今回紹介する『鉄格子の逢瀬』は、「選択肢」の存在が非常に重要なゲームとなっている。主人公の少女「ノエル」は、旅の途中で迷い込んだ監獄で、かつての戦争相手である隣国の兵士だった死刑囚の男「ディートハルト」と出会う。なりゆきでその監獄で5日間過ごすことになったノエルだが、最終的にディートハルトを「処刑」するか、否か。という非常に重い「選択肢」が突きつけられる。

共に過ごしていく中で、二人はお互いのことを知っていく。果たして、ディートハルトは何者なのか?そして、ノエルの選ぶ決断とは?残された猶予である5日間で、物語の真実を見つけよう。

なお、本作はHTML5製アドベンチャーゲーム制作キット「ティラノ・スクリプト」にて制作されており、windows版、iOS版、Android版が現在リリースされている。筆者はiOS版でプレイし、エンディングのコンプリートまで全てをプレイすることが出来た。

戦争で家族を失った少女が、敵国の兵士と出会う

舞台は、かつて隣国との戦争が行なわれていた国。戦争で家族を失い、あてもない旅をしていた少女「ノエル」は、旅の途中で監獄に迷い込んでしまう。旅の資金が尽きそうだったノエルは、それを見かねた監獄の看守長から「死刑囚の処刑執行までの5日間、ここで仕事を手伝わないか」という提案をされる。提案を受け入れたノエルは、5日間の時を監獄で過ごすことになる……。

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旅の資金が就きそうな少女ノエルは、監獄の仕事の手伝いをすることになる

ノエルが出会うことになる死刑囚の男は「ディートハルト」と名乗った。死刑囚でありながらも奔放な性格にノエルは当初面食らうが、監視の仕事と割り切って接しようとする。

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演劇染みた言葉遣いをするディートハルト。処刑を待つ身だがどことなく飄々としている

このゲームは、ノエルとディートハルトが鉄格子を挟んでする会話がメインとなる。会話中にはいくつか選択肢が現れ、選んだ選択によって会話の内容や後々の展開が変化することになる。
しかし、選択肢の中には、本作の最大の特徴であり、物語の決定的な流れを決める重大な選択が存在する。ノエルがディートハルトと出会ってから5日経った後、彼を「処刑」するか、という恐るべき選択だ。ノエルは死刑執行日に至るまでに、執行の決断が出来るような情報を知ることが出来るだろうか。

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会話の途中で現れる選択肢。内容によっては身の上事情に深入りすることも出来る

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執行猶予は5日。その間に、ノエルはディートハルトの何を知ることが出来るか

本当に「処刑」を執行するか?全ては、その選択次第

戦争で家族を亡くしたノエル。その戦争に参加していたディートハルト。二人は因縁浅からぬ関係ではあるが、物語は二人がこれまで歩んできた人生から、次第に「戦争」という大きな出来事にも着目していく。
愛する家族を失ったノエルは、自分の中の憎しみを信じて、敵国の兵士であるディートハルトの処刑執行を見届けるだけでいいのか、それとも、何か別の道が存在するのか。ともに過ごしてお互いの事情を知りつつ、何が最善なのかを決断することなる。

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数日経ち、仕事にも慣れてくるノエル

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芝居のような受け答えが目立つディートハルトだが、ときおり見せる陰も

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物語を進めるほど、ノエルとディートハルトの身の上が語られていく

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次第に明らかになっていく真実とは……

本作は「死刑囚の処刑をするか否かを決断する」という核となるテーマのインパクトだけではなく、決断に至るまで描かれる物語面も丁寧に練り上げられたものとなっている。アドベンチャーゲーム好きの人には、ぜひプレイしてみてほしい。

[基本情報]
タイトル 『鉄格子の逢瀬』
制作者 アオイサクラ(制作者様サイトはこちら
クリア時間 約2~3時間(エンディングコンプリートまで)
対応OS Windows / iOS /Android
価格 無料

ダウンロードはこちらから
PC版:ふりーむ!にてダウンロード
iOS版:
Android版:公式サイトにてダウンロード

3分で遊べるフリーゲームを投稿する、『3分ゲーコンテスト』の復活計画が進行中!

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「3分ゲーコンテスト」といえば、2004年から2008年にかけて定期的に開催されていた「3分で遊べるゲーム」だけを題材としたコンテストだ。フリーゲームには数十時間を超える重厚長大な作品もあれば、わずか30分や15分に魅力をぎゅっと凝縮した作品も存在する。そのうちの後者をさらにぎゅっっっっっ……と縮めたものばかりが集まると言えばよいだろうか。そんなコンテストが2015年9月に復活を遂げる予定だ。

トモタカラボ 3分ゲーコンテスト規約草案

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第2回コンテスト1位、のちにコンシューマ化した『Every Extend』。自爆して敵を連鎖爆発させるSTG(?)

本コンテストは諸般の事情によりいったん休止したものの、その後7年の時を経て着々と復活の準備を進めている。現在は応募規約の草案を公開・検討中。後ほど正式な規約を公開しつつ、作品の応募受付が始まることになると思われる。

応募受付は9月14日から開始し、締切は9月21日を予定しているとのこと。上記の通り応募作品は「1プレイ3分程度のゲーム」に限定される。規約さえ守れば基本的には誰でも投稿可能、「3分」と制作するゲームの時間は短いため、長編RPGや大作アクションに比べれば比較的手軽。フリーゲームを制作してみたい、という人はここから挑戦してみるのも面白いかもしれない。(とはいえその3分が難しいのだが)

また有志による過去のコンテスト作品をまとめたWebサイトも存在するので、気になる作品がある人は要チェックだ。のちにコンシューマ化を果たした『Every Extend』、3分(で終わらないゲー)こと『日記のネタがないときの逃げ道6』、配役入れ替え演劇シミュレーション『アグニの神』、その他カタテマの『愛と勇気とかしわもち』等、キラリと光る作品が数多く存在している。

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配役入れ替え演劇シミュレーション『アグニの神』。芥川龍之介の同名の小説を読んでからがオススメだ

過去に開催されたどの回も、3分という制約のもとでアクションにシューティング、ノベル、シミュレーション、はたまたRPG……と多種多様なジャンルが出揃い、独創的なタイトルが多くを占めていた。今回コンテストが復活した暁には、魅力的な短編・掌編フリゲが楽しめることだろう。開催が待ち遠しい限りだ。

ブラウザフリーゲーム『イニシエダンジョン』。ハクスラの「爽快感」とローグライクの「緊張感」

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『イニシエダンジョン』は、自動生成されるダンジョンを攻略していくローグライクと、敵を倒し、アイテムを手に入れ、キャラを強くしていくハック&スラッシュという二大人気ジャンルの要素を組み合わせたような作品だ。操作形式は、多くのハック&スラッシュのゲームが採用しているアクションRPG形式で、大勢の仲間を引き連れて敵をなぎ倒し、そしてダンジョンを攻略したときの快感は何にも変えがたい。

しかし、そういったハクスラの爽快感だけでなく、緊張感を両立していることがこのゲームの絶妙なバランスを生み出している。このゲームでは、ダンジョンの中でキャラクターが倒されると、装備・お金を全て失い、そしてなんとキャラクター自体もロストしてしまう。一度死んだキャラクターは、二度と復活できないのだ。大切に育てたキャラクターが、一瞬にして消えてしまうという絶望感……ブラウザでお手軽に楽しめるゲームでありながらも、この「取り返しの付かなさ」という特徴が、絶妙な緊迫感を打ち出している。そんな注目のゲームを早速紹介していきたい。

なお、筆者はいったんのゲームクリアとされる階層までクリアすることが出来た。その段階までは、ゲーム攻略の苦手な人でもなんとかクリアできる難易度となっていると感じた。一方で、クリア後に待ち受けるダンジョンもあり、さらなるやりこみが可能な作品となっている。

ハクスラとローグライクの面白さを一度に楽しめる

ゲームを開始するには、まずはキャラクターを作成する。最初は戦士である「ファイター」のクラスが選べる。耐久力に優れた前衛タイプのクラスなので、初心者でも扱いやすい。

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キャラクターの作成画面。まずはここからスタートだ

舞台はアルメナンド国、この国に存在するダンジョンの奥にあるという、不死身の身体になれる「不老不死の水」。それを求め、多くの冒険者たちがやってくる地だ。プレイヤーもそんな冒険者の一人として、ダンジョンの奥深くに潜っていくことになる。

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舞台となるアルメナンド国。町には装備やアイテムを取り揃えた施設や、冒険者を仲間に出来る酒場がある

ローグライクというとターン制を想像するかもしれないが、本作はターン制ではなく、自由にキャラを動かせるアクションRPGの操作形式となっている。ダンジョンでは、次々と現れる敵を倒しつつ、アイテムを集めキャラを強化しながら進んでいく。

このゲームの特徴といえるのが、なんといっても大人数のパーティで無数の魔物を打ち倒していくハック&スラッシュの爽快感だ。序盤は数こそ少ないものの、深い階層に行くほど大量の敵が出現し、激戦が繰り広げられる。もちろん大量の敵からは経験値やアイテム、お金がドロップし、レベルやお金はどんどん上昇していく。倒して入手した装備をつけて、さらに強い敵を倒しにいこう。

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ダンジョンには多くの敵が現れる。序盤は数が少ないものの、地下に進むにつれて現れる大量の敵をなぎ倒す爽快感が魅力だ

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大規模な戦いの1シーン。気を抜くとキャラクターの状態が分からなくなるような、激戦が展開される!

ダンジョンで入手できる武器には、武器ごとに技が設定されており、MPを消費して武器に応じた技を発動することが出来る。技は使用後にチャージ時間が必要なので、チャージ完了までは連射することは出来ない。

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装備した武器ごとに、攻撃・回復・補助…さまざまな技が使用できる

また、装備には、名前の右側に「+」がつくこともあり、その場合には、攻撃力やHPが追加UPするなどの特殊効果が追加される。一見普通の武器でも、補助効果が凄まじい装備も存在するので、ダンジョンにもぐりながら、さらに強いアイテムをコレクションするというローグライク的な楽しみがある。

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特殊効果の組み合わせによっては、非常に強力な装備になることもある。コレクション好きの人は思わず集めてしまいたくなるだろう

「死んだキャラは二度と生き返らない」という緊張感

ローグライク、ハック&スラッシュという2つのジャンルの根本的な楽しさの詰まった本作。しかし、なにより特徴的なのは、冒頭でも紹介したように「死んだキャラは二度と生き返らない」というポイントだ。たとえば、ローグライクで有名な『不思議のダンジョン』シリーズでは、ダンジョン内で倒されると、装備やお金はなくなるもののキャラクターがロストすることはない。しかし、本作ではキャラクターまでもがロストしてしまう。それがこの『イニシエダンジョン』のルールなのだ。

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操作しているキャラクターが死んでしまうとゲームオーバーとなり、タイトル画面に戻されてしまう。そしてキャラクター自身も失われてしまう……

そのため、新しいエリアに到着した際には、敵の行動などを調査しながら進むことが重要になる。新種の敵の攻撃で一気にパーティが壊滅させられる危険もあり、その緊張感が楽しくもある。

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新種の敵キャラに突然襲撃されることも。自分の作ったキャラクターが死んでしまうと、ダンジョンの中に墓が立つ

筆者もダンジョンの奥にたどり着くまでに何度もキャラをロストしてしまった。しかし、キャラクターを育てるための経験値は豊富に手に入るため、なんとか冒険者を育てなおして再挑戦したい気分にさせてくれるゲームとなっている。

そんなダンジョンの攻略では、奥深く進むごとに強い敵が現れ、一定の階層ごとにはボスも存在する。ボスは強力な特殊攻撃を持つものも存在するので、まずは行動のパターンを観察してから攻撃に移っていこう。そうしないと、キャラクターが一瞬にして倒されてしまうということも起こってしまう。

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ダンジョンの中にはイベントやボスが存在する。特にボスは強力な攻撃を行なってくるので、行動のパターンに要注意だ

ダンジョン攻略中には、プレイヤー以外の冒険者に出会うことがある。なかには困っている冒険者を助けるためのクエストも発生することがある。冒険者を助けるごとに、プレイヤーの作れるキャラクターの職業が増えていく。ダンジョンの奥に進み、作れるキャラを増やしていくことも楽しみの一つだ。

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ダンジョンの10Fにて、巨大な魔物にとらわれていたハンターの女性「リサ」。遠距離の弓攻撃を得意とする職業だ。彼女を助けると、プレイヤーも「ハンター」のキャラを作ることが出来るようになる

また、冒険者はプレイヤーがお金を払い雇うことでパーティに加入させることが出来る。貴重な戦力となるので、可能なかぎり加入させていきたい。冒険者はプレイヤーが作ったキャラと違って、死んでもロストすることはなく、町で再び雇うことが出来る。

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仲間にした冒険者はメンバーの一員として戦ってくれる。冒険者ごとに特徴があるので、様々なキャラを連れて行こう

ゲーム序盤の攻略のコツとしては、回復・支援などが得意な職業「プリースト」をメンバーに入れることを意識することだ。特にメンバーのHP回復が可能な技「ヒーリング」を使用できる武器「クラブ」を持たせるなどして、回復役は最低一人は確保したいところだ。もちろん。町の冒険者にもプリーストはいるため、補助約が足りないときは積極的に雇っていこう。

今回紹介した『イニシエダンジョン』は、ハック&スラッシュの敵をなぎ倒す爽快感と、ローグライクのダンジョン探索・アイテム収集。そして「死んだら生き返らない」という緊張感。これらの要素が絶妙に組み合わさった魅力的な1作となっている。ブラウザで遊べるためゲームのダウンロードも不要となっている。ぜひ一度触ってみてほしい。

[基本情報]
タイトル 『イニシエダンジョン』
制作者 おまる工房(制作者様サイトはこちら
クリア時間 約5時間~(一旦のエンディングまで)
必要動作環境 公式サイトのプレイガイドにて掲載
価格 無料

ゲームプレイはこちらから
http://inishie-dungeon.com/


フリゲ長編RPG『Mystic Star』。SFC期を彷彿とさせる、「王道」と呼ぶに相応しい冒険譚

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今回は往年のRPGファンにオススメしたい長編RPG『Mystic Star』を紹介します。本作は2015年初めに発表されたもので、制作者は過去にRPG『Labyrinth Star』を制作した砂川赳氏。
このゲームはグラフィック・音楽・システムがオリジナルで制作されており、「これってスーパーファミコンで発売されていたソフト?」と思わせるほど完成度が高いです。見た目だけでなく、戦略性の高い戦闘や自由な育成を楽しむことができ、様々なRPGの操作感やシステムの良い点を踏襲しているため誰でも簡単にプレイ出来ます。長編なだけあって内容が盛り沢山なので、じっくりとこのゲームの魅力を紐解きたいと思います。

邪悪な野望に立ち向かうため、少年達は世界を駆ける

本作はメルシア王国の英雄の息子である主人公「ハルト」が、王位継承の試験が嫌で森に逃げた王子「ロビン」を探し出す所から始まります。ロビンを何とか説得し無事試験を終わらせたのも束の間、王都が魔物たちの襲撃に遭い、アスダイン帝国の救援を求めるために旅立つことに。途中の町の領主の孫「イナーシャ」の助けもあり、無事帝都へと辿り着くハルト達。しかし事態はやがて思わぬ展開を迎え、「七星珠」を巡り世界中を渡る彼らの冒険が始まります。

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RPGのお約束通り、王からの依頼が物語の序章となる。最初は小さな冒険だったが、物語が進むと共にハルトは壮大な運命に身を投じてゆくことになる

物語はRPGのオマージュがふんだんに盛り込まれた、まさしく「王道」な内容。RPGファンなら少しだけ懐かしいような展開がされ、思わず熱くなったりニヤリとする場面も。登場するキャラクター達も個性豊かで、毒舌な魔族の少女「メア」、豪胆な海賊「グレン」、ちょっとマヌケなスケルトンの「スケさん」など、冒険に華を添えてくれます。シリアスさとコメディさが上手く両立しているので、最後まで飽きることなく物語を楽しめます

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各地で度々邪魔をしてくるユーモラスな敵キャラ「スケさん」。だが終盤になると判明する彼の生き様が胸を打つ

冒険の舞台となる世界はとても広く、ダンジョンも「氷の魔王の城」や「竜の住む火山」などバリエーションが豊富。序盤は物語に沿って新たな街やダンジョンに向かいますが、船を手に入れる中盤以降は自由度が上がり、好きな順で目的地に行けるようになります。また、フィールドはSFCの『ドラクエ』や『FF』のようなランダムエンカウントを、ダンジョンでは『サガ』シリーズのようなシンボルエンカウントを採用しているのも特徴です。

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本格的なダンジョンも本作の魅力。ただし油断しているとあっという間に負けることも

快適さ・派手さ・奥深さが揃った戦闘が楽しい!

レトロ風のRPGと聞くと、操作が簡単で取っ付きやすかった半面、理不尽な戦闘バランスのゲームがあったことを思い出す人もいると思います。しかしこのゲームは近年のRPGの良い所をしっかりと受け継いでおり、SFC期のシンプルさと現代の快適さが上手く融合しています

戦闘画面はSFCの『FF』や『サガ』シリーズのようなサイドビューで、行動の速さを表すパラメータである「速力」の高いキャラから優先的にコマンドターンが回ってくるのが特徴です。『FFⅩ』のCTB(カウントタイムバトル)のように、行動が素早いキャラほど待機時間が少なくなり、より多くの行動を行なえるシステムとなっています。キャラクターの行動にはそれぞれ通常攻撃や防御などの他に「魔法」「特技」「奥義」など、戦況を有利にすることが出来る特殊な行動が用意されています。モンスターやエフェクトもしっかりと作りこまれ、手軽な操作で派手な戦いが行えます。

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ドット絵の美しいグラフィックで描かれたモンスター達。熱いBGMと共に戦闘を盛り上げてくれる

キャラクターにはMPとTPのパラメータが存在し、「魔法」を使うにはMPを、「特技」を使うにはTPを消費します。また「魔法」を使うとTPが、「特技」を使うとMPが、武器による「攻撃」を行なうと両方が回復します。闇雲にどちらかを連発すると簡単に枯渇するので、回復量をしっかりと考えながらコマンドを選ぶことが求められます。上手くやりくりすると、MPとTPをほとんど消耗することなく雑魚戦を終わらせることだって出来ます。

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キャラクター達にはそれぞれ得意不得意がある。主人公ハルトは「魔法」「特技」が共に強い万能キャラ

また、敵は後半にかけて雑魚・ボス共に強くなっていきます。そんなときに役に立つのが必殺技とも言える「奥義」です。キャラごとに「青奥義」と「赤奥義」の2種類があり、それぞれのゲージを貯めると使用可能になります。その効果は強力無比で、戦況を大きく変える上、早いペースで使用可能です。戦闘もより楽しくなるので積極的に使いましょう。

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青奥義はダメージ重視だが、赤奥義はキャラごとに効果が大きく異なる。奥義でパーティメンバーを選ぶのもひとつの手

他にも状態異常がボスにも有効だったり、属性攻撃で大ダメージを狙ったり、「陣形」を組むことでパーティの戦い方を変えたりと、戦術の幅は広いです。強敵にも試行錯誤すれば必ず勝てる点が、本作の戦闘バランスの良さを教えてくれます

じっくり考え自由に育成出来る「魔珠」「習得」システム

戦闘だけでなく、自由な育成も本作の魅力です。キャラクター達にはRPGでお馴染みの「装備」だけでなく、「魔珠」や「習得」によるカスタマイズが可能です。

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魔珠は『FFⅦ』のマテリアのように装備して使う。プレイヤー次第で自由なカスタマイズが可能。

こちらは「魔珠」の装備画面。所持している魔珠をキャラクターごとにセットすることで、魔法を使えるようになったり、ステータスを上昇させることが出来ます。例えば、攻撃力重視なら「攻撃」の魔珠に「会心」や「反撃」の魔珠を組み合わせる、回復魔法重視なら「光魔法」や「水魔法」の魔珠に「慈愛(回復力を上げる能力値)」を組み合わせるなど、セットの仕方でキャラの役割が大きく変わるのが特徴です。魔珠を手に入れるには戦闘でモンスターを倒したときに手に入る「魔石」を店で交換します。

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スキル習得画面。覚えられるスキルはキャラごとに大きく違う。

次に、もうひとつのカスタマイズ機能である「習得」。戦闘で勝つと手に入る「SP」を使って「スキル」を手に入れ、キャラクターを強化することが出来ます。出来ることは「特技」「奥義」の習得や強化、「魔珠」や「防具」の装備数の増加、能力値や「MP」「TP」の回復量の強化などです。習得の幅は広い上、SPを自分で振り分ける必要があり、どう育成するか考える楽しさがあります。ちなみにSPが足りなくても次に習得したいスキルを「予約」し、戦闘後SPが溜まったらすぐ習得できる便利機能もあります。

『Mystic Star』はRPGの魅力を見直せる最適の一本

世間では市販のゲームや同人ゲームの枠を超え、多くのRPGがリリースされています。「グラフィックが美しいもの」「オンラインで離れたプレイヤーとも遊べるもの」「短時間で手軽に遊べるもの」など、プレイヤーのニーズに応えた多種多様なRPGが生まれました。でも、世界中を冒険しながら少しずつ強くなり、最後の敵を打ち倒して大団円を迎えるRPGは少なくなってきたように感じます。今回紹介した『Mystic Star』はRPGの面白さが原点回帰されています。もしもあなたが「自分が勇者だった頃」を思い出したいのであれば、間違いなくオススメできる一本です。もちろん初めてRPGをプレイする方にも最適な作品です。とても間口の広いゲームなので、ぜひプレイしてみてください。

[基本情報]
タイトル
『Mystic Star』
制作者 砂川赳(制作者様サイトはこちら
クリア時間 30時間ほど
対応OS Windows XP/Vista/7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.vector.co.jp/soft/dl/win95/game/se509140.html

スマホゲーム『よくわかる地球のそだてかた』で、手乗りの文明を育てよう。

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今回紹介するのはiOS、Android向けゲーム『よくわかる地球のそだてかた』。タイトルの通り、スマホの中で地球の文明を育てていくというコンセプトのゲームだ。早速紹介していこう。

チュートリアルがないことが逆に良い

ゲーム開始して、いきなり関心をひかれるのはチュートリアルがない、ということ。とはいえ、上部に表示されるなんとなくたどたどしい感じのメモ書きがゲームのほぼすべてを端的に表している。

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タイトル画面で”Manual”を選択するといきなり突き放される

「チュートリアルがないゲーム」は直感的に楽しめる事が多いが、本作に関してはもしかすると一瞬戸惑うかもしれない。

そう、ゲームのルールを理解するところからすでにゲームが始まっているのだ。実際、チュートリアルがないということも本作の場合かなり重要なポイントであると筆者は思う。このシステムをゲーム内で懇切丁寧に説明しようとすると、「なぜ地球を育てなければならないのか?」とか、「コレは一体なんなのか?」などの余計な説明をしなければならなくなるし、ゲームシステムを説明することで若干作業感が増してしまうなど、デメリットも多い。なるべくユーザーに想像・探求してもらう余地を残すことがむしろ、楽しさの向上に役立つ側面もあるのだ、と思う。また、チュートリアルで語ってしまうと困る要素も存在しているのかもしれない。

文明の象徴を「収穫」しよう

といったわけで、ゲームの進行の仕方を考えるのもある意味攻略の一部分のようなところはある。なので詳しくはゲームをやって体感してほしい。簡単にいえば、文明の象徴となるアイテム(最初は石と木、ゲームが進めば石器など)を地面に「植える」と、文明の象徴が「育っていく」。アイテムによって決められた時間が経つと、文明の象徴が「収穫できる」

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最初の「石」を地面に植えたところ

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ぷくーっと膨らんで……

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石ができた。「収穫」すると2個の「石」になる。

イノベーションを意図して起こそう

さて、本作で目指すのは文明レベルを上げていくことだ。文明レベルを上げるには、イノベーションが必要。つまり進化である。植えた文明の象徴は、一定確率で「進化」と呼ばれる突然変異を起こし、もっと高度な文明の象徴ができる。例えば、「石」は3%の確率で「石器」として収穫できる。

突然変異を起こしやすくする方法もある。例えば下の画像では、「丸太」は通常5%の確率で「野草」になるが、育てている「丸太」の隣の位置にあらかじめ「石器」を置いておくことで、確率を95%プラス(つまり100%)にすることができる。

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右下の位置に石器を置くことで進化確率が上がることを示している。

沢山植えて物量作戦で進化させるもよし、少々面倒にはなるがピンポイントで確率を上げて進化させるもよし、両方の戦術を取ることができるので、好きな方の戦略を取ると良いだろう。

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「クラブ」を沢山植えて進化を目指す様子はやや不気味だがそのうち慣れる。

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文明の進化系統図。石のつぎは「石器」だが、この時点ではまだ青い四角で表示。

それぞれの文明でキーとなる文明の象徴には、左上にカギのマークが付いている。このカギのマークのついた文明の象徴を出現させることで、地球を「しんか」させることができる。「しんか」すると、新しい文明の象徴をまた進化させていくための営みがはじまっていく。基本的にはこの繰り返しだが、これがやってみると意外にハマる。

また、文明のレベルが上がっていくごとに曲も違う曲が用意されているなど、細部にもコダワリが見られる。

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地球がレベルアップ。つぎの時代のキーとなる文明の象徴はどうやら「火」だ。

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だんだん文明の進化系統図は複雑になっていく。

ドラえもんの道具のような全能感

このゲームの一番のマジックは雰囲気作りである。どこか不思議でふわっとした感じの色遣い、アイコン、そして「ふわっ」と「ぬるっ」と動く細かいアニメーションの数々は本ゲームの雰囲気を盛り立てており、とても筆者好みである。

ゲームシステムは淡々としたストイックなシステムながらも、それを意外なほど感じさせないのはこのドットとBGM、何より細かく作りこまれたアニメーションに代表されるようなほわほわとした雰囲気作りがされているから、ではないだろうか。

電車のなかとか、トイレとか、細切れな時間についついスマホを取り出してポチポチ文明を植えている感覚はなんとなく新鮮。プレイしている感覚としては、まるでドラえもんの道具のような夢のある感じで、まさに「地球育成キット」を貰ったような気分になる。「もしかして、俺は神なんじゃなかろうか……?」とまでは言わないまでも、自分だけの地球を育てて、そこに生活する人々がいて、少しずつ文明が進歩していって、自分はそれを見守っている……と言った感じで、なんとなく全能感がある。

なお筆者は、エンディングまでプレイしてみた。地球を9回進化させるとクリアになるが、ストーリーを色々憶測するのも楽しい終盤の展開になっている。ぜひ文明を最期まで見届けてほしい。

[基本情報]
タイトル
よくわかる地球のそだてかた
制作者 たま電企(制作者様サイトはこちら
クリア時間 約5時間~10時間
対応OS iOS/Android/ブラウザ
価格 無料

iOS版

Android版

Get it on Google Play

Web版 (IE、FireFox、Safariで動作)

ホテルの一室で起きた事件の謎を探るフリーゲーム『418号室』。マップの狭さを逆手に取った不気味さの演出

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ホテルの一室で起きた事件の謎を探るフリーゲーム『418号室』。マップの狭さを逆手に取った不気味さの演出

ゲームを遊んでいるとどういう時に怖いと感じるだろうか。脅かしの演出か、それとも異形の追いかけっこか。しかし、これまで多くのフリーホラーゲームを遊んできて、直球のホラーよりも怖いと感じるのは、「日常の変化」だ

「あるはずのものがない」、「ついさっきまである場所と違うところにある」、「見たことのないものが見える」といった日常の変化は、寒気が走るような不気味さを演出する。

こうした日常の変化に注目したゲームでは『つぐのひ』、『幻想乙女のおかしな隠れ家』などが有名だが、雰囲気が命となるため、雰囲気をぶち壊さないよう絶妙な演出が必要となる。

今回紹介するフリーゲーム『418号室』は、現在開催中のフリーゲームコンテスト「ワンマッブフェス」に応募されている作品だ。このコンテストは、名前の通り使用するマップは一つだけ。マップの切り替えは許されない。限られた空間でどのようなストーリーを組み、演出を凝らすのか。この制約条件を逆手に取って不気味さを際立たせているのが『418号室』だ。

プレイ時間も20分程度と非常に短く、謎に迫るストーリー展開とプレイヤーをドキドキさせる演出が1つのマップの中でどのように展開されるのか、その魅力を紹介していきたい。

呪われた部屋の謎

とあるホテルの一室は、呪われているという噂がある。
2年前、泊まった女性が突然、自殺したからだ。伴侶だったハロルドは彼女がなぜ死んだのか、その理由を知るために呪われた部屋を訪れる…。

このゲームの舞台は呪われた418号室。プレイヤーは主人公のハロルドを操作して2年前に死んだ女性・エミリーの死の謎を探る。

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舞台となるのはこの部屋のみ。2年前、この部屋で何が起きたのか

部屋を調べていると不思議な現象が起きるのだが、なにせ舞台は一部屋のみ。ホラーアドベンチャーでお決まりの追いかけられる要素や脅かしの演出はもちろんあるが、すぐに全体の探索も終わってしまうが故に、徐々に異変が起きるのが不気味だ。狭さを逆手にとって不気味さを演出している。

「部屋の照明を落としてスポットライトになる」といったように部屋の見せ方を変えたり、「何かを調べるために部屋を横断する」ことでさらに何かが起きるのではないかという緊張感を高めるなど、演出上の工夫の限りがつめ込まれている。

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同じ部屋でも暗くなるだけで雰囲気はガラリと変わる

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ハロルドを襲う異変

狭い部屋の中をくまなく探すという設定と、1つのマップを舞台にするという制約条件がうまく融合している一作だ。

最後には意外なエンディングがプレイヤーを待っている。短編ミステリー小説を楽しむような感覚で楽しんでいただきたい。

[基本情報]
タイトル
『418号室』
制作者 てるふぉん(制作者様サイトはこちら
クリア時間 20分ほど
対応OS Windows XP/Vista/7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10026

石ころを転がしてダメリーマンを台車で会社まで連れていく……?スマホゲーム『コロッコトロッコ』

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『コロッコトロッコ』は、石ころのコロッコを操作してノリオ君を会社まで連れていくというゲームだ。ノリオ君はのんびり屋で、会社に行く途中に道草ばかりしている。

……一体何を言っているのかわからないと思うので、早速ゲームを解説していこう。

スマホならではの操作、「ジャイロゲーム」

本作は、いわゆるジャイロセンサーを用いた、「ジャイロゲーム」だ。

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上記画面での説明のように、スマホを傾けながら、石ころのコロッコを操作して、各ステージの障害物をクリアしていく。

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スマホを傾けるとコロッコもゆるゆると動き出し加速する

冒頭で紹介したように、コロッコがゴールへ行くことが目的ではなく、動かない人間ノリオ君を動く石のコロッコを動かして押すことによって台車に乗せ、ゴールへと届けるというのが各ステージの目標になっている。少しはノリオ君も動けよ!

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!?なんか……

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なんかいた!ノリオ君いた!!やる気なさそう!!!道草ってレベルじゃねーぞ!

このノリオ君、実際全く動かない(表情はそれ自体極楽浄土のような顔をしている)ので、生きているのか死んでいるのかすらやや定かではないところはある。コロッコで押すことによって一応、でくのぼうのようにその形状と表情を変える……のだが、ノリオ君、本当に自力で出社する気が無いのがスクリーンショットからも伝わるだろうか?

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ヨイショー!とノリオ君を崖から突き落とすコロッコ。ノリオ君、この顔である。動け。

「バカゲー」というか気の抜けた世界観が際立つ

画像で見て頂いたとおり、なんとなくコロッコとノリオ君の気の抜けた世界観が際立つ。おまけに、サウンドもほんわかほわほわとした感じの脱力系BGMだったりと、どこまでもとぼけた世界観を突き抜けさせようという意図が伝わってくる作りになっている。ステージ中に登場するアイテムやギミックにも顔が描かれており、どこまでもどこまでも脱力の海にたゆたって行くことができるだろう。

Unityで作られているからなのか、ノリオ君の物理的な挙動についてもなんとなくブラブラしていて、脱力した人っぽく、無駄にリアルだ。人が脱力するとこんな風になるのかよ……と思わずプレイ中にため息が出る。

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よいしょ……よいしょ……(押す)

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よいしょぉー!出社できたとしてコイツ、仕事するんだろうか?

バカゲーについては、もぐらゲームスでも記事を書いて考察しているが、この『コロッコトロッコ』もバカゲー、正確に言えば『ぐんまのやぼう』に見られるような「ゆるゲー」という風に表現できるかもしれない。とりあえず、下記リンクの記事も見つつバカゲーの要素にも思いを馳せてみよう。

「バカゲー」を考えるためのインディゲーム・フリーゲーム7選

「バカゲー」の皮をまとった正統派スマホゲーム

さて、いわゆる「バカゲー・ゆるゲー要素」の紹介ばかりしてきた『コロッコトロッコ』だが、実は本作は、ゲームとしてもかなり面白いのである。

ステージごとに少しずつ追加されるギミック。上下左右に動く床にノリオ君を詰め込んだ台車を置いたり、大きな石を動かして穴を埋めたり、バネで飛び跳ねたり、だるま落とし的な鉄球を使ったギミックがあったり……と、さまざまな仕掛けがステージごとに満載だ。

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動く床のステージ。ノリオ君なら(やる気を出せば)余裕かもしれないが石にはけっこうキツい。

かつレベルデザインもしっかりとしていて、無理なくノリオ君を出社させる技術をパワーアップさせていくことができる。そんな技術、鍛えたくなかった。

こうした、いわゆるアスレチックステージを作りこんでいくのには非常に時間がかかり、ゲームデザインセンスも問われるところだ(コンシューマーゲームにおいては、任天堂の『マリオメーカー』がその苦労を噛み締めさせてくれるだろうからオススメだ)。

その点、『コロッコトロッコ』はステージの作り込みや、飽きさせない工夫においても一味ちがう。大変丁寧でしっかりしたステージを、プレイヤーのレベルやストレスレベルなども考えながらしっかりと作りこんでいて、失敗すれば「あと少しでできたのに!」と思わせ、思わず何回もプレイしてしまう

また、親切設計についても言及しておきたい。ゲーム自体がいわゆる「詰み」のようになり、「もうこれはどうにもならんな、出社できないな」という状態になることがある。例えば下の画像のように。

image201509190119426
あーあ

上の画像では、ノリオ君が自力で出社しようという意思を持たないかぎりは、おそらくどうにもならない。そんな時にはしっかり右上にリトライボタンが出てきて、ステージの最初からやり直しをすることができる。

このような丁寧な親切設計は、本当にバカゲーであろうとするだけでは絶対できない芸当である。ゲームプレイヤーにおバカでゆるい要素を楽しんでもらうために、本当にバカでストレスのたまる要素は排除しなければならないのだ。バカゲーと呼ぶかはさておき、少なくとも本作はクソゲーではないのは確かだ。

すなわち、もしかすると、このゲームはバカゲーではないのかもしれない。バカゲーの皮を被った正統派スマホゲームだ。逆説的だが、おバカであろうとするためには、賢くなければならないのである。なかなか考えさせられる側面もある。

というわけで、『コロッコトロッコ』はバカゲーの皮を被った正統派スマホゲームであることも、おわかりいただけただろうか?思わずノリオ君に「早く出社してくれーーー!」と叫びながらもゲームに夢中になってしまうこと請け合いだ。

ここまで『コロッコトロッコ』の魅力を語ってきた。ぜひあなたにも、ノリオ君を会社に連れていっていただきたいのである。ちなみに、ノリオ君の「出社しようという『意思』」がないから、コロッコという「石」が助けにきた、というのは考えすぎだろうか。考えすぎだろうな。お後がよろしいようで。

[基本情報]
タイトル
『コロッコトロッコ』
制作者 itach lab(制作者様サイトはこちら
クリア時間 4~5時間
対応OS iOS/Android
価格 無料

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かわいいフリゲシューティング『ねこ巫女STG』。猫と巫女が力を合わせて妖怪退治!

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今回紹介する『ねこ巫女STG』は、巫女の少女と、そのお供の猫たちの力を合わせて、押し寄せてくる妖怪を倒していくシューティングだ。

このゲームの特徴は、猫を代表としたかわいいキャラクターたちに加え、仲間となる猫たちの「陣形」を臨機応変に変更してステージを攻略する面白さや、ステージ中で集めたお金を使用して、少女や猫たちの攻撃などを強化していく成長要素だ。プレイ時間は30分から1時間ほど。ゲームオーバーになっても何回もコンティニュー出来るため、シューティングが苦手な人でも2時間程度でクリアできるはずだ。さっそく紹介したい。

猫と巫女が力を合わせて妖怪を倒す!

ゲームの開始時には、まずお供となる猫たちを選択する、猫は全部で5匹おり、その中から3匹を選ぶことが出来る。5匹の猫たちはそれぞれ攻撃の特徴が分かれており、正面に向かって遠くまで届く弾を発射する「シロ」、距離は短いが強力な刃の攻撃を行なう「クロ」、3方向に弾をばらまく「ミケ」、正面ではなく上下に弾を撃つ「ベンガル」、威力は低いが敵に向かって飛ぶ誘導弾を放つ「デブサバ」となっている。

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ゲームをスタートしたら、まず3匹の猫を選ぼう

プレイヤーが操作する巫女の少女は、正面に向かって連射の利くショットを撃つことができる。このショットに加えて、お供として選んだ3匹の猫の攻撃が加わる。猫と少女で力を合わせて、全4つとなるステージを攻略していこう。

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攻撃は、猫と少女の合わせ技になる

また、ステージの攻略中には、少女についてくる猫たちの「陣形」を自由に変更することが出来る。陣形は用意された複数の陣形中から自由に選択することができる。少女を囲むような基本陣形「禊」、少女の前に並び、文字通り盾のようにガードをする「盾」、少女から少し離れた前方に固まる「槍」…などなど、様々な陣形が存在する。自分なりに使いやすい陣形を見つけて、うまく敵を倒していこう。

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陣形はステージ中、ボタン1つでいつでも変更できる。状況に応じて臨機応変に変えていくことも重要だ

ステージの攻略中、敵を倒すと「お金」を落としていく。敵を倒して集めたお金は、ステージの中に現れる「お社」の中で使うことが出来る。そこでお金を払うことで、攻撃強化・移動速度の上昇など様々な恩恵を受けられるのだ。

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ステージの途中に突然出現する「お社」。ここに入ることで、少女や猫たちの強化を行なうことが出来る

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お金を使うことで、能力の強化などを行なうことが出来る

各ステージの終わりには、ボスが待ち構えている。ボスにはHPのゲージが存在し、画面上部に表示されるゲージを0にすれば勝利だ。ボスはステージの道中の敵と比べて強力で広範囲な攻撃を使ってくることが多い。まずはボスの攻撃パターンを観察し、攻撃を避けつつこちらも応戦できるような状態にもっていくことが鍵だ。

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ステージの終着点に待ち受けるボス。強力な攻撃を放ってくる

少女の力になってくれる猫たちは、弱い攻撃なら受け止めてくれるが、ボスの放つ強力な攻撃を受けると、一定時間「お札」になってしまい、攻撃が何も出来なくなってしまう。猫たちの位置も考えて攻撃を避けていくのがポイントだ。

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強力な攻撃を受けるとお札になってしまう猫たち

今回紹介した『ねこ巫女STG』は、猫たちのかわいいキャラクター性もさることながら、ゲームシステムの面での作りこみが感じられたゲームだった。難易度としては難しくなく30分から1時間ほどのプレイ時間でカジュアルに楽しめるので、休日にサクッと遊びたい方はぜひプレイしてほしい。

なお、もぐらゲームスでは、フリーゲームのシューティングに注目した特集を行なっている。ご興味ある方は、ぜひこちらもお読み頂きたい。

フリーゲームとシューティングの蜜月ふたたび…… フリゲで始めるSTG:第0回

『超連射68k』に込められたシューティングゲームの攻撃性 フリゲで始めるSTG:第1回

『シューティングゲーム(仮)』で覚えるワンコインクリアの達成感 フリゲで始めるSTG:第2回

『弾幕シミュレーション296』弾幕特化型超攻撃的シューター養成ギブス!フリゲで始めるSTG:第3回

『MECHA Ritz』弾幕STGは現代アートになりうるか?フリゲで始めるSTG:第4回

[基本情報]
タイトル『ねこ巫女STG』
制作者 mdkGAMES(制作者様サイトはこちら
クリア時間 30分~1時間ほど
対応OS Windows 7 / 8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/9796

『マリオメーカー』だけじゃない!スマホゲーム『ブロックブラザーズ』でアクションゲーム作りの楽しさを味わおう!

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今回紹介する『ブロックブラザーズ』は、一言で言ってしまうと、任天堂から先日発売された『マリオメーカー』ライクな、「アクションゲームのステージを作ってみんなで楽しみ合おう」という種類のゲームだ。しかも、本作はスマホゲームであることに特徴がある。

「ゲームを作るゲーム」が流行りつつある

『RPGツクール』シリーズに代表されるように、「ゲームを作るゲーム」はマリオメーカーだけの専売特許ではない。筆者は常々、「まるで日曜大工のようにゲームが作られるようになる」という世界を期待し続けているが、その世界の実現もそう遠くない未来に起こりうるかもしれない。

もぐらゲームスでは、以前も何回か「ゲームを作るゲーム」の紹介をしてきた。『RPGツクール』やUnityなど、いわゆる「メーカー製」のツールが多かった中で、最近はインディ開発者が作ったツールも増えてきている現状がある。

例えば、ローグライクゲームが作れる『ローグクリエイター』や、RPGが作れる『RPG クリエイター』について取り上げた。これらのアプリでは、制作したゲームをネットを通じて公開する事もできる。

自作のローグライクゲームを公開できるスマホアプリ『ローグクリエイター』。8月に登場予定!

iPhoneアプリ『RPG クリエイター』で自作ゲームの新時代が到来するか?

他にも、『WOLF RPGエディター』などのソフトはかなり老舗のゲーム制作ツールと言えるだろう。かなり自由度高くRPGなどのゲームを作ることができる。

このように、「ゲームを作るゲーム」は、昨年から今年にかけてかなり増えてきている、という現状がある。しかも、それが大きなメーカーからではなく、個人開発者などの方々が作ったツールが多いというところにも、ひとつの特徴がある。こうした流れや、改造マリオのような「作品」を配信する動画サイトの存在、などを受けて発売されたのが『マリオメーカー』である、と言っても過言ではないだろう。

「ゲームを作るゲーム」が増えてきていることは、「遊びを作り出す」という行為が、何も特定の人に限られる楽しみではない、ということを暗に示している。ヨハン・ホイジンガは「ホモ・ルーデンス」という概念で、人間は遊ぶ動物である、ということを提唱した。今や、人間は遊びを作り出す動物である、と言っても過言ではない。何かを遊ぶ、というだけではなく、遊びを作り出すという行為そのものが、万人にとっての楽しみに変わりつつあるのだ。

完成度はかなり高い

前置きが長くなったが、早速『ブロックブラザーズ』の紹介といこう。とはいえ、『マリオメーカー』を遊んでいる方々にとってはすでにお馴染みかもしれない機能が、この『ブロックブラザーズ』にも備わっている。裏を返せば、それだけ『ブロックブラザーズ』の完成度が高いということでもある。

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TOP画面

TOP画面からは、ステージを「つくる」機能のほか、他のプレイヤーが作ったステージが遊べる「さがす」機能や、ゲーム側で用意されているクエスト(ある意味、ステージを作る上でのお手本になるようなステージだ)などもある。特にクエストについては、かなりやりごたえのあるステージが満載で、これだけでも通常のアクションゲームと同じかそれ以上のボリュームがある。

また、画面右下の「クイックプレイ」からは、人の作ったゲームを探す手間なしに、ゲームを楽しむことができるので、かなり活用のしがいがある。

ゲームを起動すると最初に楽しむことになるチュートリアルは、段階を追ってこのゲームでできるアクションを学ぶことができ、非常に丁寧な作り方がされている。

世界中の人たちとステージを作り、コミュニケーションを取れる、というコミュニティ機能は、かなり完成度が高い。ゲーム制作部分はもとより、こうしたところでも結構楽しむことができそうだ。

ブロック集めは少し大変

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ジャンプのほか、かべげりなどのアクションもできる

ゲームを作りたい人は、まずはゲームの素材となるブロックを十分集める必要がある。素材となるブロックの入手方法は、「クエスト」でゲーム側から用意されているステージをクリアしていくというのが基本になる。

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かなり難しいステージ揃いなので、特殊ブロックを手に入れるのは結構大変だ

クエストを1ステージクリアするごとに、リワードという形でステージの制作に必要なブロックを入手することができる。これを使って、ステージを制作することになる。難易度の高いクエストのステージからは、特殊な効果のあるブロックをリワードとして獲得することができる。

クエストはかなり歯ごたえのあるステージが多く、もしどうしてもという人は、ジェムを購入することでブロックをクエストクリアなしに入手することもできる。

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ブロックやキャラクターを入手するのに必要なジェムは課金で手に入れることができる

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ブロックは多種多様。大体見た目でどんなアクションになるのか想像がつくだろうか

あえて『マリオメーカー』と比べるとすると、『マリオメーカー』のほうが「ゲームを作る」ということにより重く比重を置いている印象だ。それに比べると、この『ブロックブロックブラザーズ』では、かなり歯ごたえのあるクエストの攻略がメインになっている印象もある。

ややブロックが手に入りづらい印象があるが、その点はクエストを何とか頑張ってクリアしていくのが一番お金のかからない方法だ。または、余裕があればほんの少し課金をするか、もしくは最初から持っているジェム100個をブロック購入に充てればOKだろう(『マリオメーカー』が数千円することを考えると、無料でできる本作ではほんのちょっぴりお金をかけることが推奨されるのかもしれない)。

実際にゲームを作る

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シンプルで直感的な作成画面

さて、実際のゲームを作る画面は非常にシンプルだ。スタートとゴールを決めて、クエストで貰ったブロックを配置してステージを作っていく。プレイヤーの発想力がもっとも問われる場面だ。

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自分で作ったステージは公開前に一度クリアしなければならない

『マリオメーカー』同様、『ブロックブラザーズ』でも、自作したステージを公開する前には、クリアチェックが必要となる。こうした細かい仕様も、クリア出来ないステージがネット上に氾濫してしまうような状況を防いでいるといえる。

こうして作成したステージは、作成画面の右上にある地球のアイコンからアップロードすることができ、世界中の人に遊んでもらえる。

良いステージを作るには、良いステージを遊ぶことから。人の作ったステージや、クエストのステージを遊びながら発想力を鍛え、自分の作成画面でアウトプットしていく。地道だが、それの繰り返しだ。


 
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反重力ブロックを使ったタイムアタック的作品

ここまで『ブロックブラザーズ』を紹介してきた。ゲームを作る際には、ゲームを遊ぶ事が重要になる。遊び、作る、遊び、作るの心地よいループで、是非クリエイターとしての資質を鍛えて面白いゲームを作ってみてはどうだろうか?

[基本情報]
タイトル
『ブロックブラザーズ』
制作者 Daigo Sato(制作者様サイトはこちら
クリア時間 心ゆくまで
対応OS iOS/Android
価格 無料(ゲーム内課金あり)

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クトゥルフなフリーゲーム・インディゲームおすすめ5選。名状しがたい恐怖を堪能しよう

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「クトゥルフ神話TRPG」などの流行もあり、これまで知らなかった人にも認知されてきた印象のある「クトゥルフ」。今回は、そんなクトゥルフの要素を詰め込んだフリーゲーム・インディゲームのおすすめ5作品を紹介しよう。今回紹介する作品は恐怖表現だけでなく、ゲームとしての面白さも両立したものとなっており、もぐらゲームスが自信をもってオススメ出来る作品だ。
紹介するゲームは、クトゥルフの世界観を存分に楽しめるノベルゲームから、「おぞましくもかわいい」というデフォルメされたクトゥルフキャラの登場するRPGなど様々。恐怖に満ちたクトゥルフの世界観に触れてみたい人は、ぜひとも遊んでみてほしい。

クトゥルフの弔詞

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『クトゥルフの弔詞(ちょうし)』は、フリーのコズミック・ホラーノベルゲーム。主人公の私立探偵・堀口は、ひょんな事から届いたフロッピーディスクでの依頼をきっかけに、名状しがたい恐怖渦巻くクトゥルフ神話の世界に足を踏み入れてしまう……という内容のストーリー。勿論クトゥルフ神話をモチーフにしたあの邪神もこの邪神も出てきてしまい、クトゥルフファンには垂涎の出来となっている。また、本作のノベルゲームとしての完成度も非常に高く、その高級感のある筆致で読者はクトゥルフの世界観を満遍なく味わえるため、万が一クトゥルフが良く分からない、という方でも雰囲気を掴める。クトゥルフ初心者にも上級者(?)にもオススメしたい一作だ。なお、本作はもぐらゲームスでもレビューを行っている。(Noah)

怪奇幻想ノベルゲーム『クトゥルフの弔詞』。名状しがたい恐怖を味わいつくす混沌の一作。

ダウンロードはこちら

SAVE

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『SAVE』はあたりめ氏によって製作されたクトゥルフRPGだ。フリーゲームダウンロードサイトの「ふりーむ!」にリリースされた直後は、週間ダウンロードランキング1位になるなど話題となっていた。
物語の内容としては、家族を奪われたことで復讐を誓う主人公の旅を描くものとなっている(主人公の性別はプレイヤーが選択できる)。登場する敵キャラクターもデフォルメされたクトゥルフキャラとなっており、「おぞましくも、かわいい」という新感覚が体験可能となっている作品だ。
本作では、家族を取り戻すため、人間のモノではない異形の力を自らの身体に取り込んでいくという内容が、物語面に留まらず、ゲームバランスとしても調和している部分などが特徴的。異形の力を取り込むことで単純にパラメータ上の強さがアップするだけではなく、「身体を次々と異形化することも厭わずに、家族を取り戻すという旅の目的を達成しようとしている」という物語面での演出として、主人公の意志がプレイヤーにもひしひしと伝わってくるのだ。
なお、本作については過去にもぐらゲームスでも単独作品としてレビューを行なっているので、こちらもぜひ読んでみてほしい。
(poroLogue)

クトゥルフ神話のフリゲRPG『SAVE』。奪われた家族を取り戻す物語

ダウンロードはこちら

if.C

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この作品も『SAVE』の制作者であるあたりめ氏によって製作されたゲーム。こちらはRPGではなく育成ゲームとなっているが、かわいらしくもどこかおぞましいクトゥルフの神話生物の魅力は健在。卵から生まれたかわいいクトゥルフの神話生物を散歩、野菜の収穫、料理や遊び道具の購入など通して育てることを楽しめる。一通り世話をした後は、主人公の部屋で眠って時間を次の日に進めよう。こういった日々を繰り返すことで、神話生物を最終形態にまで成長させていくのがこのゲームの目的だ。
神話生物との生活を送る中、日常の中に意味深な人物や謎の存在が突然出現するという要素は、まさに「日常が次第に狂気に侵食されていく」というクトゥルフの性質が盛り込まれており面白い。そもそも主人公とは何者なのか?といったところから、多くは語られないこの作品。キャラクターたちの言葉を感じ、想像することで物語を補う楽しみもある。こちらの作品も、もぐらゲームスによるレビューを行なっているので、気になった方は読んでみてほしい。
(poroLogue)

クトゥルフ神話キャラの育成フリーゲーム『if.C』がオゾマシカワイイ

ダウンロードはこちら

クロウルの洒落竜頭

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お次は探索型アドベンチャーの『クロウルの洒落竜頭』。クトゥルフ神話要素を含むが、知らなくても物語を読み解くには問題ない程度の要素になっている。物語は、探偵になることを夢見ている主人公の少年「ウェスカー」と、その師匠である「キキョウ」が、知人である「ベルモンド」の屋敷に訪れたところから始まる。
屋敷の中で、ウェスカーは「未来の自分」を名乗る声を聞く。それによると、屋敷のパーティーに紛れ込んでいる未来人を探し出さなければ、自分の未来を奪われてしまうという。ウェスカーは戸惑いながらも、声に導かれて未来人を探すことになる……。
ゲームシステムとしてはオーソドックスな探索アドベンチャーで、屋敷の中を調べたり、人と話していくことでヒントを掴んでいく。屋敷のメイドである「ラナ」、ベルモンドとキキョウの共通の友人「イリーナ」、不思議な少女「リリー」、飄々とした性格の男性「ルート」らに話を聞き、時には共に行動することで謎を解決していこう。
本作はクトゥルフ要素が含まれつつも、ホラー要素としては薄めで物語重視となっている作風なので、恐怖が苦手な人でもプレイしてみてほしい1作だ。
(poroLogue)

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クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女

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最後に紹介するのは、フリーゲームではなく有料頒布のインディゲーム作品『クトゥルフ神話RPG 瘴気の海に眠る少女』。ファミコンのホラーRPG『スウィートホーム』を思い起こすレトロなドット絵が特徴のホラーRPGとなっている。肝試しに訪れた館を探索するうちに、怪奇現象に遭遇する主人公たち。脱出のために、怪異と戦いつつ探索を続けるが、そのうち「這い寄る混沌」などに遭遇し……。
このゲームのポイントは「戦闘」と「探索」のバランスだ。館を探索する中で、数人の仲間を選択してパーティを組む。その際、戦闘のための技能ばかりでは探索に手こずり、逆に探索のための技能ばかりでは戦闘に困る。そのため能力や特技の得意分野がそれぞれ異なる仲間を上手く組み合わせて探索を行なうことが必要になる。パーティのバランスを上手く取って戦闘・探索両方を上手く乗り越えていくのはTRPGのようでもある。主人公はゲーム開始時に自由に能力や技能を割り振ることができる。仲間になるキャラはそれぞれ探索・戦闘のスペシャリストが揃っているので、選ぶ技能はまず好きなもので決めてみよう。
怪異と戦闘になった時には、HPの他にも恐怖の攻撃によって削り取られる「SAN値」に気をつけなければならない。SAN値が0になったキャラは精神崩壊してしまい、ゲームからリタイアとなってしまう。死亡もしくは精神崩壊したキャラは生き返らせることは出来ないので、慎重な戦いが求められる。
このように、ホラーだけではなくRPGのキモである戦闘部分も作り込まれている本格的な作品。気になった人はぜひプレイしてほしい。
(poroLogue)

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フリゲアドベンチャー『四人の王国』。声を失った主人公の「性格」を作り上げる冒険の旅

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今回は、フリーゲームアドベンチャー『四人の王国』を紹介する。このゲームの制作者は、ゲームとしてのクオリティもさることながら、ゲーム実況にて50万再生ほどを記録している『魔王少女エリ』や、特徴の異なる武器を使い分ける戦術性が魅力の『ウェポンアリーナ』などを制作したyako氏だ。
本作で特徴的なのは、登場人物からの様々な問いに答えることによって「主人公の性格」が確定していくというシステム。そして問いに対する答えを登場人物がずっと覚えている点だ。それによって、話すことが出来ない主人公が身振りで伝えた思いや行動を、後々になっても他の登場人物が覚えていて言及されるという、現実のように持続するキャラ同士の関係性が魅力となっている。
仲間たちと共に過ごす旅の描写自体も、まるでファンタジー小説を読んでいるかのような質の高いものだ。そういった幻想的な部分もある一方、物語の中では主人公の生き方について踏み込んだ質問もされ、中にはプレイヤーも思わず悩んでしまう内容もある。さっそく紹介していきたい。

声を失った王子と、ワケありな過去を持つ3人の冒険

このゲームの主人公は、王国の王子候補の一人。王子候補としての重圧から声を失ってしまい、喋ることの出来なくなった過去を持つ。王子を決める試練である「王の試練」にも乗り気ではなかったが、国王から「王の試練に合格したら、自由に生きることを許してやろう」という条件を持ちかけられ、部隊長という役職ではあるがメンヘラ気味の女の子「クーフィア」、どんな時でもウソを付くことが出来ない「カシュー」、寡黙で存在感がないが情に厚い「ジャン」という一癖も二癖もある3人の側近とともに、王子となるための「紋章」を集める冒険の旅に向かうことになる……。

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王子候補としての生を受けた主人公

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夢見がちな部隊長の少女、クーフィア

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どんなときでも正直に喋ってしまう、カシュー

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寡黙に仲間たちを見守る、ジャン

本作の特徴的なポイントは、仲間たちや登場人物から様々な問いかけをされるが、その受け答えによって「主人公の性格」が決まることだ。また受け答えによっては内容をキャラクターたちが覚えており、後々になってそのことに言及されるなど、まるで現実を生きているかのような生活感を体験することが出来る。
加えて本作の妙となる部分は、登場するキャラクターそれぞれに、これまでの人生で得た価値観があり、そういった価値観を基点とした行動を行っていることが丁寧に描写されている点だ。過去の体験を元に現在の振る舞いを決めるという、リアルな人間関係を見ているような臨場感を楽しむことが出来る。

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主人公は喋ることが出来ないため、顔の表情や身振りなどで意思疎通を行なう

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主人公や仲間たちの性格・特徴などは物語を進めることで記述されていく

主人公たちのほかにも「王の試練」に参加者はおり、そういった人々との交流も楽しいものになっている。他の王子候補も、非常に我の強い「ダン」、誰に対しても丁寧な「ライツ」など個性的な面々ばかりだ。時にはそういった王子候補やその仲間たちと行動を共にすることもあり、様々な人物に触れていくことになる。

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自分の道を突き進む王子候補、ダン

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丁寧な物腰の王子候補、ライツ

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他の王子たちの側近も数多く登場する

冒険中には戦闘が発生することもあるが、主人公一行にはレベルが存在せず、新しいスキルなどを覚えることもない。そして主人公以外の3人の仲間は、コマンドが選択できずオートの戦闘になる。しかし、決して「演出」のためだけの戦闘シーンというわけではなく、戦闘中にタイミングを見計らっての行動選択が重要となる場面もあり、油断していると負けてしまう手に汗握る戦闘も存在する。

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限られた行動で上手く戦闘を切り抜けよう

「王の試練」の冒険の先には…

主人公たちの旅の行き先は、古びた遺跡、荒れ狂う吹雪の地、慣習に縛られた古風な村……など様々な場所に渡る。仲間たち4人での旅は、ファンタジー小説そのもので、まさに冒険活劇といえる面白さがある。しかし、旅を進めていくにつれて、そういったファンタジーの世界観の中に、ときおり現実感が影を挿すような出来事も交わってくる。仲間たちの過去にまつわるエピソードや、ときには主人公自身の生き方について問われるシーンも存在するのだ。
次第にプレイヤーも、「この質問にはどう答えるべきか…」と真剣に悩んでしまうことだろう。本作はそれくらい没入度が高く、作りこまれた作品となっている。

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冒険を進めていくうちに、仲間たちから様々な問いを投げかけられていく

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あなたは、それにどう応えるか?

プレイ時間は約8時間ほどの中編となっており、ゲームとしては長すぎず、短すぎない絶妙な物語の分量が、作品に現実感を与えている一因にもなっている。筆者としてはゲームをクリアした後に、他のプレイヤーとつい感想を話し合いたくなるほど印象的な物語となっていた。ぜひともプレイしてほしい作品だ。

[基本情報]
タイトル 『四人の王国』
制作者 yako(制作者様サイトはこちら
クリア時間 7~8時間程度
対応OS Win ME/XP/VISTA/7/8/10
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10099

振り返るのが恐い短編フリーホラゲ『アイシャの子守歌』。劇中で間接的に”語られる”悲劇とは?

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2013年末から2014年にかけては数多くのフリーホラーゲームが登場したが、2014年後半から2015年に入ってからはフリーホラーゲーム一強という流れは下火となってきたようにも感じられる。ホラーアドベンチャーというジャンル自体にやや食傷感が感じられるのも確かだ。

関連記事:2014年・フリーゲームの潮流~話題となったフリゲ作品を語りながら、2015年の展望を予想してみた。

そんな中、時々現れて人気が出るホラーゲームは、何らか非常に印象的なものが多い。

今回、紹介するフリーホラーゲーム『アイシャの子守歌』は、30分程度でクリアできる超短編のホラーアドベンチャーだ。エンディングは1つしかないため、分岐を気にせず、ストーリーを存分に楽しみながら進めていくことができる。物語に関して、多くは文字で語られない。それでもしっかりとプレイヤーの心に訴えかけてくるストーリーと、ちょっとした恐怖の演出が特徴的だ。

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文字では語られないが見事に”感じさせる”ストーリー

『アイシャの子守歌』では、ストーリーが語られることはない。主人公の女の子、アイシャは倉庫のようなところで目を覚ます。そこがどういうところなのか、時折現れる幽霊は一体誰なのか、プレイヤーはゲームをプレイし、時々出現する「日記」を読みながら、徐々に理解していく。

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開始直後。部屋のようだが、周りもよく見えない。

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探索が進むと、見つかる日記で徐々に「過去」が語られる。

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施設に残されたパソコンにも情報がちりばめられている。

アイシャが目覚めたある施設で起きた「過去」、そしてその施設を一人きりで探索する「現在」、果たして何が起きているのかが30分程度の探索で徐々に判明してくる。

鍵となるのは、アイシャが会いたがっている「兄」の存在だ。果たして兄に何が起きたのか、そして探索していると時折、見える影は兄ではないのだろうか……。

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過去の回想では、アイシャを精一杯励ましてくれていた兄

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時々聞こえる声は…兄…?

なおプレイ中、主人公のアイシャは一言も言葉を発しない。アイシャがどのような気持ちで施設を歩きまわっているのか、思いを馳せてシンクロさせるのも、物語に身を浸す上で重要だ。

左右に歩くだけの2Dでも、「振り返る」怖さ

このゲームはホラーゲームなだけあって、探索中にはホラー要素がある。

まず、このゲームは左右の移動しかない、2Dというよりは、左右のみなので1Dだ。アイシャの周りは暗闇に囲まれており、見えるのはわずかに周囲のみ。途中手に入る懐中電灯では、アイシャが向いている方向を照らしだす。

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この左右に照らす演出が絶妙で、プレイヤーは行き止まりや、何らかの設備を調べた後、振り返える=暗闇を照らさなければいけない。このゲームでは、振り返ると何らか先程までと様子が違うという演出が非常に多く仕組まれており、シンプルな移動方法とホラー要素をうまく組み合わせている。

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行き止まりなので振り返らなければならない…。

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壁に書かれている文字は…。

30分以内という超短編そしてシンプルな操作ながら、過去と現在のストーリーを探る楽しみとホラー要素が美しく組み合わっている。

ぜひ味わっていただきたい一作だ。

[基本情報]
タイトル 『アイシャの子守歌』
制作者 あうぐ(制作者様サイトはこちら
クリア時間 15~30分程度
対応OS Win ME/XP/VISTA/7/8/10
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10188

建設現場×ホラーの異色フリゲアドベンチャー『建設途中十四階』。美しいドット絵のビルから脱出せよ

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コンシューマゲームが高精細な3Dゲームに移行していく一方で、フリーゲームでは、作りこまれたレトロ風ドット絵の2D作品が目立つようになってきた。

これまでにも『ib』や『ゆめにっき』といった名作アドベンチャーが作られてきたのはもちろんのこと、最近ではもぐらゲームスでも紹介したフリゲアドベンチャー『a film』も、自作のドット絵の醸し出す世界観が非常に魅力的な作品で、フリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」のランク上位に登り多くのユーザーにダウンロードされていた。

レトロ風フリーゲーム『a film』。美しいドット絵の世界で語られる10分間の物語

そこで今回紹介するのは、巧みに作りこまれたレトロ風ドット絵の世界観と、そして主人公は建設現場で働く屈強な青年という、建設×ホラーという珍しいタイプのアドベンチャーだ。
ホラー要素のあるフリーゲームといえば、主人公が「か弱い女の子」というイメージも強いが、本作はその真逆というのも特徴的。また、このゲームは制作者の方が初めて作り上げたゲームということだが、短編ゲームとしてコンパクトにまとまった完成度の高い出来となっていた。

精緻に作り込まれたドット絵の建設現場から抜け出せ!

このゲームの主人公は、建設現場で働く青年「相川拓馬」。ある日、彼はいつものように工事現場で仕事をしていた。そこで作業を終えたので十四階から下に降りようとするが、いくら降りても何故か階段がループしてしまい、十四階に閉じ込められてしまう……。

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舞台は建設中のビルの十四階。ここで奇妙な現象が発生する……

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このゲームの主人公、相川拓馬

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突然、建設現場の十四階に閉じ込められてしまった拓馬

なんとか十四階から脱出するために、 拓馬は建設現場の中を探索することになる。脱出の役に立ちそうな道具などを拾いつつ、脱出の糸口を見つけることが当面の目的だ。

このゲームの特徴として目を惹くのは、その精緻に作り込まれた世界観だろう。ドット絵の外見的な美しさもさることながら、建設現場で様々なモノを調べた時のテキストも、ひとつひとつが丁寧に作られている。ふと脱出という目的を忘れ、細部まで作り込まれた世界を堪能しつくしたい気分にさせてくれる。

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モノを調べた時の拓馬の反応は多様で、仕事っぽさが感じられる

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メニュー画面も非常に凝ったデザインになっているので、ぜひ見てほしい

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現場を探索しつつ、脱出に必要なアイテムを手に入れよう

そして作中のホラー部分も、派手さは抑えつつも、その奇妙な不気味さが静かに伝わってくるものとなっている。建設現場の探索を行なっていた拓馬は、とある部屋の中に入る。そこで謎の男の姿を見かけるが、それはどうやら人間ではない存在のようで……。この謎の存在から逃げ切れるかはプレイヤーの判断次第だ。

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探索を進めていく中で現れる謎の存在の正体とは……

本作は探索中の行動によって複数のエンディングが用意されているマルチエンドの作品だが、全体的なプレイ時間の長さとしても短編となっており、1プレイ10分から30分ほどでクリアすることが出来るだろう。その作り込まれた世界観と、そして奇妙な体験をぜひ堪能してほしい。

[基本情報]
タイトル 『建設途中十四階』
制作者 有馬
クリア時間 10~30分
対応OS Win VISTA /7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10207

フリーゲームオンリー同人誌即売会「Try&Re:save」。明日10月12日開催!

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2015年も年末に近づく中、大作長編RPG作品や、技巧を凝らしたアドベンチャー、プレイヤーの腕が問われるアクション……など数々の作品が発表され、さらなる盛り上がりを見せるフリーゲーム。そんなフリーゲーム作品を取り扱う同人イベントが、明日10月12日(月)、東京都中央区の錦商会館にて開催される。

Try&Re:save 公式サイト

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参加サークルの頒布する作品内訳については、申し込み期間中の経過が公式Twitterにて公開されているので、こちらを参考にしたい。『ib』、『ゆめにっき』、『霧雨が降る森』、『OFF』などが挙がっているので、好きなゲームの作品を頒布しているサークルを探してみよう。

イベントのパンフレットは、現地にて全員購入制で500円となっている。そのほか、重要な事項に関しては公式サイトのイベント概要ページに記載されているので、こちらを読んでから参加しよう。公式Twitterにて会場への順路も説明されているので、合わせてチェックしたいところだ。

Try&Re:save イベント概要

フリーゲーム個別タイトルの同人イベントは、以前には『ib』のオンリーイベント「ROSE OF MUSEUM」などがあったものの、「フリーゲーム」というジャンルを広く対象としたイベントは、これまでに無かった試みと思われる。この機会にぜひとも参加してはいかがだろうか?

フリーホラーゲーム『RxHpsychosis』。ホラー×ローグライクという恐怖の新機軸

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フリーホラーゲームが多数公開されていく昨今、システムやギミック面での練り込み度合いの高い作品も増えてきた。先日もぐらゲームスで紹介した『アイシャの子守唄』も、暗闇の中でライトを使用した「振り返り」のギミックが特徴的な作品だった。

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今回は、そんな成熟を見せていくフリーホラーゲームの中で、「ホラー」と「ローグライク」という2つのジャンルを掛け合わせた異色の新作『RxHpsychosis』を紹介したい。

本作は、バグったゲーム世界を探索するシステムが話題となった『バグのセカイ』を制作した、れんたか氏の新作となっている。2つのジャンルを組み合わせたゲームといえば、ローグライクとリズムゲームを組み合わせた『Crypt of the Necrodancer』が挙げられるが、本作が組み合わせたのは、プレイヤーの感情的な部分に訴えかける「ホラー」、そしてプレイヤーに合理的な行動選択を要求する「ローグライク」だ。これら一見相反する2つの要素を組み合わせた本作の魅力とは、何なのか?さっそく、紹介していきたい。

恐怖の存在がうごめく、悪夢のような世界から脱出せよ

本作の主人公である青年「明有」は、あるとき外出をしていたところ、奇抜な服装をした謎の女の子「くれは」を見かける。明有はくれはの存在を夢の中で何度も見ており、気になった彼女に導かれるように追いかけていく。そこでくれはと話した明有は気を失ってしまい、気が付くと、異形の存在がうごめく、謎の世界に迷い込んでしまっていた……。

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主人公の明有(画面左)に対して、意味深な言葉を投げかけるくれは(画面右)

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気が付くと自宅がおかしな空間になっており、謎の存在も現れる……。

本作の特徴は、先述したように「ホラー」と「ローグライク」の組み合わせにあると言えるだろう。主人公である明有は、探索中に拾うアイテムを駆使しながら恐怖の存在を退け、世界の出口を求めさまようことになる。

ゲームの進め方としては、一般的なローグライクのように階層ごとに区切られたフロアを探索し、次の階層へ進むことが出来る「カンテラ」を見つけ、奥へ奥へと進んでいくものとなる。探索をしていくうちに、敵として謎の存在も現れるので、注意して進む必要がある。

一方で、行動形式についてはローグライクゲームに良く見る形式であるターン制ではなく、リアルタイムで進行する。敵に接触されるとダメージを受けてしまうため、状況に応じて手早く行動するアクション要素も入ってくる。とはいえ、ゲーム開始時に難易度を5つから選ぶことが出来るため、低めの難易度を選べばアクション要素の苦手な人でもクリアできるようになっている。

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謎の存在たちがうろつくフロアを探索していく。画面右端で光っているのが、次のフロアへ進むためのカンテラだ

このゲームでまず重要となってくる要素は、プレイヤーの見ることが出来る「視界」だ。フロアはほの暗く、はっきりと見ることが出来る視界は、明有の周囲のみとなっている。

さらに、フロア内の広い場所から細い通路に入ると、視界は一層狭いものに制限されてしまう。これが絶妙な怖さをプレイヤーに与えてくる。まさに一寸先は闇で、すぐ先に敵がいても気づくことが出来ないのだ。そこでは「いつのまにか敵に接触してしまいダメージを受ける」という単純なシステム上の意味だけでなく「制限された視界の中、突如として謎の存在が襲ってくる」ということによってプレイヤーに与える恐怖感が、巧みに演出できているものとなっている。

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狭い通路に入ると、視界が途端に狭くなる。この状態では敵に接近されるまで気付けないことが多く、非常に危険だ

またゲーム内で扱うパラメータのひとつである「電力」は、時間の経過とともに減っていき、減るごとに周囲を照らすライトが弱まり、視界はさらに暗くなっていく……。敵の存在が見えにくくなる実際的な効果と、視界が制限されることによる感情的な恐怖が増していくのだ。

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電力が少なくなると、周囲が真っ暗に……この状態を続けるのは避けたいところだ

拾ったアイテムを利用して、恐怖の存在から逃げ切れ!

探索中に現れる敵の存在に対しては、アイテムを使用して有利に立ち回ることも出来る。アイテムはフロアに落ちており、メインとなるものは4種類。ほの暗いフロアを一時的に明るくして視界を良くし、敵の発見などをしやすくする「懐中電灯」、飲むとフロアのどこかに瞬時にワープする、敵に襲われた時の緊急避難用の「謎の薬」、使用すると見えないものが見やすくなったり、他にも特殊な効果を発揮する「目薬」、そして電力を少し消費するが、敵を直接的に撃退するための唯一の武器である「スタンガン」となっている。

このほかにも、電力を回復するためのアイテムや、またフロアに存在する鍵を拾って宝箱をあけると、特殊なアイテムが手に入るようになっている。さまざまな効果のものが存在するので、プレイして色々と試してみてほしい。

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懐中電灯を使えば、狭い通路でも視界を確保できる。敵の奇襲を防ぐことが出来るので安心だ

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敵から逃げ切れない場合は、スタンガンを使って行動不能に!

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ゲーム内では出会った敵の情報を知ることが出来るので、弱点などの参考にしたいところだ

ゲームクリアまで一通り遊んだ筆者のプレイ感として、アイテムの所持数は限られているのに、恐ろしい敵を前にしてスタンガンを正確に当てることが出来ず無駄使いしたり、また暗い通路を進んでいく中で「いきなり怖い敵に襲われたくない!」という恐怖感から、懐中電灯を必要以上に置きながら進んでしまうことがあった。

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敵にとつぜん襲い掛かられると、恐怖感から必要以上にアイテムを使ってしまうことも……

これらは一例だが、本作では「頭では分かっているが、恐怖という感情によって必ずしも合理的に行動できない」という状況が発生する。これが、ホラーとローグライクの組み合わせという異色のジャンルの体験なのだ。

曖昧な世界で出会う二人の織り成す物語

本作はゲームシステム面もさることながら、世界観にマッチしたキャラクターデザインなども見事なものとなっている。敵のグラフィックや、明有やくれはのイベントイラストなども、作品世界の空気に合致するように、とても丁寧に作られている。

物語としては明有とくれはの二人が、ここがどこかもわからない世界で探索を行なうため、当初は謎が多いかもしれない。しかし、ゲームを進めていくにつれて段々と分かるようになってくる。ここからはそんな本作の物語を少し紹介してみたい。

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時折、意図を掴めない言葉を投げかけるくれは

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二人には過去に何かしら抱えているものがあるようだが……?

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探索中には癒し系(?)のキャラも。恐怖の世界で一息つくことが出来る

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世界の奥深く進んだ先には、凶悪なボスキャラクターとの対峙も

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普通の女の子のような姿のくれはも見ることが出来るが……

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二人を待ち受ける物語の結末とは?

今回紹介したホラー×ローグライクという新機軸の作品『RxHpsychosis』。難しい難易度でなければ、3~4時間ほどでクリアできるものとなっている。異形の存在がひしめく恐怖のローグライクゲームの踏破に、ぜひとも挑戦してほしい。

[基本情報]
タイトル『RxHpsychosis』
制作者 れんたか
クリア時間 3時間~難易度による
対応OS Windows XP/Vista/7
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/10303

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