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全編手描きのアート世界を探索するサイコホラーアドベンチャーフリーゲーム『Steel howling』ロックの歴史をモチーフにした“メタル”と“悪夢”の狂宴

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毎年、日本で行われている野外ロックフェスティバル。オールナイトで満喫して、朝焼けを眺めながら非日常感に浸るスケジュールがすでに入っている、という方もいらっしゃるだろう。さて、このロックフェスティバルであるが、歴史を辿っていくと1969年にアメリカで開催された大規模で伝説的な野外ライブ「ウッドストック・フェスティバル」の名が出てくる。入場者は40万人を超え、そこでは既成の価値観から抜け出した若者達が熱狂の渦を巻き起こしていた。

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自然と平和と自由を愛する者たちが集まっている祭典のシーン。ここで何かが始まろうとしていた。
 
今回は、このようなロックにまつわる出来事や、ロックのスタイルの一つであるヘヴィメタルが題材となっているサイコホラーアドベンチャーフリーゲーム『Steel howling』を紹介していきたい。本作は、ニコニコ動画のゲーム投稿サービス「RPGアツマール」の投稿作品でもある。全編手描きのマップが大きな特徴で、アートの中に直接入り込める展覧会のようなゲームとなっている。

目が覚めると、そこは殺人鬼の家だった

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鍋の中で何かが煮える音がする中、見知らぬ場所で目覚めた男。周りには、拘束されて身動きが取れない二人。三人は、いつの間にか殺人鬼の家に閉じ込められていた。物語はこの三人を中心に進んでいく。
 
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目覚めた男の名はジョナサン。縛られたロープが甘く、自由に動けるようになる。長髪とヒゲが目立ち、3人の中では最年長となる。頼りがいがありそうに見えるがとても傷つきやすく、繊細なハートを持つ人物である。
 
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拘束されているうちの一人、不良少年のジューダス。野球帽を愛用している。ジョナサンとは対照的な性格の持ち主で、たびたび互いに衝突するようになる。
 
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赤ずきんを被った冷静沈着な少女。精神安定剤のように、荒っぽい男達の間に入って場を落ち着かせていく。
 

手描きマップの美しい世界

ゲームを開始すると、目に飛び込んでくるのは立体感や奥行きのある手描きの2Dマップである。漫画に出てくるようなイラストの中を自由に歩くことができるのだ。

本作はRPGツクールMVで制作されているが、RPGツクールMVの機能として「歩行できる一枚絵のマップ」を実現しやすくなったということが特徴の一つになっている。これにより、マス目に捉われない外観のマップが作り出されている。

キャラクターは一定の歩幅で歩いていくが、本作のイラストマップはその歩幅(マス)に合わせて家具や壁などが描かれており、キャラクターがマップの上に乗ったときに不自然にならないように気を配られている。

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さて、「絵」の他にもう一つ飛び込んでくるものがある。それが「音」である。
 
鍋の中で何かがグツグツと音を立てながら煮えている場面から物語が始まっていくが、鍋の中に入っているものはとても“サイコ”ホラーなものであるため、ここではお伝えすることができない。一つ言えるのは、細かく描かれた一枚絵と同じように、サイコホラーな絵もリアルであり恐ろしい光景だということだ。

そしてなんと、制作者のオリジナル楽曲が10曲以上も入っている。こだわりが感じられる効果音も含め、そういった音にも注目してほしい。音楽をテーマとして扱っている本作にはこの「音」が欠かせないのだ。

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物語に登場する『黒い安息日』は、ロックバンド「ブラック・サバス」のヘヴィメタルなデビューアルバムが元ネタとなっている。本作ではあちこちにロックやメタルに関する用語が現れるが、条件を満たすと用語解説のおまけを見ることができる。お楽しみの一つだ。
 
ゲームを進めていくと三人は殺人鬼のいる家から脱出することになる。しかし、悪夢は終わっていなかった。気が付けば再びあの家に戻されていて、そこからが本当の悪夢の始まりであった。

一体どうなっているのか?そして「ヘヴィメタル」がどのように関わってくるのか?真相はぜひあなたの目で確かめてほしい。音楽に注がれた人々の果てしなき情熱が感じられるだろう。

[基本情報]
タイトル:Steel Howling
制作者:Achamoth
プレイ時間:1プレイ40分程度、真相が明かされるまで2時間半程度
動作環境:Windows,Mac
価格:無料

ダウンロードやブラウザ版でのプレイはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/13658


SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第2回:Qpic『スーパーフックガール外伝』②

※本記事は、1月7日より開始した「SMILE GAME BUILDER」製作実演の連載です。

フリーゲーム作者による「SMILE GAME BUILDER」制作実演連載が開始 完成作はダウンロードして遊べる!

SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第1回:Qpic『スーパーフックガール外伝』①


 
こんにちは、『スーパーフックガール外伝 –for Smile Giving Birthday -』製作チーム代表のクストです。前回の記事から引き続き、本作の内容と制作の背景を紹介させていただきます。

前回の振り返り

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本作はWindows用RPG制作ツールSMILE GAME BUILDERを使って、キャラクター同士の掛け合いを楽しみながら遊ぶ、会話と探索を主体としたアドベンチャーゲームという方向性で制作を進めています。

また、カメラワークを活用した気持ちのいい演出、探索欲を刺激するような立体マップといったSMILE GAME BUILDERならではの機能をたくさん取り入れ、原作『ニュー・スーパーフックガール』を遊んでいただいた方はもちろん、未プレイの方にも楽しんで頂けるようなゲームを目指しています。

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『スーパーフックガール外伝』の世界観・ゲームの目的

『ニュー・スーパーフックガール』よりも昔、まだ姉妹が小さかったころのおはなし。

かつて様々な偉業を成し遂げ、たくさんの人たちに尊敬されている「師匠」と、それに憧れて弟子入りをしている二人の姉妹、姉の「フック」と妹の「ピック」。三人は山奥の小さなお家で暮らしています。

ある雪の降る冬の朝、「師匠」の誕生日が今日であることにフックたちは気がつきます。夜になって師匠が家に戻ってくる前に、ふたりは無事街に出て誕生日会を準備することができるのでしょうか……!?

本作の特徴である「時間システム」について

主人公であるフックたちには「師匠が家に戻ってくる夕方までに誕生日会を準備する」というタイムリミットがあります。そこで、本作を特徴づけるシステムとして、「会話」「調べる」「場所の移動」など、プレイヤーが何かしらの行動をすることでゲーム内時間が進行していく「時間システム」を実装しました。

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このシステムはただ単に制限時間を示すものではなく、午前中は営業していないお店、時間によって変化する住民の会話、特定の時間でしか発生しないイベントなどなど、物語の没入感をより増大させる目的で考案しました。また、2周、3周と繰り返しプレイをすることで、違った体験ができるようにすることも考えています。

ゲーム制作で課題となっているポイントは?

今回の制作において、「複雑なフラグ管理」「イベントの考案」などはあらかじめ覚悟して実装に踏み込んだので、想定通り苦労しています。しかし予想以上に苦労している点は、プレイヤーが何をすればいいのかわかりにくいというゲームデザイン上の課題でした。

例えば、本作の目的が「3日後に落ちてくる月から街を救え!」「15日後に迫る災厄の刻から世界を救え!!」といった非常に伝わりやすいものであれば、プレイヤーは「住民に対する聞き込み調査」「主人公の強化」というような行動を自然と取ることができます。

しかし本作の目的は「夕方までに誕生日会の準備をする」という、プレイヤーが取るべき行動が直感的に分かりにくいものです。これをどのように自然に達成させるか、ということが課題となっています。この問題はまだまだ格闘中で、次回の記事までに何かしらの答えを用意し、面白い作品を提供したいと考えています。

最後に、本作で使用するBGMを聴くことができるデモ動画を用意しました。完成版では他にも様々なオリジナル楽曲が登場予定なので、ぜひ聴いてみてください!次回の記事では、完成した作品を題材に、SMILE GAME BUILDERを使った制作の振り返り記事を執筆予定です。

※本連載で制作しているゲームは完成後、作品を遊べるようにダウンロード形式で公開することに加え、SMILE GAME BUILDERを持っている人向けに、ゲームの実装の中身を見ることができるプロジェクトファイルも合わせて公開する予定です。

フリーゲーム“拷問”RPG『芥花(あっか)』。悪魔から力を得て“死因”を奪い合う、儚くも強き少女達の物語。

今回取り上げるフリーゲームは、サークル「クーネリア」が制作したRPG『芥花』です。繊細で可愛らしい少女達が主役の作品ですが、その題材は「拷問」と「秘密」。「至死者」と呼ばれる少女達が悪魔主催のゲームに参加させられ、お互いの「死因」を奪い合うという内容です。彼女達はそれぞれが拷問の悪魔と契約し、「辺獄」を舞台に戦うことになります。

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拷問と言うとただ理不尽で恐ろしい印象を持つ方もいると思います。しかし『芥花』では直接的な描写は控えめなので、苦手な方にも間口が広い作品です。一方、プレイヤーに揺さぶりをかけるような生死への葛藤を描くことで、少女達が生きた証を鮮烈に表現しています。

キャラクターだけでなく、駆け引きが熱い戦闘や、まったく違う遊び方を提示した3つのシナリオなど、本作は様々な要素が絡み合って構成されています。この記事ではその魅力をじっくりと紹介します。

死を運命づけられた少女達は、悪魔主催のゲームに挑む

本作の主人公は普通の中学生の少女「黒浦芥花」。彼女は自分が死ぬ光景を目にし、気がつくと見知らぬ教会にいました。そこには同じく自身の死の光景を見た6人の少女がおり、戸惑う彼女達の前に「ルイゼット」と名乗る悪魔が現れます。

ルイゼットが告げたのは、芥花達は1年以内に死ぬ定めが決まった「至死者」であること、そして死の記憶を現世に持ち帰るためのゲームに参加させられることでした。

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芥花は何も分からぬまま突然ゲームに参加させられる。
 
ゲームの内容は、契約した「拷問の悪魔」の力を使って戦い、他のゲーム参加者から“死因”を2つ以上奪うというもの。目的を達成してゴールできた場合、自分の死を回避できる可能性を得ますが、負けた場合はすべてを忘れて、現世で逃れようのない死が待ち受けています。

しかし死因を得るためには、ふたりの少女と拷問の魔法を用いて戦わなければいけません。戦いに積極的な者、消極的な者がいる中で、芥花は自分で未来を決めることになります。

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芥花と共にゲームに参加させられた6人の少女。
 

相手を責め立て屈服させる「拷問バトル」

本作の戦闘は「拷問バトル」と呼ばれ、芥花はパートナーの悪魔「“串刺し”イングニド」の力を使っていきます。敵味方には「意思」が用意されていて、これを0にして相手を屈服させると拷問成功です。

一方相手には「BP」と呼ばれる生命力に値するものも用意されており、相手を屈服させる前に0にすると殺害してしまいます。いかに殺さずに相手を屈服させるかの駆け引きが非常に重要です。

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芥花のパートナーのイングリド。高慢だが、戦いでは頼りになる存在だ。
 
戦闘コマンドには「心理」「拷問」「処刑」があり、精神的に責めるか肉体的に責めるか、状況に応じて使い分ける必要があります。それぞれのスキルの威力や効果に影響を与えるのは「傾向」と呼ばれる精神の状態で、戦いの中で増減します。

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辺獄に住む罪人との戦い。必須な戦いは少ないが、勝利すればアイテムが手に入る。
 
「致死者」同士の戦いでは、相手も悪魔の拷問の力を使ってきます。「焚刑」「圧迫刑」「緊縛」など、それぞれ特徴的な能力を使って芥花を苦しめます。強敵に打ち勝つには、BP、傾向、相手の行動パターンを読み、状況に応じた戦術を組み立てることが秘訣です。

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悪魔のひとり、「“動物刑”のアニェーラ」。使い魔を連れて戦うため、罪人とは比べ物にならない強さだ。
 

辺獄で繰り広げられる、3つのシナリオ

本作は3つのシナリオが用意され、初回は物語に沿って進行する「ユウアイ篇」、そのクリア後に選べる「ビョウドウ篇」「ジユウ篇」に分かれています。レベルは存在せず、イベント戦以外は無理に戦う必要のないシンボルエンカウント式なので、最後までテンポよくプレイすることが出来ます。各シナリオのプレイ時間は2~3時間ほどです。

ユウアイ篇

「ユウアイ篇」では、ゲームに巻き込まれた少女達が葛藤しながら戦っていく物語が描かれます。ゲーム参加に消極的な「あやめ」「セイラ」「おこな」のグループに合流した芥花は、彼女達と共に、「辺獄アブラクサス」の奥地へと足を踏み入れます。

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争うことなく道を切り開こうとするセイラ達。それぞれが胸のうちに秘めるものは何か。
 
一見可憐な致死者の少女達ですが、それぞれが人に言えない“秘密”を抱えています。故に彼女達はもろく、同時に激しい一面を見せることもあります。それぞれの想いが交錯した結果、物語は大きく揺れ動き、ゲームの結末へとなだれ込みます。

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辺獄を進むに連れ、少女達の歯車が少しずつ狂い始める。
 
そういった秘密を暴くことも本作の魅力のひとつ。致死者同士の戦いで死因を奪えば、それぞれが死に際に見た光景を垣間見ることが出来ます。死の絶望の先に何を見たのか、それを紐解くことで、少女達が何のために戦うか知る手がかりになるでしょう。

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死の間際の記憶。ゲームで敗北すれば、残酷な未来が待っている。
  
少女達の熾烈なぶつかり合いが描かれる本シナリオでは、芥花の選択や戦闘の結果次第で物語が分岐し、戦う相手が変わります。少女達がどういった結末を迎えるのか、どうして死ぬことになったのか、プレイヤー自身が見届けて下さい。

ビョウドウ篇

「ビョウドウ篇」ではうってかわって、戦闘なしの推理ミステリーです。「百客館」に辿り着いた7人の少女達は、魔力を奪う雨で能力を制限される状況に置かれてしまい、一時休戦します。百客館はかつて地獄を恐怖に陥れた、いわくつきの場所。現在は主人不在で、使用人達だけが働いていました。

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使用人達は何故か異様に“蜘蛛”を恐れている。
 
そんな中、致死者のひとりが突然殺害されます。犯人が誰か分からない状況下で、使用人達は主人である「ムカデ姫」が帰ってきたのではないかと噂します。ムカデ姫が彼女を殺したのか、それとも別の犯人がいるのか。魔の手が迫りくるの中で、芥花とイングリドの犯人探しが始まります。

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探索パートでは館の中を調べることが出来る。館に隠された秘密とは…?
 
ビョウドウ篇では「ペネトレーター」が開放され、プレイヤーが推理するための情報を確認することが出来ます。百客館の探索で事件の鍵を探し、犯人はどうやって致死者を殺害したか考察し、事件を解決に導いて下さい。

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魔法が存在するとは言え、厳密なルールがある。情報を整理しつつ、真実を導き出そう。
 
ジユウ篇

「ジユウ篇」は他のシナリオと違い、プレイヤーが自由に進行ルート決めることが出来る「フリーシナリオ」式のゲームです。「笑わざる子午線」と呼ばれる場所からいくつものダンジョンが繋がっており、各地には致死者の少女達が待ち受けています。彼女達とどんな順で何人と戦うかの采配は、プレイヤーの手にかかっています。

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辺獄には多種多様なダンジョンが存在する。ソルトロードもそのひとつ。
 
各地をじっくり探索すると致死者の意外な側面を知る事も出来、ユウアイ篇・ジユウ篇では謎だった部分を解き明かせるかもしれません。ただしユウアイ篇と比べて、どの致死者も大幅に強くなっているので一筋縄ではいかないでしょう。致死者との戦い以外にも、地獄に住まう罪人の依頼を受けたりと様々なイベントが用意されています。

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「“水責め”のヴァルトルーデ」戦。ジユウ篇での悪魔達は圧倒的な強さを誇る。
 

儚き願いを胸に、あなたはゴールを目指す

少女達の生死を賭けた戦い、本当なら見てはいけないものを見る背徳感、妖艶なグラフィックとBGMによって、『芥花』は他のRPGとは一線を画したゲーム体験を与えてくれます。もし少しでも良さそうと思ったなら、例えこういった世界観に慣れていなくてもオススメ出来ます。死の運命の中でもがき、生を求め駆け抜けた、少女達の物語を少しだけ覗いてみませんか?

タイトル 『芥花』
制作者 クーネリア(制作者様サイトはこちら)
対応OS Windows XP/Vista/7/8/10
プレイ時間 1シナリオ2~3時間程
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/13168

短編フリーゲームRPG『ココロの心~ふたりの心~』 綺麗で切ない物語と“感情”がカギのゲームシステムが特徴

今回は、切ない物語の短編フリーゲームRPG『ココロの心~ふたりの心~』を紹介します。雨宮かるた氏によって制作された本作は、2013年に制作・公開した『ココロの心』のRPGツクールMV版でのリメイク作品。特徴としては短編ながらまとまった物語と、しっかり描写されたキャラクター、そして“感情”をポイントにした凝った戦闘システムがあげられます。

物語の始まり

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最初に目にするゲームのタイトル画面。綺麗なグラフィックと、少女たちの少し悲しそうな表情が、このゲームの内容を物語っています……。

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強気で明るく、頭脳明晰な少女シリサ。なんとなく意地悪そうな笑顔が似合います。
 
物語の中心となるのは、シリサとココロという二人の少女。シリサはいわゆる天才少女で、世界中の科学者が苦悩して開発しているような技術を、趣味感覚で数か月程度のうちに完成させてしまうほどの頭脳をもっています。しかし性格はおてんばといった感じで、私生活は非常に頼りなく、一人では衣食住もままならないほど……。

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大人しくて儚げな印象の少女ココロ。シリサの友達で、苦労人のようです。
 
そんなシリサの面倒を見ているのが、友達のココロ。シリサとは対照的で、落ち着いたクールな性格をしています。街へ買い出しに行ったり、シリサの実験に付き合わせらせたり。控えめで振り回されながらも、シリサのことを思いやっているいい友達です。

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日ごろから一人でとんでもない発明をしているシリサ。今回も一人でとんでもない技術レベルの機械を作っていました。
 
物語の始まりは、人の心の中に入れる機械を開発したシリサが、ココロの心の中に入ろうと言い出すところです。なんと人の心の中の世界を、別の人も探索できるようになるという機械。ココロは仕方なくいつもどおりに実験に付き合います。

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ココロの心に入ると、辺りは一面雪景色。小さな集落があり、人もいるようです。心なのに寒い景色だと言うココロと、綺麗だと言うシリサ。

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ココロの心の中に住むセラ。シリサとココロのサポートをしてくれます。

見つけたのは雪に覆われた大樹と、その前で出会うセラという人物。大樹は心の持ち主の感情を表し、セラは宿主の心の傷を修復する仕事をしているそうです。そして今の大樹が表しているのは、ココロ本人も気づいていない、悲しみと少しの怒りの感情……。

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実験で振り回しながらも、ココロをとても大事な友達だと思っているシリサ。

友達が悲しんでいるのを見ていられないと言い、心の傷を修復する仕事を引き受けるというシリサ。するとセラは、ココロの記憶の中から、本人も気づいていない傷の原因を見つけ出してほしいと頼みます。こうして二人の冒険が始まります。

一筋縄ではいかない戦闘システム

このゲーム、短編RPGではありますが、戦闘システムがかなり作り込まれています。敵と戦うにあたって、シリサとココロは人間の負の感情を攻撃の力にします。ここで重要になるのが、その「攻撃の属性」と「場の属性」。

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戦闘画面左上の表示が場の属性テーブル。その中の赤いクローバーが現在の場の属性の位置です。

まず属性の種類について。ゲーム内では4つの属性が存在し、「不安」「嫌悪」「孤独」「欲望」を使うことになります。味方は攻撃の属性を自由に決められるので、敵の弱点に合わせて属性を選ぶことができます。しかし問題点もあります。

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「不安」の感情で攻撃していくと、場の属性が上の画面より少し「不安」に近づきます。

場の属性は、味方や敵が使った攻撃の属性に近づきます。場の属性が特定の属性に偏ると、その属性の威力が上がります。これは味方だけでなく敵も同じなので、場の属性が敵に有利な属性に偏ってしまうのは避けたいところです。

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属性の攻撃によってはその属性の状態異常がつくことも。

さらに場の属性の効果は威力上昇だけではありません。ゲーム内に存在する4つの状態異常、「不安」「嫌悪」「孤独」「欲望」。そう、属性と同じ状態異常が存在します。そしてこの状態異常の効果は、場の属性の偏りによって強力になります。

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場の属性が不安に偏ると、敵味方全員にダメージが。

さらに、場の属性が極端に偏ると、状態異常を受けていないにも関わらず、戦闘に参加している全員が状態異常を受けているのと同じような効果を受けます。

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戦闘中に場の属性による効果の違いも確認できます。

このように、場の属性はなかなかの曲者。敵の攻撃で偏った属性を戻そうとしても、回復もしなければならないこちらは圧倒的に手が足りなくなることも。いっそのこと無理に属性を戻さず、流れに身を任せる方法も考えたほうがいいかもしれません。

ちなみにこのゲーム、難易度が高めです。難易度は「普通」「易しい」「さらに易しい」の3つから選べますが、レベル上げや戦略を立てるのに時間を使いたくない人は、「さらに易しい」で進めましょう。終盤になると、RPGが苦手な人は普通に進めるだけでも一苦労かもしれません。ゲームの途中からでも難易度変更は可能です。

このゲームのプレイ時間は、配信ページでは1~2時間と表記されています。しかし、難易度によってレベル上げや戦略をじっくり考えていると、3~4時間ほどに達すると思います。

細かいイベント

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ふと見つけた小説の内容で盛り上がる二人。

このゲームはココロの記憶の中を探索していくのですが、道中でさまざまな場所を調べると、それに応じたイベントを見ることができます。本を読んで好きな物語の終わり方について語ったり、カップルを見て好きな異性のタイプについて話したり……。

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同じ「物語の信念」でも、考えていることはそれぞれで違う。

こういったイベントを見ると、エンチャントを獲得することができます。エンチャントはキャラクターに装備することで、さまざまな効果を引き出すことができます。

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中には思わず微笑ましくなるようなイベントも。本編が短いだけに、こういった細かいイベントでキャラクターの個性が見られるのは楽しいです。

物語の行く末は……

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記憶の中のココロがシリサから貰った、人の心がわかるペンダント。そこから入ってきた感情を、つい口に出してしまいます。

ココロの記憶をたどっていく二人。しかしあるとき、不穏な出来事が起こります。いつもどおり街に買い出しに出かけた記憶の中のココロは、怪しげな気配が漂う人に出会ってしまいます。

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しばらくココロの姿を見なくなった記憶の中のシリサは、ココロを心配して探し回ります。

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さらになぜか、記憶の持ち主であるはずのココロもシリサも、このときの出来事をはっきりとは覚えていない様子。

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弱気になっていくシリサを励ますココロ。根が強いのはココロのほうなのかもしれません。
 
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ココロが見せる、数少ない笑顔。これは、二人の少女の切ない物語……。

短くまとまっているストーリーに対して、戦闘を中心としたシステム部分が作り込まれている特徴をもつ本作。それだけに、このゲームを短編RPGとしてだけではなく、長編でも遊びたいと感じさせてくれました。

戦闘システムが複雑なため、使いこなすには時間がかかる人が多いかと思います。しかしそれに対してゲーム自体は短いため、コツをつかむ頃にはもうラストダンジョンだった、ということもあるかもしれません。難易度もやや高めなので、戦略を立てるのが苦手な人は、難易度は低めで遊んだほうがよいと思われます。

[基本情報]
タイトル 『ココロの心~ふたりの心~』
制作者 雨宮 様
クリア時間 2~5時間程度
対応OS Win 7/8/10/Mac OS® X10.10以降 (RPGツクールMVの動作環境に準拠)
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/13549

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公開3週間で10万DLの『休むな!8分音符ちゃん♪』プレイヤーの“声”で操作する異色のフリゲアクション

今回は、プレイヤーの“声”で操作をするという一風変わったフリゲアクション『休むな!8分音符ちゃん♪』をレビュー。本作は2月20日にフリーゲームダウンロードサイト「ふりーむ!」にて公開され、その特殊なゲーム性からゲーム実況動画などでも話題となり、公開後3週間ほどで90,000ダウンロードを達成している作品だ。中国でも現在、実況動画で人気に火がついているようだ(中国名:不要停!八分音符酱♪)。

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このゲームの特徴は、なんといっても、キーボードやマウスといったコントローラの代わりにマイクを使用し、プレイヤーの「声」によって、操作キャラクターである「8分音符ちゃん」を動かすという操作方法だ。

マイクに向かって小さい声を出し続けることで前進し、大きい声をだすとジャンプする。ジャンプ中も声を出し続ければ空中での前進が可能となっている。さらに大きい声でハイジャンプ。ハイジャンプ中も声を出せば前進が可能だ。マイク感度は、ゲーム画面左下のスライダーか、PC側で調整することができる。

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ステージを進んでいくうちに現れる穴に落ちたり、敵に接触したりするとゲームオーバーとなる。それら障害物は、普通のアクションゲームとしてみると、乗り越えるのは簡単に思えるものかもしれない。しかし、このゲームの操作方法は“声”。微妙な調整がいかないことも多く、一見簡単に見えても失敗してしまうこともあるだろう。ますはなんとか操作になれてみることからはじめよう。

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なお、本作はユーザー登録すればオンラインランキングにも参加可能。初回はログインではなく「サインアップ」で登録し、それ以降は「ログイン」をすることで参加することができる。ステージごとに、何秒でクリアしたかのランキングを見ることができる。

筆者がこのゲームをプレイした際は、その特徴的な操作感から、ステージ1からなかなかの手ごたえを楽しむことができた。マイクを使った不自由な操作に慣れることを楽しむという側面もあるため、複数人で交代しながらお互いのプレイを鑑賞すると盛り上がるのではないだろうか。どこまで進めるか、一度ぜひチャレンジしてみてほしい作品だ。

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[作品情報]
タイトル『休むな!8分音符ちゃん♪』
制作者 freedom-crow
対応OS Windows
プレイ時間 10分~
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/13993

第12回フリーゲームコンテスト、ユーザーによる人気投票を受付中

2月23日、フリーゲームダウンロードサイト「ふりーむ!」は、現在開催中である「第12回ふりーむ!ゲームコンテスト」において、ユーザーによる人気投票を開始した。なお、本コンテストにおけるゲーム作品のエントリーは既に終了している。

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「第12回ふりーむ!ゲームコンテスト」

本コンテストにおいて毎年行われているユーザーからの人気投票で得票数の多い作品は、コンテストの賞のひとつである「大人気賞」の受賞候補となる。投票することで、好きなクリエイターやゲームを応援できるものとなっているのだ。

投票のためのフォームも上記コンテストページ内に存在しており、記入項目としては「希望の市販ゲームソフト名(またはギフトカード)」および、「自分の選ぶベストゲーム3つ」となっている。なお、投票者の中から抽選で下記賞品がプレゼントされる。

・好きな市販ゲームソフト(またはCD/DVD)(1名)
・好きな市販ギフトカード 500円分(5名)

投票の期限は3月31日24時まで。人気投票の結果を含めた受賞作品の発表は2017年3月末~4月下旬に予定されている。コンテスト参加作品の中に好きなフリーゲーム作品がある人は、投票してみてはどうだろうか。

攻略対象が全員「軍人」な女性向けフリゲシミュレーション『Mission’s C.U.R.E.』 ほのぼのとシリアスのギャップに揺れる物語

今回紹介するのは、「軍人」のキャラクターたちと様々なコミュニケーションを楽しむことができる女性向けシミュレーションゲーム『Mission’s C.U.R.E. (ミッションズ・キュア)』。プレイヤーは、平和な国で生まれ育ったごく普通の女性となり、個性の強い軍人とふれあうという一風変わった乙女ゲームだ。
 
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本作は、課金要素が一切なく追加要素を含めて完全無料で遊ぶことが可能だ。コミュニケーションを通じて集めたゲーム内ポイント「ソウルペタル」を使うことで、キャラクターごとのメインストーリーや追加要素を解放できてしまう。また、フリーゲームでありながら、毎日「ログインボーナス」を得ることができるというスマートフォンアプリのような特殊な側面も持っている。現在windows版、iOS版がリリースされている。
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リリース当初である現在は、熱血の鬼軍曹「トドロキ」と超ドS将校の「レイリー」の2名が攻略対象。メインストーリーは、プロローグと1話目が公開中となっている。パートボイスが搭載されているので、彼らの性格がしっかりと声に表れている。

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左)足の小指をぶつけてしまった様子、右)1話のメインストーリーにて
 
明るくほのぼのとしたコミュニケーションパートと、戦争をテーマにしたダークで深みのあるメインパートの2つのパートから構成されている。日常系パートからのシリアスな展開になるギャップを楽しむのも本作の魅力である。次話の実装が気になるところだ。

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3月3日には雛祭りの会話イベント
 
フリートーク・文字入力による会話の疑似体験・スキンシップ・ミニゲーム・アイテムのプレゼントなど、キャラクターとのコミュニケーションの手段は様々用意されている。季節に合わせた限定イベントもあるので、各祝日・記念日限定のトークは目が離せない。
『Mission’s C.U.R.E.』の新しい情報はTwitterからチェックできる。

なお、『Mission’s C.U.R.E.』を手がけるアオイサクラ氏による作品は、以前、もぐらゲームスで取り上げたアドベンチャーゲーム『鉄格子の逢瀬』も存在している。

【基本情報】
タイトル  Mission’s C.U.R.E. (ミッションズ・キュア)
制作者 アオイサクラ(制作者様サイトはこちら
価格 無料
対応OS  Windows / iOS
ダウンロード【Windows版はこちら】、【iOS版はこちら
twitterアカウント  @MissionsCURE

フリーホラーゲーム『FS』少女はさまよう、“見えざるモノ”の潜む地下鉄を。

今回は、呪われた地下鉄が舞台となる新作フリーホラーゲーム『FS』を紹介。本作は2月20日、ゲーム製作者のarohaJ氏によってリリースされた作品だ。現在はBOOTHAndappにて、それぞれダウンロード版とブラウザ版が公開されている。

北千田高校に通う主人公の少女「黒賀根雪乃」はある日、友人の「有海美夏」と一緒に下校していた。帰り道に乗った地下鉄の電車の中で、彼女たちは眠りに落ちてしまう。そして目を覚ますと、薄暗い地下鉄駅に2人だけ残されてしまっていた。奇妙な雰囲気の地下鉄を不気味に思う二人だが、そこで、異形の存在に出会い……。

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制作者のPixivページに掲載されている雪乃と美夏のイラスト

本作の特徴的なゲームシステムとしては、地下鉄に存在する「見えざるモノ」を知覚することができる「回帰」のシステムだ。回帰を使用することで、本来見えない存在や、過去にその場所にいた人物の姿、そしてセーブ可能なポイントなどを見ることができる。

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このゲームには、「回帰」状態でのみ見えるものが存在する

一方で、回帰を使用すると、通常は見えない恐怖の存在を見ることもできてしまう。それら存在に触れてしまうとゲームオーバーとなってしまう。役に立つ存在が知覚できる反面、ネガティブな効果と向き合うことが重要になるのだ。

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地下鉄には、雪乃と美夏以外にも少女が迷い込んでいる。ゲームの序盤では、彼女らのうち誰か1人をパートナーにする機会がある。パートナーによってゲームの進行が異なるほか、それぞれ違った特殊能力を持っており、いずれもゲームを進める上で役立つものとなっている。たとえば美夏は危険を察知する能力を持っており、進もうとしている方向に異形の存在がいる場合に直感で教えてくれるのだ。

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危機察知能力を持つ美夏
 
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地下鉄にて雪乃と美夏が最初に出会う少女「桜井銀子」
 
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ある一室にて知り合う「金城秋名」

本作は「回帰」を使用することによって、セーブポイントだけでなく敵となる異形の存在が現れるというように、「ポジティブなもの」と「ネガティブなもの」が混在して出現するところにホラーゲームとしてのポイントがある。進行に役に立つものを見つけたいと思う一方、もしかしたら怪異の存在が見えてしまうかも知れない……。そんなジレンマを感じつつも、回帰を使用してゲームを進めていく。

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本来ならいない人がそこに……。

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執拗に追いかけてくる不気味な存在から逃げ切れ!

本作の想定プレイ時間は1時間から2時間ほど。作りこまれた薄暗い地下鉄のマップからも不気味な雰囲気を感じ取れる本作、短編ホラーゲームを楽しみたい人は、遊んでみてはいかがだろうか。

[基本情報]
タイトル『FS』
制作者 arohaJ
クリア時間 1~2時間
対応OS Windows/Mac
価格 無料

ダウンロードはこちらから
https://arohatoko.booth.pm/items/295180

ブラウザ版
http://fs-game.tkool.andapp.jp/


フリーホラーゲーム『ミオソティス』作りこまれた“音”の演出が巧みな恐怖の逃亡劇

ホラーアドベンチャーゲームで、ポイントとなる要素といえば何が思い浮かぶだろうか?

たとえば「見るも恐ろしい存在に遭遇する」といった視覚的な恐怖は、まず挙げられるように思う。しかし、目には見えなくても、どこかから不気味な存在が忍び寄ったり、何かの拍子で聞こえてくる「音」も、視覚的に知覚できないからこそ、恐ろしいものであるかもしれない。

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そこで今回は、耳に聞こえる「音」の演出が非常に丁寧に作られたホラーゲーム『Myosotis -ミオソティス-』を紹介する。ゲーム内容としては、執拗に追いかけてくる怪物から逃げ回るというものになっており、『Efframai -エフレメイ-』や『ライトを消すだけの高時給な宿直』といった力作ホラゲを制作した夜雨ドッド氏の新作だ。

本作の主人公はとある少女。家の中のベッドから起き上がると、部屋には奇妙な雰囲気が漂っていた。目の前には埃の乗ったコーヒーや腐りかけたシチュー、そして植物に隠された紙切れに書かれた謎のメッセージ、少女は部屋の外へ出ようとするが、そこで……。

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異様な雰囲気の漂う部屋で目覚めた少女

このゲームでは作中にキャラクターの会話などは存在せず、ひとまずは少女を操作して家の中を探索することが目的となる。家の中には物置や写真、冷蔵庫や謎の薬の入った器材など、いったい何を意味しているのか分からないモノが存在する。それらを調べていくことで少しずつ自分が何をすれば分かっていくだろう。

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だが、探索は必ずしも悠長に行うことはできない。なぜなら家の中には謎の「怪物」のような存在が徘徊し、少女を執拗に付け狙っているからだ。この怪物が実際にどういった追跡をしてくるのかは、ぜひゲームをプレイして確かめてほしい。なお怪物に接触すると画面上の「注射」のゲージがどんどん少なくなっていき、これがゼロになるとゲームオーバーだ。

そしてもう1つ注目すべきは「音」の演出だ。本作における音は方向や距離感を表現したものとなっており、少女が歩いたり階段を登ったりすることで、それぞれ異なる音が耳に聞こえてくる。この演出は雰囲気作りとして非常に丁寧に作りこまれたものとなっているので、ぜひともヘッドフォンを付けてのプレイをお勧めしたい。

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怪物に接触しないように上手く逃げおおせよう

家の中を探索していくうちに、様々な情報が見つかっていく。これらをどう使うかもプレイヤーの考えに委ねられているので、怪物から逃げつつも、手に入れた情報を総合して何をすべきか思考しよう。なおゲーム開始時に難易度の選択を行うことができるため、追いかけ要素のようなアクションが苦手な人は易しめの難易度を選ぶのもいいだろう。

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ゲーム開始時には難易度も選択できる

本作のプレイ時間は20~30分程度となっている。序盤に情報をかき集め、そして後半ようやく「この状況はいったいなんなのか」を考察できるようになった頃に訪れるエンディングは、それまで体験していた「恐怖」とは全く別のものになるかもしれない。

作りこまれた音の演出やコンパクトにまとまったゲームシステム、そして物語の見せ方が秀逸な短編フリゲだったので、気になった方はぜひ時間の空いたときにプレイしてみてはいかがだろうか。

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[基本情報]
タイトル『Myosotis -ミオソティス-』
制作者 夜雨ドッド氏
クリア時間 20~30分
対応OS Windows
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14156

フリゲアドベンチャー『キュノロドンの牢獄』秘密を抱えた死刑囚たちと、ささやかな交流を。

今回紹介するのは、教会のシスターとなって、3人の死刑囚に施しをするアドベンチャー・フリーゲーム『キュノロドンの牢獄』です。シスターが死刑囚に与えた物や言葉によって、エンディングや後日談が変化するマルチエンディングの形式になっています。1周は10分程度で終わるため、周回プレイ推奨のゲームです。

死刑囚たちの秘密が明らかになったり、死刑囚たちのその後の運命が、プレイヤーの選択した行動に左右されるような展開が魅力の作品です。なお、制作者曰くジャンルは「囚人に救いを与えたいゲーム」となっています。

秘密をもった訳ありの囚人たち

プレイヤーは、死刑囚に施しをする教会のシスター「エナ」として牢獄を訪れます。最初の日は牢獄の看守に案内され、死刑囚たちと顔合わせ。その後、死刑執行までの3日間、施しを与えるため牢獄に来ることになります。

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1つめの牢屋にいたのは、若く落ち着いた雰囲気の、クレイオスという名前の青年。言葉遣いは丁寧ですが、その瞳はどこか淀んでいます。罪状は主君への反逆とのこと。
 
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2つめの牢屋には白髪に赤目という、アルビノの特徴をもつ美しい容貌の少年がいました。名前はないが、「コキノ」と呼ばれていたため、それでいいと言います。明るく無邪気な様子ですが、罪状は売淫です。
 
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最後の3つめの牢獄には、体中に傷跡をもつ男性。ぶっきらぼうな話し方で、名前は「ダモン」と名乗ります。罪状は詐欺。
 
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無口で真面目な牢獄の看守。ゲーム中で話しかけても、ほとんど言葉を発しません。
 
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プレイヤーが操作するシスターのエナ。教会から任されたというだけでなく、本人も献身的で優しい性格をしています。

与えるものによって変わる反応。周回プレイで情報収集

施しをする3日間、エナは教会から毎日寄付金1000Gを受け取り、施しとして持っていく物を街で購入します。その後に牢獄へ移り、死刑囚たちに施しを与えるというのがゲームの流れ。

与えた物にはすべてキャラクターごとに違った反応が用意されています。中には好物や、特別な反応を返すものも。メッセージスキップ機能もあるので、周回プレイで情報を集めていきましょう。
 
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牢獄とは対照的に騒がしい街中。若干高価ですが、少し特別なものも買えます。
 
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年相応に甘い物が好きなコキノ。素直に喜ぶ姿には可愛げがあります。
 
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あるアイテムに、ほかの人とはあからさまに違う反応を示すダモン。なにを思ったのでしょうか。

死刑囚たちがたどる運命は、あなた次第

施しとして与えた物や死刑囚との会話の内容によって、エンディングやその後の後日談が変化します。後日談は3人の死刑囚にそれぞれ7つと、看守が2つ、シスターが1つとなっています。

後日談はエンディング後、全キャラクター分表示されるので、別のキャラクターなら複数の後日談を同時に見ることもできます。(後日談はエンディング後少なくとも1つは表示されるので、実質シスターの特別な後日談はなく、看守は1つという感覚になります。)

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囚人が心を開けば、過去を語ってくれることも。
 
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囚人が明かした秘密。それを聞いてあなたは……。
 
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最終的に囚人がたどった運命。あなたの選択はどう影響するのか。
 
死刑囚たちの秘密を知ること、そして、プレイヤーの干渉によってどのように結末が変わるのか。それが気になって、つい夢中になってしまうゲームです。雰囲気も出ているので、暗めの雰囲気でキャラクターたちと交流するようなゲームがしたいという人には、オススメできるゲームです。1周は10分程度、メッセージスキップを使えば数分で終えることもできるので、気軽にできるゲームでもあります。

エンディングをすべて見るのに苦労することもあるかもしれません。そんなときは、制作者がブログで攻略ヒントを出しているので、検索してみましょう。

[基本情報]
タイトル 『キュノロドンの牢獄』
制作者 pinetea 様
クリア時間 1~3時間程度(1周は10分程度)
対応OS Windows 7/Vista/XP/2000 (WOLF RPGエディターの動作環境に準拠)
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14081

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制作中のフリーゲームADV/RPG『ジュールホラーワールド』 自殺した少女は、怪物の住む “昼”と“夜”の世界を歩む

今回は、現在制作中のフリーゲーム・アドベンチャーRPG『ジュールホラーワールド』を紹介したい。本作は、黒にそまりゆく世界を白くする冒険を描く『わたしとうどん』などを制作した横目黒氏による新作となっている。

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『ジュールホラーワールド』公式ページ

ある日目が覚めると、かいぶつだった。

主人公アメノは、タコの魔女ナイフと共に
不思議な住民たちのいる世界を歩き始める。

仕事のために彼らと仲良くなった。
約束のために彼らを倒した。

昼と夜の二つの顔を持つ世界で、
アメノの『たましい』は揺れる。

公式ページより引用

 
公式ページにはゲームのあらすじやキャラクター紹介が掲載されており、それによるとこのゲームの主人公は、自らの命を絶ってしまった女子高生「アメノ」。ゲームの核となるストーリーに関しては現在、大きく触れられていないものの、彼女は自殺したという事実に疑問をもっているとのことで、それが物語の始まるきっかけになるのかもしれない。

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アメノが歩む世界には、魚人「ギルマン」や猫又?の「ココノツ」、狼男の「カミツキ」にフランケンシュタイン「ザビ」といった怪人たちが存在。アメノのパートナーとなる魔女「ナイフ」とともにこの世界を探索するようだが、彼らとはどういった関係を作っていくのかも楽しみだ。

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ゲームシステムとしては、昼パートはアドベンチャー、夜パートは戦闘ありのRPGの形式となっているとのこと。作中のスクリーンショットもいくつか公開されており、作りこまれたアートワークの世界を歩き回るのをいまから楽しみにさせてくれるものとなっている。

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使用されているゲーム制作ツールはRPGツクールMV。作者Twitterによると、本作の公開は5月が目処となっている。また、制作中の内容は変更になりうるとのこと。ゲームの公開をゆっくりと待ちたいところだ。

[基本情報]
タイトル 『ジュールホラーワールド』
制作者 横目黒
クリア時間 3時間程度
対応OS Windows

“キャラバン時代”のノスタルジー感じるSTG『Image Striker』古典的ながら初心者にもおすすめなバランスが光る

1985年、ゲームメーカー・ハドソン(現:KONAMI)が主催し、全国規模で展開されたゲーム大会「ハドソン全国キャラバン」。この大会における主流ジャンルとなったのが『スターフォース』、『スターソルジャー』を始めとした縦スクロールで進行するシューティングゲームで、多くの参加者達がハイスコアという名の栄光を求め、激しい得点争いに臨んだ。

ゲームコントローラのボタンを高速で連打する「16連射」の必殺技で名を馳せた「高橋名人」が誕生したのもこの頃であり、『スーパーマリオブラザーズ』の大ヒットによって起きたファミコンブームに更なる火を付けると同時に、シューティングゲームにとっても黄金期を迎え、アクションゲームに並ぶ中心ジャンルの一つとして活況を呈した。

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それから30年以上が経った現在、シューティングゲームはコンシューマ市場で新作が作られる事が珍しいジャンルになってしまったが、フリーゲーム、インディーゲーム界隈においては今なお、積極的に新作がリリースされ続けている。

今回紹介するのは、先に挙げたキャラバン時代を始め、シューティングゲームが中心ジャンルとして活況していた頃への思いを馳せた個人製作のフリゲ作品『Image Striker(イメージストライカー)』だ。

製作者はてらりん氏。2016年7月10日にパソコン(Windows、Mac)、スマートフォン(iOS、Android)向けに公開された。詳細は後述するが、パソコン版とスマートフォン版は操作周りが異なる特徴がある。

しかし、基本的なゲーム内容は双方変わりなし。「弾を撃って回避し、高得点を競う」シューティングゲームの原点を尊重し、ゲームバランスも親しみ易さを第一とする調整が図られた、キャラバン時代の香り漂うシューティングゲームに仕上げられている。

STG黄金期への思いが馳せられたゲームシステム

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シューティングゲームとしての作りは王道。画面上より迫り来る敵をショット攻撃で撃墜し、ボスの撃破を目指す。スクロールは縦方向で、先のキャラバン時代のシューティングゲームと同じスタイルを踏襲している。

ただ、システム周りは1988年にアイレムより発売された『イメージファイト』を意識したものになっている。主に両サイドおよび後方に配置できる「ポッド」、ショット性能を変化させる「ヘッドパーツ」なるアイテムで自機をパワーアップさせられるところは同作とほぼ一緒だ。作品の名前が『Image Striker(イメージストライカー)』と似通っているのもその事を象徴しており、その影響が伺える。その為、同作をプレイした経験のあるプレイヤーなら、懐かしさを覚えるかもしれない。

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▲参考画像:『イメージファイト』(※WiiUバーチャルコンソールで配信中。)
 
ゲームデザインに対し、ゲームモードはキャラバン時代のシューティングゲームへの影響を受けたラインナップ。数は二種類だけだが、その一つが「キャラバン」と名付けられている点で、当時のシューティングゲームをやり込んだプレイヤーの関心を引く。

肝心の内容も3分以内にどれだけの高得点を叩き出せるかを目指す、スコアアタック特化型の懐かしいやり応えに富んだ作り。「弾を撃って回避し、高得点を競う」の醍醐味を存分に堪能でき、当時のシューティングゲームに愛着を持つプレイヤーの心をときめかせるゲームモードになっている。こちらもこちらで、往年のプレイヤーであればシステム周りと同じデジャヴを覚えてしまうだろう。

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全体的に往年の名作からの影響が強く現れた作りで、独創的なシステムも無い為、新鮮味は乏しいかもしれない。しかし、非常に取っ付き易く、シューティング初心者にもオススメなゲームに完成されている。

特に「親しみ易さ」にこだわって調整された難易度がその魅力を引き立てている。控え目の弾幕、残機アップがしやすく、力押しの戦術が比較的簡単に通用するなど、シューティングが苦手なプレイヤーから遊んだ経験のない初心者でも気軽に「弾を撃って回避し、高得点を競う」醍醐味を満喫できる。

難易度選択機能も実装されているほか、一度クリアしたステージはステージセレクトに登録され、ゲームオーバーになっても容易に途中から再開できるので、エンディングを目指すのもイバラの道ではない。

昔ながらのシューティングゲームよろしく、敵の弾に被弾すれば一発で自機が撃墜されるルールが採用されてはいるが、とにかく先へ進みたい気持ちにしっかり応えてくれる懐の広さも残した好バランス。当時のプレイヤーのノスタルジーを喚起させつつ、若い世代にもその頃の雰囲気と楽しさを味わってもらいたいという思いが込められた設計になっている。

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残機アップのしやすさが高い難易度への挑戦を促しているのも見所。基本的に難易度を上げることで残機アップのために必要なスコアが増える事は無いので、力押しの余地は残されるのである。

ステージセレクトのクリア記録も難易度別に行われないので、一つのステージだけ高い難易度での攻略に挑戦してみるお試しプレイをしてみるのも良し。こう言った様々な遊び方を許容しているところにもまた、親しみやすさへのこだわりを実感させられるだろう。

親しみ易さへのこだわりが現れた難易度

ステージも親しみ易さへのこだわりが現れている。今作には全部で6つのステージが用意されているが、いずれもボリュームが短め。大体、1~2分以内にはクリアできる。

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悪く言えばアッサリ気味なのだが、間延びすることなくテンポ良く進むので、駆け抜けていくだけでも気持ちよい。

シューティングゲームはステージを長くすればするほど、プレイヤーに与えるストレスが増していく。特に一発でも被弾すれば自機が撃墜されるルールを採用しているものほど、そうなりやすい。そこに一つのステージをクリアするのに10分以上かかる、ゲームオーバーになったら最初からやり直しという特色があれば、幾ら難易度を控え目にしていても、苦手なプレイヤーや初心者には遊ぶのに覚悟の必要なゲームと認識されてしまうだろう。

そのような間延びによるストレス増大への配慮を今作は徹底していて、シューティングに苦手意識のあるプレイヤーや初心者でも気持ちよくステージを進めていけるようにしている。手に汗握る敵との攻防を負担を与えない程度に楽しませる。そう言ったレベルデザインを実施し、親しみやすい作りとしているのだ。

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もちろん、やり応えを演出する為の工夫もなされており、敵の出現パターンや配置は巧妙。ステージごとの差別化もしっかりと行われており、特徴的なギミックと奇抜な攻撃を仕掛けてくるボスキャラクター達で楽しませてくれる。キャラバン時代のシューティングゲーム、『イメージファイト』への思いが馳せられたネタが凝らされているのも見所。

ステージ1では、『スターフォース』を髣髴とさせるスピーディな展開が繰り広げられたり、ステージ2では横から巨大戦艦が現れ、「ポッド」を装備しての対処が求められてくるなど、いずれかの作品を遊んだプレイヤーをニヤリとさせる。

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3分間の限られた時間で高得点の獲得を目指す「キャラバンモード」も、「弾を撃って回避し、高得点を競う」の醍醐味が詰まった内容で、ポッドやヘッドパーツが一切登場せず、通常装備だけで戦うという制約が熱い。

繋げていくことで得点が増していく「コンボ」、自機を挟み込む攻撃を仕掛けてくる敵が登場するなど、キャラバンを名乗るだけにあるシステム、ネタも取り揃っていて、極め甲斐は抜群。親しみやすさにこだわりつつ、シューティングとしての遊び応え、それもキャラバン時代の熱さを再現することを追求した作り込みには、製作者の当時の作品への愛の深さを感じ取れるだろう。

異なる二つの操作で、シューティングゲーム黄金期の興奮を。

先の通り、今作はパソコンとスマートフォンの二つのプラットフォーム向けに公開されていて、いずれも異なる操作で楽しめる作りになっているのも特徴の一つ。パソコンはキーボード、ゲームパッドによる精密な操作が可能なのに対し、スマートフォン版は自動連射システムを搭載による直感的な操作で遊べるなど、双方共に異なる手応えを実現している。

また、スマートフォン版は広告が表示される仕掛けも無し。それらに煩わしさを覚えるプレイヤーに良心的な作りになっているのも見逃せないところだ。

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「親しみやすさ」を重視した為か、熟練のプレイヤーには物足りなさを感じるところがあるのも否定できない。一応、高難易度「ハード」も用意されているのだが、力押しが効き易い作りなのもあって、全体的にやさしい。慣れたプレイヤーであれば、もう一段階、難しい難易度で遊んでみたいという、欲求不満の気持ちになるかもしれない。

また、演出周りもやや弱く、筆者個人としては特に効果音周り、爆発と撃ち込みの音に関してはもう少し派手に主張しても良かったように感じた。

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そう物足りなさを感じる箇所もあるのだが、昔ながらのシューティングゲームとしての完成度は高く、難易度の程好さもあってシューティングゲームが苦手なプレイヤーから初心者にもお薦めできる良作になっている。

キャラバン時代の古き良き魅力と熱さが詰まっているので、その頃のシューティングゲームに慣れ親しんだ人もノスタルジーを喚起させられること請け合い。アッサリしているが、侮り難い遊び応えを持つ良作に仕上がっているので、興味のある方はぜひ、チャレンジしてみて欲しい。

[基本情報]
タイトル: 『Image Striker(イメージストライカー)』
制作者: てらりん
クリア時間:20分~1時間
対応OS: PC(Windows、Mac)、iOS、Android
価格: 無料
ダウンロードはこちらから

PC
https://terarin.itch.io/image-striker

iOS

Android

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ノベル・アドベンチャーゲーム向けコンテスト「ティラノゲームフェス2017」発表 優勝作には賞金10万円も

3月13日、ノベル・アドベンチャーゲーム特化のゲームコンテスト「ティラノゲームフェス2017」の開催が発表された。応募の締め切りは2017年8月31日、作品審査結果の発表は秋予定(10月頃)となっている。

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ティラノゲームフェス2017
 


 
本コンテストは、ゲーム制作ツール制作ツール「ティラノビルダー」「ティラノスクリプト」で制作された新作のオリジナル作品が対象となっている。また賞の設置も行われており、グランプリ作品には賞金10万円と限定グッズが贈呈されるほか、 部門別でも多数の賞品が用意されている。コンテストの詳しい内容は下記のとおりだ。

応募のルール概要

・「ティラノビルダー」「ティラノスクリプト」で作られたゲームであること
・公開が2017年1月1日以降の作品であること(それ以前にリリースしたものは参加不可)
・無料で遊べる状態で完成していること。体験版や有償作品は応募付加
・オリジナル作品であること(2次創作不可)
※プレイ時間が5分~30分以内の短編ゲーム歓迎

さらに詳しい参加規約に関しては、公式ページにて掲載されている。

賞について

下記の3つの賞が設置されている。

・グランプリ

対象:1名
賞金:10万円
特製グランプリピンバッジ
記念クオカード(500円分)

・準グランプリ

対象:5名
賞金:1万円
特製 準グランプリピンバッジ
記念クオカード(500円分)

・佳作入選

対象:人数未定
賞品:特製の限定ピンバッジ
記念Quoカード(500円分)

 
本コンテストは2016年にも行われており、その際に投稿された作品総数は119作品。最優秀賞は、以前にもぐらゲームスでも紹介を行った『どとこい』となっていた。ノベル・アドベンチャーゲームの制作を行っている方、もしくはこれからやってみたい方は、チェックしてみてはどうだろうか。

なお、もぐらゲームスでは、3DのRPG制作ツール「SMILE GAME BUILDER」を使用した、フリーゲーム作者による製作実演連載を実施中。ゲーム制作に興味がある方は、こちらもぜひ読んでいただきたい。

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「フリーゲーム大賞2016」結果発表!おすすめ4作品を紹介

3月25日、フリーゲームダウンロードサイト「フリーゲーム夢現」は、2016年度に同サイトへ投稿されたフリーゲーム作品の中から、特に評価の高いフリーゲームを発表するコンテスト「フリーゲーム大賞2016」の結果発表を行った。

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「フリーゲーム大賞2016」結果発表ページ

本コンテストは、同サイトに投稿されたフリーゲーム全843作品(うち審査対象755作品)の中から、1353票の投票レビューによって選ばれたフリーゲームを発表するコンテスト。

フリーゲーム大賞2016の審査基準となる総合Pointの算出方法は、評価項目に「総合評価」「グラフィック」「シナリオ」「サウンド」「システム」「独創性」に項目が分かれたレビュー結果を元に、そのほかの要因を含めたポイント加点方式を取っている。

その結果、今回受賞したのは、大賞・金賞・銀賞・銅賞・入賞9つで、計13作品となる。今回は、受賞した作品の中から、以前にもぐらゲームスでも紹介を行ったおすすめとなる4作品を抜粋して紹介したい。なお、コンテスト結果に関しては結果発表ページにて確認することができる。

ニュー・スーパーフックガール

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本コンテストで大賞を受賞した『ニュー・スーパーフックガール』は、フックを射出する装置『フックショット』を駆使する主人公の少女「フックちゃん」を操作し、様々なステージを攻略していくというゲーム。マウスひとつで遊べるというお手軽さと、プレイするほどアクションが上達する楽しさを背景としたやり応えを持っており、現在のダウンロード数は30,000以上とされている。

このゲームの特徴としては、フックちゃんが使う「フックショット」をステージのあちこちに引っ掛け、宙を飛び、縦横無尽にステージ内を駆け巡る面白さだ。そして、ステージの隅から隅まで仕掛けが作りこまれており、それらを攻略・探索する楽しさも魅力となっている。別途、もぐらゲームスでのレビューも行っているので、読んでみてほしい。

なお、本作の外伝となるアドベンチャーゲーム『スーパーフックガール外伝』も、もぐらゲームスでの制作連載を経て先日リリースされている。こちらもぜひプレイしていただきたい。

Qpic『スーパーフックガール外伝』完成版公開:SMILE GAME BUILDERで楽しむゲーム制作 第3回

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『ラハと魔法の園〜the graystory〜』

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『ラハと魔法の園〜the graystory〜』は、全3部作となる連作フリーゲームRPG。完結編である『ラハと百年魔法石〜the endstory〜』は、2017年1月に公開された。本作と、2作目である『ラハと理の魔法生〜the 2ndstory〜』と合わせて、本コンテストの金賞・銀賞を受賞している。今回は、シリーズを未プレイの方向けに、1作目のあらすじを紹介したい。
 
光の魔法学院「ルクシエメール」の門の前に倒れていた少年「ラハ」は、自分のことや、世界のこと、全ての記憶を失っていた。そこで学院長に拾われ、学院での生活をおくることになるラハ。そこで、落ちこぼれの魔法生である「チャタ」や、天才と呼ばれる魔法使いの少女「サリィ」と出会う。ラハは、魔法生の試験や、そしてさまざまな問題に巻き込まれていくことになるが……。

ゲームシステムとしては、ゲーム開始時に幅の広い難易度を選択できる設定や、魔法生試験中の行動や戦闘結果などに点数が付けられる「魔法生評価」システムなどが特徴。バトルシステムとしてはオーソドックスなものでありつつ、攻撃手段が「魔法」のみという点がポイント。そのため、MPなどのリソースには注意を払わなければならない。

難易度設定によっては、物語を楽しむことに特化した易しい難易度とすることも可能なので、RPGが苦手な人にも物語を楽しめるような作品となっている。完結編も既に公開されているので、未プレイの方は3作を遊んでみてはいかがだろうか。

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ココロの心~ふたりの心~

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『ココロの心~ふたりの心~』は、雨宮かるた氏によって制作されたフリーゲームRPG。コンテストでは入賞9作品のひとつとなっている。特徴としては短編ながらまとまった物語と、しっかり描写されたキャラクター、そして「感情」をポイントにした戦闘システムがあげられる。

物語の中心となるのは、シリサとココロという二人の少女。シリサはいわゆる天才少女で、世界中の科学者が苦悩して開発しているような技術を、趣味感覚で数か月程度のうちに完成させてしまうほどの頭脳をもつ。しかし私生活は非常に頼りなく、一人では衣食住もままならないほど。そんなシリサの面倒を見ているのが、友達のココロ。シリサとは対照的で、落ち着いたクールな性格をしている。控えめで振り回されながらも、シリサのことを思いやっている良き友人だ。

戦闘では、シリサとココロは人間の負の感情を攻撃の力にする。ここで重要になるのが、その「攻撃の属性」と「場の属性」。属性の種類について。ゲーム内では4つの属性が存在し、「不安」「嫌悪」「孤独」「欲望」を使うこととなる。味方は攻撃の属性を自由に決められるため、敵の弱点に合わせて属性を選ぶことが可能だ。

しかし、場の属性は、味方や敵が使った攻撃の属性に近づく。そして場の属性が特定の属性に偏ると、その属性の威力が上がっていく。これは味方だけでなく敵も同じなので、場の属性が敵に有利な属性に偏ってしまうのを避けながら戦う必要があるのだ。なお、ゲームの難易度の選択が可能なため、戦略を立てるのが苦手な人は難易度は低めで遊んでみるのもよいかもしれない。

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ひびかけ色のキセキ

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最後に紹介するのは、自作のシステムが光るノンフィールドのRPG『ひびかけ色のキセキ』。コンテストでは入賞9作品のひとつとなっている。

本作の特徴としては、シンプルで見やすいゲーム画面や、「魔法」のカスタマイズが鍵となる戦術、アクティブタイムバトルを採用した戦闘システム、そして難易度選択機能が搭載されており、RPG初心者から、手ごわい戦闘を求めるプレイヤーまで幅広くオススメできる作品となっているところだ。
 
物語は、魔法を学ぶ学生たちの集う施設である「学校」から始まる。田舎で教師をしている魔法使い「リジェ」は、とある事情で学校を訪れていた。そこで、現役の学生である「シイナ」と出会う。そして、リジェのかつての同級生たちと再会する中で、世界に関する大きな陰謀に巻き込まれていくことになる……。

特徴的なシステムが、リアルタイムで進む戦闘と、キー1つで「ガード」を行なうことが出来る点だ。ガードに対応するキーを押している間、行動に必要なゲージの蓄積はストップするが、その代わりに敵から受けるダメージを軽減できる。RPGでありながら、リアルタイムのアクションのような要素が存在するのだ。
 
また、戦闘における攻撃・回復などは、基本的に「魔法」を使用して戦う。戦闘中に使用できる魔法は、キャラごとのステータス画面で装備品のように付け替えることが出来る。キャラクターのレベルが上がるごとに使用できる魔法が増えていき、装備できる魔法の属性は・数はキャラクターごとに異なる。戦闘中にはMPを回復するコマンドもあり、常にリソースの管理が必要となってくる。戦術性のあるRPGを楽しみたい方にはおすすめの作品だ。

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大爆走フリゲアクション『Elemental Warrior』上半身裸の部族の男が、超高速で地を、壁を、天井を駆け抜ける!

風を身に受け、景色を流し、人を追い抜き、1分1秒でも素早くたどり着く。自らを研ぎ澄ましていく感覚。”速さ”への欲求というのは、人間の根源的な部分のひとつではないか、と考えることがある。

速さ、スピード感というのはアクション性のあるゲームにおいても重要な要素といえる。今回紹介する『Elemental Warrior』(エレメンタル・ウォーリア)も速さを追求した作品のひとつだ。

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『Elemental Warrior』はbunaguchi氏の制作による横スクロール型アクション・フリーゲームである。2月17日よりVector、ふりーむ、夢現、itch.ioなどフリーゲームサイト各所にてダウンロード可能だ。

部族の危機に立ち上がれ

舞台は文明社会から遠く離れたとある部族の村。精霊の加護のもと、大自然と共にある太古から変わらぬ平穏な暮らしをしていたが、ある日突然空から「災い」が訪れ、村が荒らされるようになってしまった。

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困り果てた人々は救いを求めて祈祷を行った。そして精霊からのお告げにより、部族いちの俊足を持つ若者「ヨパガ」が、「災い」を食い止めるべくその根城である「プンゲ山」へと向かう事になった。

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ところでこの「災い」、どこからどう見てもアダムスキー型飛行円盤…典型的な宇宙人というやつである。宇宙人の概念を知らない部族の民の目から見ればこのような認識になるのだろうか、とクスリとさせられる一幕だ。

壁を、天井を、ありとあらゆる場所を突っ走れ

本作はスタンダードな2Dアクションゲームとなっており、プレイヤーは俊足の若者「ヨバガ」を操作し、ゴールを目指して進むことが目的となる。

ヨパガは左右移動やジャンプ、スライディングといったアクションのほか、ナイフ攻撃やアイテム消費で画面全体にダメージを与えるボム攻撃などを行うことができる。敵や針山などに接触してしまうとライフが減り、ライフの数が0になるとミスとなる。

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本作の最大の特徴は冒頭でも述べた「スピード感」にある。主人公・ヨパガは左右に移動し続けると徐々に加速していき、一定以上の速度で体が発光する「高速状態」となる。高速状態では体当たりで敵を倒したりヒビの入ったブロックを破壊できるようになる。

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また、高速状態で壁に張り付いたときに、壁と並行方向へキー入力することで、地面から壁へ、壁から天井へと駆け上がる「キックターン」を行うことができる。
上半身裸の部族の男が超高速で駆け抜けながら立ちふさがるものを粉砕し、壁を駆け上がり天井を走り抜ける圧倒的なパワフルさは一見の価値ありだ。

後半になると連続キックターンで輪を描くようなシーンや、天井走り中に上下逆転でスライディングを入力して針を潜る難易度の高いポイントもあるので、キックターンの操作に慣れることが攻略への第一歩だ。

更にアイテム「エレメント」の入手やナイフ攻撃で敵を倒すと蓄積される「ブーストゲージ」を高速状態の時に使用すると「オーバーブースト」が発動し、最高速度の上限を上昇させ更なるスピードアップをはかることができる。最終ステージではオーバーブーストが必須テクニックとなるので、ナイフ攻撃によるブーストゲージの蓄積を意識にいれておこう。

ゆっくり進んでも楽しいアスレチック・アクション

バックストーリーの「プンゲ山」でピンときたフリーゲームファンも居るかもしれないが、本作はかつて開催されていたフリーゲームのコンテスト「3分間ゲームコンテスト」を意識した作品となっており、全4ステージを3分以内にクリアすることで真のエンディングに辿り着くことができる。オーバーブーストなどはまさにタイムアタックのためのテクニックといえるだろう。

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ではタイムアタックをしなければ絶対に楽しめないのかというとそうではなく、残機数15以上でクリアすることでも真のエンディングへと到達することができる。操作に自信がない人でも1upアイテムを拾い集め、残機を増やしながらじっくり進んでもよいという点は嬉しい配慮だ。

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タイムアタックにこだわらずとも、ステージの構成を把握し、スライディングやキックターンなどのテクニックの使い方をひとつづつ身につけていき、難所をスイスイ進めるようになると気持ちがいい。短篇ながらもアスレチック・アクションの原始的な楽しさを感じられる作品になっているといえるだろう。

[基本情報]
タイトル: Elemental Warrior
制作者: bunaguchi
クリア時間: 3分~
対応OS: Windows
価格: フリーウェア

↓ダウンロードはこちらから
(Vector)
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/game/se515225.html

(itch.io)
https://bunaguchi.itch.io/elemental-warrior


鞭ではなく、耳がしなる!『ファラオリバース』はウサ耳トレジャーハンターの荒唐無稽・遺跡アクション

2016年冬期のダークホースと称され、2017年の同時期にはその人気に応える形で二期も放送されたアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!』。その二期のブルーレイ、DVDの初回限定版には『復活のベルディア』なるPC用アクションゲームが特典として付いてくる。

……唐突に、アニメの話から入ってしまったことをご容赦願いたい。しかし、この特典ゲーム『復活のベルディア』は、実はこれまでに『モグラリバース』、『アクションモグラ』などのアクションフリーゲームを手掛けた制作者・クロボン氏率いるゲーム制作グループ「ladybug」が作った作品なのである。

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今回は『復活のベルディア』を機にクロボン氏を知った方々にも向け、氏が手掛けた直近の作品、『ファラオリバース』を紹介。

鞭ではなく、耳がしなる荒唐無稽な遺跡探検アクション

ゲーム内容は横スクロールの探索型アクション。過去の冒険でウサギの姿にされたトレジャーハンターで主人公のジョナサン・バンフィールドを操作し、自らにかかった7日以内に死ぬ呪いを解くべく、そのカギとなる「7つの聖杯」を探し求め、エジプト各地の遺跡を探索していくというものだ。

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ゲームはエピソードごとの舞台として用意された遺跡を探索し、その最深部で待ち構えるボスの撃破を目指す形で進行。いわゆるステージクリア方式で、広いマップの隅々を調べていく探索型アクションとしては珍しい、明確な区切りの設けられた構成になっている。

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主人公のジョナサンは、ウサギに変えられた元人間の設定に則った、ユニークなアクションをお披露目。最大の特徴は耳を使った技で、ウサギらしさと荒唐無稽さの二つが入り混じった、個性的なアクションに完成されている。収縮自在の耳を鞭のように振り回し、目前の敵を狩る。その様子だけでもご意見無用・突っ込み上等、細かいことは気にするなの精神が炸裂しており、プレイする者に鮮烈な印象を残す。

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そんな注目のアクション部分だが、ゲームが進む度に使用できるアクションは段階的に増えていく。その内容も、耳を紙飛行機のような形にして滑空したり、特定のフックに耳を引っ掛けてワイヤーアクションをしたりなど、「そんなまさか!」と思わず声が出てしまう荒唐無稽なものばかり。それでいて、「ウサギだからできて不思議じゃない」と納得させる(謎の)説得力に満ちている。

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もちろん、それらの習得によって行動範囲が広がる、探索型アクションの醍醐味も万全だ。既にクリアしたエピソードに戻ってみることで隠されたアイテムを入手できたりなど、様々な恩恵を得られるので、ドット絵で作られた美しいマップの隅々まで調べ尽したくなる面白さがある。

キャラクターの可愛らしさ、基本アクションの荒唐無稽ぶりから、軽い印象を抱くかもしれないが、その手応えは本格的。奇抜な見た目からは想像もつかないテクニカルな操作、それに連なるスリリングな探索を楽しめる内容にまとめられている。ヘンテコさと堅実さの二つを求め、プレイヤーをあっと言わせる。そんなコンセプトが敢行されたアクションゲームに仕上げられているのだ。

ステージクリア方式の取っつき易さとやり応えを突き詰めた構成

取っつき易いゲームデザインも魅力の一つ。先の通り、今作はステージクリア方式で進行する仕組みになっていて、明確な区切りが設けられている。

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探索型アクションというと、複数のエリアで構成された広大なマップを隅々まで探索し、最終目的の達成を目指すというのが基本的な流れだ。裏を返せば、そこに到達するまでゲームがずっと続く。ストーリーに関連したイベントが終わっても、ボスを倒してもゲームは止まらず、最終目的達成まで続いていく。

自ら止め時を設定するのを考えないと、延々とやり続けることになる。極端な話だが、それが探索型アクションの特色であり、恐ろしいところ。また、区切りが最後の最後にしかないことが初めて探索型アクションを遊ぶプレイヤーにとって、最も戸惑いを覚える箇所でもある。

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そこを今作はステージクリア方式を起用することによって、初めて探索型アクションを遊ぶプレイヤーも戸惑いなくプレイできるようにしている。基本、ステージ最深部で待ち構えるボスを倒せば、エピソードクリアという一区切りになり、ゲームが小休止する。そして、そこからそのまま続けるもよし、今日は止めて明日続きをやるも良しの選択を気軽に行える。

このような区切りがあるので、初めて探索型アクションゲームを遊ぶプレイヤーでも目的意識が持ち易く、それでいて適切な止め時を意識してプレイできる。最終目的達成に長いこと縛られることもなければ、止め時を設定する意識をする必要もなく、気の赴くままに本編を進めていけるのだ。

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また、ステージクリア方式ならではの起伏に富んだ展開の数々も大きな魅力。巨大ヘリの襲撃、道なき道をジープで突き進むなど、エピソードごとに舞台が変わる強みを活かした、多彩なイベントの数々はプレイヤーを退屈させない。

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マップも広すぎず狭すぎず、複雑な分岐を設けずの適度なバランスでまとめられているので、テンポ良く進めていけるのが気持ちよい。時には僅かなミスも許さない操作が求められる難局も立ちはだかるが、事前にセーブポイント(リトライポイント)を設ける配慮を施し、再開時のストレスを緩和させる措置も万全に成されている。そう言った遊び易さと手ごわさを両立させているのも絶妙で、初めて探索型アクションを遊ぶプレイヤーから熟練者までフォローする調整の妙を実感させられること請け合いだ。

今、ウサギと亀のアドベンチャーがエジプトの地に燃える!

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丁寧に描き込まれたドット絵で彩られたグラフィックも素晴らしく、特にエピソードの終盤で登場するボス達はその真骨頂とも言える出来。見た目だけでなく、攻撃パターンも個性的で、プレイヤーの予想をいい意味で裏切る行動をお披露目する。中にはジョナサンの耳アクションに匹敵する、荒唐無稽な攻撃と動きで攻めてくるボスもいるので必見だ。

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ボリュームもエンディングまでは大体3~5時間ほどだが、隠されたアイテムの収集などの寄り道、やり込み要素は豊富。ストーリーもコメディあり、シリアスありの見応えのある内容で、特に中盤以降の熱い展開にはつい見入ってしまうものがある。

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探索型アクションゲーム初体験なプレイヤーに優しく、熟練者の欲求にも十分に応えてくれる密度と手応えを誇る今作。可愛いウサギが耳を振り回しながら、遺跡の探検と敵との激しい戦闘を繰り広げていく様は今作でしか体験できないものがあるので、興味を抱いた方はぜひ、機会があったらプレイしてみて欲しい。

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なお本作は2015年5月27日、ニコニコ動画内の「ニコニコゲームマガジン」にて公開されたフリゲ作品で、連載形式で同年10月16日までの約5ヶ月に渡り、ステージ及びエピソードが追加されていった(全4話)。2016年3月18日には、フリゲ版にはない多くの新要素を実装し、システム周りにも改良を施した有料版『Pharaoh Rebirth+』がSteamで配信されている。

現在もフリゲ版、有料(Steam)版の二つを選べるが、筆者としては後者、有料版をお薦めしたい。充実した内容もさることながら、難易度選択機能の搭載によって、アクションゲームに苦手意識のあるプレイヤーに優しく、かつ更なる難しさを求めるプレイヤーにも適応した作りになっているからだ。他にも操作性の改良を始め、細かなパワーアップも施されているので、どうせプレイするのなら骨の髄までしゃぶり尽せる方を…というのなら、ぜひご検討のほどを。

[基本情報]
タイトル: 『ファラオリバース(Pharaoh Rebirth+)』
制作者: クロボン(KROBON station)
クリア時間:3時間~5時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
対応OS: PC(Windows)
価格: 無料(電ファミニコゲームマガジン版)、¥980(Steam版)

https://gamemaga.denfaminicogamer.jp/pharaoh/download.html

フリーホラーゲーム『ナイトメアホルン』 外れない「着ぐるみ」を被せられた主人公の脱出録

さてさて、数々の名作が存在する「RPGツクール」製のフリーホラーゲームから、今回はさくっとできる短編『ナイトメアホルン』をご紹介。

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おおお、なんか怖そうだ。

主人公は、なぜか着ぐるみの頭をすっぽりとかぶせられた「アクター」。鍵のかかった部屋で目覚めた彼は、同じ境遇らしい「ジャック」とともに、閉じこめられた屋敷からの脱出を目指す。

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ゲーム内容としては、各部屋の謎を解きつつ、追いかけてくる異形から逃げ回るというものになっている。もちろん異形に触れた時点でゲームオーバーだ。ちょうど『青鬼』とかと同じゲームシステムだ。

ただこの作品は、シンプルで印象深い演出やセリフの連続で、恐怖を積み重ねていく。暗い屋敷の中の、基本的に無音(BGMがない)の空間で、不意に音が鳴り、笑い声が起き、明るい部屋に出る。

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そして「初見殺し」の罠も・・・

このゲームではキャラクターどうしの会話などは控えめで、黙々と1~3階まである屋敷を駆け回ることになる。ダッシュしても微妙に遅いアクター君は、時に部屋に入ったところで背後から襲われたりしながらも(つまり、死んで覚えるタイプのゲーム)、パズルのように一つ一つの問題を解いていく。

変な信号機とか、ウサギとか、大正時代の大学生風の男とかの殺意をかわしつつ、謎とも問題ともつかない「課題」が、次の謎とも問題ともつかない事態へと連鎖していく。

適当にボタンを押して試行錯誤していれば解決するといった類いの謎ではなく、実際に頭をひねる要素もある。手元に、メモ用紙とペンを用意して、プレイに望んだ方がいいだろう。

「謎解きが苦手」という、そんなあなたも、安心して欲しい。

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ゲームが進行できなくなったときの「詰み」対策もちゃんと実装済みだ。部屋ごとにヒントが聞ける。
 
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屋敷の各部屋は脈絡がなく、でっかい時計があったりブランコがあったりするところもある。誰かの思い出か? それとも屋敷の意思か?

必要なアイテムを集め、各階の人物の提示する問題を解き、部屋を一つ一つ突破すると、いよいよ玄関のカギが手に入る。

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やった! 出口だ! そして……
 
これまでの紹介でこのゲームに興味を持った人は、ぜひ自分の手で出口まで脱出してみてほしい。いろいろと考えさせられる余地を残し、恐怖は続く。そのあたりの演出も、まさに正統派ホラーといった感じだ。

作品のプレイ時間は20分~40分。シンプルながらも恐怖の要点を突き、ほどよい謎解きでストレスもフリー。主人公を追う「異形頭」たちは、制作者がTwitterで募集した有志たちがそれぞれ作成したもので、どれも個性的だ。

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『ナイトメアホルン』。夜寝る前のちょっとした空き時間や、暗い雨の日で外に出る気が起きない休日などに、プレイするのがおすすめなゲームだ。

【基本情報】
タイトル『NIGHTMARE HORN』
制作者WH氏
クリア時間20~40分
対応OS Windows
価格無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14248

短編フリーゲームRPG『木陰のアンチクリスト』魔女と教会の因縁と、一人の少女の“小さな想い”

今回は、鍵虫氏によって制作された短編フリーゲームRPG『木陰のアンチクリスト』を紹介します。本作では、魔女と教会の因縁と、一人の少女の小さな想いの物語が描かれます。ゲーム全体は少し暗めな雰囲気で、難易度もやや高め、謎解き要素が強くなっています。

特徴としては、短いながらまとまったシナリオ、惹きつけられるキャラクターたちの会話、基本は単純ながら戦略性のある戦闘システム。さらには極力ストレスを減らすよう配慮された細かい工夫も特徴のひとつです。

なお、シナリオには少量の女の子同士の恋愛要素、いわゆる「百合」が含まれています。しかし強めの表現はないので、よほど苦手でもない限り大丈夫です。(制作者曰く「苦手な人はこれを期に好きになってみませんか。」とのこと)

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魔女と少女の、教会からの逃避行

魔女の弟子である、魔法少女チコリー。ある日、師匠の魔女ウルティカが教会の処刑人に捕まったと聞いたチコリーは、師匠のいる「封印の樹海」の最奥に乗り込みます。しかし当のウルティカ本人はまったくの無事。むしろ脱出が少し面倒になったなぁというようなことを言われつつ、2人で協力して魔物を倒し、謎を解き、追手から逃れることになります。

立ち絵や顔グラフィックはないものの、僅かなドットの動きや口調からしっかり感情が伝わってくるのが魅力の作品です。

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チコリーの師匠、魔女のウルティカ。クールでいつでも余裕のある雰囲気を持っています。
 
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魔女ウルティカの弟子のチコリー。まだまだ幼く、言動もかわいらしいですが、れっきとした魔法剣の使い手でもあります。
 
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教会からの刺客。チコリーが必死に反論しようとしますが、聞く耳を持たない様子です。
 
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幕間に挟まれる、教会側と思しき人物たちの会話。さまざまな思惑が絡んでいるようです……。
 
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休憩中、ふと恋愛の話に。会話の流れから少し慌てだすチコリー。どうやら想い人が……?

ストレスを排した、戦術・謎解き重視のゲームデザイン

このゲームの魅力の一つである、戦闘システム。基本的には単純なターン制です。一番の特徴は、毎ターンMPが1ずつ回復すること。ウルティカはMP15、チコリーはMP10と少なめの値ですが、毎ターンのMP回復を考えて、どう魔法を使っていくかが鍵となります。
 
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蘇生方法は通常のHP回復と変わりないので簡単ですが、それだけ戦闘不能になることも。
 
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属性は2つしか存在せず、敵味方ともどちらかの属性は持っているので、それを考慮にいれた戦術も大切になります。
 
ボス戦では、敵は一定ターンごとの決められたパターンで攻撃してきます。その中でどう行動するべきか考えるのは、もはやパズルゲームに近い感覚でやり応えがあります。戦略を組むのが苦手な人向けに、やさしめの難易度や、負けたときにヒントが見られる仕組みなどがあり、配慮も行き届いています。
 
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数ターンに一度の大威力の魔法に合わせて、魔法をキャンセルさせる技を使うなど、敵の行動パターンを把握して戦術を組みましょう。
 
戦闘以外でも、たいていのマップには謎解きが仕掛けられています。どうしてもわからなくなったら強行突破も使えますが、解くことができればボーナスがもらえます。戦闘でも探索でも思考が必要なゲームと言えます。
 
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謎解きはマップ全体に散らばっているものから、一か所で解くパズルのようなものまで。
 
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宝箱にも謎解きが仕掛けられていることが。ストーリーを進めるための謎解きより、やや難しめです。
 
頭を使う場面が多い一方で、それ以外にプレイヤーのストレスになるような要素は極力取り除いてあるのも特徴のひとつです。たとえば、戦闘はシンボルエンカウント方式なので、敵を避けて移動することが可能。戦闘時では、負ければすぐにリトライするかの選択肢が出現。イベントスキップ機能もあり、マップの切り替え時でさえ、待ち時間を置かずにすぐ切り替わります。とことん頭の使用量をゲームの内容に割いて集中できるように作られています。
 
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再挑戦がしやすく設置されたリトライ・イベントスキップ機能。難易度が高いゲームだけに、嬉しい配慮です。
 
常に考えながらゲームを進めていくことになるので、あまり頭を使わずに爽快感やアクション性を得たいという人には向いていません。戦術で悩むことが多い人は、プレイ時間が4時間やそれ以上になることもあるかもしれません。ゲームを隅から隅まで遊びたいという人は、よほど戦術に自信がない限りはやさしめの難易度で始めたほうがいいでしょう。

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歯ごたえある難易度のために攻略を諦めたくなることがあっても「魅力的なキャラクターたちの会話が見たい!」という思いが努力に繋がることもある作品でした。少し重めの雰囲気の物語が好きという人にはオススメできるゲームです。

[基本情報]
タイトル 『木陰のアンチクリスト』
制作者 鍵虫 様
クリア時間 2~4時間程度
対応OS Win 95/98/2000/NT/ME/VISTA/7/8
価格 無料

ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14126

制作者サイトはこちら
http://tktkbousi.wixsite.com/neoteny

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『ib』『魔女の家』風のフリーホラーゲーム『ファウストの悪夢』 Steam版が配信開始

4月9日、台湾のインディーゲームサークルLabORat Studioは、フリーホラーゲーム『ファウストの悪夢(Fausts Alptraum)』の配信を開始した。現在、ゲーム配信プラットフォーム「Steam」にてダウンロード可能となっている。対応言語は日本語・英語・中国語の3ヶ国語。

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『ファウストの悪夢』Steamページ

本作は海外のフリーゲームでありながら、日本国内の名作ホラーアドベンチャー『Ib』や『魔女の家』の雰囲気を感じつつ、かつ本作の強い独自性を持って作りこまれており、「物語」と「謎解き」の絶妙なバランスが特徴となっている。

またイラストレーションも、日本のフリーゲームの雰囲気とはやや異なりつつも、かわいらしくも残酷性の見える童話的な絵柄が目を惹くものとなっている。

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物語としては、父を亡くした少女「イリザベス」が主人公となる。イリザベスは父の葬式の後、叔母に連れられてとある屋敷にやってきていた。屋敷に入った叔母の後を追うイリザベスは、不思議な格好をした悪魔に出会う。逃げようとするイリザベスだが、屋敷の外に出るための扉が消えてしまっていた。そして突然現れた黒い猫に導かれるように、狂気と謎に満ちた屋敷の中を探索することになる……。

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主人公であるイリザベスの体力と、プレイヤーの見える視界の広さが比例しているシステムに加え、「世界観に合致した謎解き」をしっかりと作りこむ丁寧さが印象的な作品。探索アドベンチャーにおいて、「世界観」や「物語」の無いところに無理やり「謎解き」を置こうとすると、ともすれば「鍵を集めて、扉を開ける」ことを繰り返すゲームになってしまいがちだが、本作は「物語の上に、自然と謎解きが乗っかっている」という巧みな設計を感じさせてくれるゲームだった。

本作は既に「ふりーむ!」等のダウンロードサイトにて日本語版が配信されている。Steam版のリリースにあたり、今後、ダウンロードコンテンツとして設定資料集など電子書籍の頒布も行われる予定とのこと。未プレイの方は、今回のリリースを機会に遊んでみてはいかがだろうか。

[基本情報]
タイトル 『ファウストの悪夢』
制作者 LabORat Studio
クリア時間 5~10時間程度
対応OS Windows 7/8/10
価格 無料

ダウンロードはこちらから

中編フリーゲームRPG『ファントムルーラー』配信開始 闇に侵食された世界で成長する王女の物語

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3月19日、ゲーム制作者のKOU氏は、心優しき王女の苦難と成長が描かれるフリーゲームRPG『ファントムルーラー』の配信を開始した。対応OSはWindows。本作は、フリーゲーム配信サイト「ふりーむ!」からダウンロードできる。

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物語は、遡ること300年前。7人の者たちの手によって世界の大半が闇に覆われてしい、僅か3つの国しか残ることができなかった。闇の侵食から300年後。月に1回、魔物を生み出す「呪いの夜」と呼ばれる現象に悩まれされつつも、残された国の1つ「リヴァイアス王国」の人々は平和に暮らしていた。呪いの夜が残り3日に差し迫る中、主人公である、国の次期女王候補「アーネスティン・レンフィース」は、騎士団長のウェインと城外に出ていた。そんな時、突如として呪いの夜が発生してしまう。

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本作は、敵に触れることで戦闘が起こるシンボルエンカウント。キャラクターの速さによって行動順番が変化するカウントタイムバトル方式となっている。戦闘の難易度は「ノーマルモード」と敵のパラメーター、行動、技の威力が変化する「リアルモード」2種類から選ぶことができる。緊張感のあるバトルを楽しみたい方はリアルモードをおすすめする。

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本作の魔法習得には、戦闘後のリザルトに入手できる「結晶」が必要となる。装備以外にパラメーター強化できる要素となっているため積極的に活用していきたい。結晶集めが攻略のカギとなりそうだ。

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魔法にはそれぞれ属性が割り振られており「炎・氷・風・地・雷・水」に加え「+・-」が付属されている。戦闘中どの唱える魔法にアイコンが付いているため、戦闘中は、アイコンにてどの属性で「+か-」を一目で確認できるので相性さえ覚えてしまえば難しくない。

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物語を進めていると加わる「戦術」は、戦闘を有利にするシステムだ。連続ターンでMPの消費も無いが、1回の戦闘につき1回しか使用できず発動条件付きのも存在しているため、タイミングが重要となってくる。キャラクターごと戦術が違うため、その場の状況や後続のことも考える必要がある。

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プレイヤーがアイテムを取るために壺を壊したことで、悲しむ老人

このゲームには、RPGで当たり前にやってしまう行為にも躊躇するようなプチイベントが用意されている。他にも、コミカルなイベントシーンもあるのだが、徐々にシリアスな展開になっていき、アーネ達の行く末に引き込まれていくことだろう。

[基本情報]
タイトル 」『ファントムルーラー』
制作者 :KOU
クリア時間:15時間~
対応OS:Windows
ダウンロードはこちらから
http://www.freem.ne.jp/win/game/14361

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